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岸田首相、少子化対策の切り札「N分N乗方式」に否定的…SNSで叫ばれる「敵は財務省!」の声

社会・政治 投稿日:2023.02.05 17:09FLASH編集部

岸田首相、少子化対策の切り札「N分N乗方式」に否定的…SNSで叫ばれる「敵は財務省!」の声

鈴木財務大臣と話す岸田首相(写真:つのだよしお/アフロ)

 

 少子化対策をめぐり、子育て世帯の税負担を軽くする「N分N乗」方式の導入を求める声が与野党であがっている。

 

 日本は従来、所得税を個人単位で課税しているが、N分N乗方式は世帯単位で課税する。税額は、子供を含めた家族の人数で課税所得を割って算出するため、子供が多いほど税金が安くなり、少子化対策に有効とされる。第2次世界大戦で減った人口を増やそうと、フランスが1946年に導入した。

 

 

 先陣を切ったのは自民党の茂木敏充幹事長だ。1月25日、衆院本会議で、N分N乗方式を「画期的な税制」と指摘。翌26日には、日本維新の会の馬場伸幸代表が、「個人ごとの課税方式を改め、N分N乗方式を導入すべきだ」と主張。国民民主の玉木雄一郎代表も同方式を「政府として検討すべきだ」と述べた。

 

 現段階で詳細は決まっていないが、課税所得600万円の場合をNHKが試算している。

 

●夫婦共働き(夫が400万円、妻が200万円)子供2人の4人世帯
 現行の納税額:47万5000円
 N分N乗方式:30万7500円(16万7500円の減額)

 

●片働き(夫婦のどちらか1人で600万円)子供2人の4人世帯
 現行の納税額:77万2500円
 N分N乗方式:30万7500円(46万5000円も減額)

 

 1月30日、自民党の茂木幹事長は、党のネット番組で改めてN分N乗方式の導入を主張し、「自分なりの意見交換などの集大成として提案した。インパクトはある」と強調。SNSでは《これを実行できたら大きい》と期待する声が多くあがった。

 

 だが、政府は慎重だ。岸田文雄首相は、1月26日の国会で「N分N乗方式については、共働き世帯に比べて片働き世帯が有利になることや、高額所得者に税制上大きな利益を与えることなど、さまざまな課題がある」と答弁し、導入に慎重な姿勢を示した。

 

 2月3日には、鈴木俊一財務相も「高額所得者に大きな利益を与えるなどの課題がある」と導入に慎重な見方を示している。

 

 日本は全納税者の約6割が最低税率の5%に抑えられており、N分N乗方式による中・低所得層の恩恵は限定的とも言われる。一方で、高所得世帯からの税収が減るため、財務省が否定的なのも当然だろう。だが、いまの税制がそもそも子育てに厳しすぎるという声もある。

 

 吉村洋文大阪府知事は、2月3日、自身のTwitterにこうつづった。

 

《鈴木財務相、「N分N乗」慎重→今の税制と比較せよ。今の税制は子育てにあまりに厳しくないか。子供の教育費は経費にならず。会社の接待交際費、飲み代は経費。子供は将来の生産者、消費者、納税者になるのに完無視。子供の数が多ければ多いほど経済不利になるのが今の税制》

 

 SNSではほかにも、N分N乗方式に否定的な財務省を批判する声が多くあがった。

 

《財務大臣はN分N乗方式は片働き有利、高所得に有利!って言ったのね そうじゃない 今が高所得片働きに異様に不利なだけじゃん! 所得制限もあれもこれもひっかかるし!ふざけるな 敵は財務省にあり!》

 

《N分N乗方式は”高所得者や片働きが有利”だから慎重にと言うが、実のところ高所得者からの税収が減るし女性の労働駆り出しが進まず税と社保料が増えないから”財務官僚の出世にとって不利” ということですよね》

 

《子育て世代待望のN分N乗方式だけども、また誰が有利誰が不利とか言ってるよ...少子化の日本にはこれが必要なんだよー!》

 

 与党の幹事長が導入を主張した事実は重い。岸田首相が新年早々に主張した「異次元の少子化対策」が試されている。

( SmartFLASH )

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