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岡山大学学長、予算2000万円を“趣味の写真”に注ぎ込んでいた!3億円不正経理も責任取らず3月退任で“逃走”

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.01.31 06:00 最終更新日:2023.01.31 06:00

岡山大学学長、予算2000万円を“趣味の写真”に注ぎ込んでいた!3億円不正経理も責任取らず3月退任で“逃走”

槇野学長は直撃に一切応じなかった。その後、妻と思しき女性が、しきりに本誌記者を撮影した

 

 深緑色のシカゴ川を前景に、高層ビル群が聳え立つ一枚の風景写真。趣味にしてはハイレベルだが、これが“公金”を私的に流用して作られたものだったとしたらーー。

 

「許せませんよ。これほど“不正まみれ”の学長が、逃げ切ろうとしているのですから」

 

 と憤るのは、長い歴史と伝統を誇る医学部で有名な、名門・岡山大学の関係者だ。現在、岡山大学の学長を務めるのは、槇野博史氏(74)。医学部出身で、2011年から岡山大学病院の病院長を務め、2017年から現職となった。

 

 

「病院長時代から、公私混同がひどく、2000万円もの大学のお金を、趣味の写真に注ぎ込んできたんです。トップとして君臨する現在、これを正面から批判できる大学関係者はいませんよ…」(同前)

 

 2000万円の内訳はこうだ。まず、2011年から2016年にかけて、自身が撮影した写真を特注のパネルに加工した。これが、500万円也。

 

「パネルは病院内の廊下の壁にずらっと展示され、ご丁寧に『槇野博史』と名前が入っています。製作費はすべて病院運営費などから支出されています。本人は『患者の心を癒やすため』と言い訳していたそうですが……」(病院関係者)

 

 さらに槇野学長は、大学の予算で2冊の写真集を自費出版したうえ、別の出版社から発行させた自身が著者である写真集を7冊、それぞれ数百部から2000部ほど大学に購入させているのだ。

 

「悪質なのは、事務部のチェックが入る50万円を超えないように、業者に分割納品させていることです」(同前)

 

 実際、本誌が入手した明細によると、自費出版した写真集『シカゴ物語』の印刷製本費165万9000円は、49万7700円を3回と16万5900円を1回という不可思議な分割払いがされている。

 

「これら写真集の発行や買い取りを合計すると、約1500万円ほど。本人は学生への教育目的だと語っていましたが、素人カメラマンの旅行日記が教育に使えるわけもなく、学生に配られた形跡もありません」(前出・大学関係者)

 

 こうした“悪事”は、2016年の学長選挙のころに一度、公益通報によって、大学幹部らに発覚した。しかし、すでに学長に内定していたため、形だけの調査と口頭での注意でうやむやにされたという。

 

「パネルは病院内から撤去され、以後は写真集の購入もなくなりましたが…。槇野氏は、八方美人で口がまわるタイプ。学長の地位もそうやって手に入れたんです」(同前)

 

 前任の森田潔氏は、付属病院の経営を大学から切り離し、地域医療のために大学と病院が連携するという、岡山大学メディカルセンター構想を進めていた。

 

「これを『引き継ぎます』と宣言したのが槇野学長です。こうして、森田前学長の信任を得ることで学長選を勝ち抜いた槇野学長ですが、いざ就任すると、古巣の病院を守るため『やっぱり難しい』と計画を撤回。あまりに見事な二枚舌でした」(大学幹部)

 

 こうした槇野学長の横暴を受け、「岡山大学を正常化する会」という有志の会が設立された。会のホームページには、なんと森田前学長が実名で寄稿し、槇野学長を批判する事態になっている。

 

 さらに槇野学長は、とある重大な“秘密”を抱えたまま、大学を去ろうとしている。

 

「3億円にものぼる、不正経理です。2014年度分の決算時、7億円の赤字があった岡山大学病院の収支を少しでもよく見せようとして、製薬会社などから治験のために振り込まれた受託研究費を、通常の診療で使用する検査試薬代3億円につけ替える粉飾決算をおこなったのです。本来は研究に使われるはずのお金を、勝手に経費の穴埋めに流用したということです」(病院関係者)

 

 本件は、2021年に公益通報により発覚。その後、あずさ監査法人による監査がおこなわれ、2022年6月3日に監査結果が報告された。そこでは、この経理操作について、「会計原則に違反する」「公的研究費の適正な使用に対する違反」など、厳しい言葉が並び、不正経理が認定されている。しかし、いまだに岡山大学は問題を公表していない。

 

「まさに槇野学長が病院長を務めていた時代の不正ですよ。自分の身を守るために半年以上、この監査結果の存在自体を“隠蔽”し続けているのです」(大学職員)

 

 公益通報に詳しい拝師徳彦弁護士はこう語る。

 

「不正会計や公金流用の問題は、その経緯などを調査したうえ、再発防止に向けた適切な対処をおこない、その内容も速やかに公表すべきです」

 

 はたして、槇野学長はどう弁明するつもりなのか。1月下旬の朝、瀟洒な自宅から出てきた槇野学長に声をかけた。しかし、槇野学長は本誌記者の声かけに対して、一瞥することもなく、小走りに送迎車に乗り込み“逃走”したのだーー。

 

 あらためて大学に確認すると、写真パネルについては「正式な会議において承認を受けている」とし、病院運営費は「病院収入が主たる財源」だという。写真集については「教育活動に活用するために、使途の制限のない奨学寄附金を使用した」ため、問題がないと回答。不正会計の“隠蔽”については、すでに関係者の処分をおこなっており「学内調査及びそれに基づく対応が終了したため、速やかに公表する予定です」という。

 

「取材を受けたから、慌てて公表することにしたのでしょう。戒告以上の懲戒処分があったのなら公表されるはずですが、なんの発表もないということは、誰も責任を取っていないということでしょう」(前出・大学職員)

 

 大学のガバナンスに詳しい京都大学大学院教育学研究科駒込武教授はこう嘆く。

 

「3億円にものぼる不正会計とは驚きです。次元が違うにせよ、写真集も問題です。現在の国立大学は、学長を中心とした理事会組織に権限が集中しすぎています。しかし、政府や文部科学省は大学経営の効率化を求めるあまり、歯止めをかけられていません」

 

 2015年に似たような不正会計が発覚した秋田大学は、記者会見を開いたうえで、学長の報酬の10分の1を返納するという懲戒処分をおこなっている。一方、岡山大学では来る4月、槇野氏が推す人物が学長に就任することが決まっているーー。

( 週刊FLASH 2023年2月14日号 )

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