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野田聖子議員の夫が国家賠償訴訟「元暴力団員」の証拠とされた警察の持つ「暴力団個人ファイル」とは
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.01.21 06:00 最終更新日:2023.01.21 06:00
総務大臣などを務めた、自民党の野田聖子衆院議員の夫・文信氏が、自身を「元暴力団員」などと報じた『週刊文春』の記事が警察幹部の漏洩した虚偽情報をもとに作られていたとして、1月12日、1100万円の国家賠償訴訟を起こした。
同日、夫婦揃って記者会見をおこない、原告である文信氏は、「自分がそういう組織に所属していなかったので、自分の名誉を挽回させるために、という思いです」と語った。
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「『文春』の記事は、2017年と2018年に掲載されています。その後、野田議員と文信氏は『文春』と、ほぼ同じ内容の記事を掲載した『週刊新潮』を相手取り、名誉棄損で提訴。最高裁まで争った結果、両誌の記事は『真実であるというべき』という高裁判決が確定しています。
今回の訴訟は、『文春』が警察関係者から入手し、記事の根拠とした『暴力団個人ファイル』に虚偽情報があり、さらにこれが漏洩したことで、名誉、プライバシー権が侵害された、という主張のようです」(社会部記者)
野田議員は高裁判決の確定後も、SNSなどで、夫が暴力団に所属した事実はないとの主張を繰り返し、おこなっている。
今回、争点となっている「暴力団個人ファイル」とはいかなるものか。警視庁の暴力団対策担当者が明かした。
「警察が管理する暴力団の個人情報を指し、担当部署にある端末から、データベースを検索できる仕組みになっています。名前を入れて該当者がいれば、所属する団体、稼業名、現住所や本籍、家族構成、前科・経歴などがわかります。
ただ、警察官であれば誰でも使えるわけではなく、事件として捜査することが決まって初めて、警部以上の捜査責任者が使えることになっています。個人識別番号を入れないと検索ができないので、いつ、誰が検索したのかという履歴は残ります」
かつては各都道府県の警察本部で運用されていたデータベースを、新暴対法の施行に合わせて統合、再構築されたシステムだという。前出の担当者は、「週刊文春」が裏づけとした、誌面にも掲載したファイルのコピーについて、書式などから本物だというが、旧式のデータベースから取り出されたものだと語った。
もちろんデータベースそのものは警察内部のものであり、情報は公開されていないが、この担当者によれば、銀行や証券会社などの金融機関でも、それぞれの業界団体が似たような照会システムを保有しているという。暴排条例により、反社会的勢力への取り引きは禁じられているためだ。
「暴排条例では、暴力団構成員、あるいは『暴力団員でなくなったときから5年を経過しない者』は、銀行や証券会社などの金融機関で口座を持てません。そのため、暴力団関係者の名前で検索できるシステムが、さまざまな業界団体にはあります。名前が該当した人物は取り引きできないことになっています。
金融機関の照会システムは、民間の信用情報機関のデータベースをもとにし、会員社から集めた情報を加えて運用しているようです」(前出・社会部記者)
今回の国家賠償訴訟では、警察の持つ情報の信用性と、その管理能力が問われることになる。一方、野田議員の夫による訴訟について、自民党内からは疑問の声も上がっているという。2021年の総裁選で野田議員の推薦人にもなった、ある自民党議員はこう打ち明ける。
「野田さんは夫のことになると、正常な思考ができなくなる。それだけ愛情が深いのかもしれないが、議員である以上、最高裁の判決は真摯に受け止めるべきだし、もし勝訴すれば公金から支払われるのだから、損害賠償請求するなんてありえない。何を考えているのやら」
( SmartFLASH )