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「ルフィ事件の黒幕は相当な大物」懲役4年半喰らった“闇バイト”スカウトマンが語る犯罪集団の組織図

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.02.14 06:00 最終更新日:2023.02.14 06:00

「ルフィ事件の黒幕は相当な大物」懲役4年半喰らった“闇バイト”スカウトマンが語る犯罪集団の組織図

2月7日に送還され、憮然とした表情を見せた今村容疑者

 

「『ルフィ』らは、いくらなんでも強盗のやり方が雑すぎる」

 

 そう語るのは、かつて特殊詐欺容疑で逮捕され、4年半服役した経験を持つ中山則文氏(仮名・40代)だ。

 

 フィリピンを拠点に特殊詐欺事件に関わったとして、強制送還とともに逮捕された渡邉優樹(38)、今村磨人(38)、藤田聖也(38)、小島智信(45)の4容疑者。東京・狛江市の強盗殺人事件など、連続強盗事件への関与も併せて捜査されるが、彼らの上に「黒幕」がいるのかも焦点になっている。

 

 

 中山氏は、自身の経験から「黒幕はいるはずです。“OS”(オレオレ詐欺)を組織的にやるにはかなりの予算が必要ですからね」と話す。

 

「OSと違って“ルパン”(窃盗)だと、ひとつの案件で3人ほどがグループになり交通費、宿泊費、レンタカー代、バールや作業着代など、費用は計20万円ほど。ところがOSとなると、掛け子や受け子、見張りなどで最低4、5人必要なうえに、名簿代や足がつかない電話機代などで、500万円は必要になる。“叩き”(強盗)だと、かかるカネはルパンとそう変わらないが、人数は5、6人は必要です」

 

 なぜ、ここまで中山氏は詳しいのかーー。彼は、実際に「闇バイト」と称して、素人を犯罪集団にスカウトする「リクルーター」を務めているからだ。ルフィらの逮捕で、社会問題になった闇バイトだが、「今のところ、応募者数は減っていない」と、中山氏は言う。

 

「警察は今回のルフィ事件を徹底的に調べるだろうし、今後は動きづらくなる。ただ、下火にはなるが、犯行自体は続いていくと思うし、実際、私に依頼するグループは、今も強盗を計画しています」

 

 ルフィ一味の犯行規模が巨大なことを、中山氏は犯行計画に必要な予算から考えて、指摘している。

 

「掛け子を数十人募り、フィリピンに渡航させ、かなりの期間、人数分のホテルを借りる。その分よけいに費用がかかるので、2000万円ぐらいの予算が必要だったと考えます。それを出せる黒幕は、相当な“大物”ではないか」

 

 予算が2000万円かかったとしても、一連の特殊詐欺事件の被害総額は60億円以上。実行グループに報酬を分配しても、ルフィらの黒幕にはかなりの金額が渡っているだろう。

 

 中山氏は、計画的な特殊詐欺や強盗・窃盗の場合、ピラミッド状の組織が作られると明かした。

 

 今回逮捕されたルフィ一味で、トップとされる渡邉容疑者は「まとめ役」、それ以外の3人は「番頭・班長」にあたるとみられている。こうしたピラミッド型の組織が、日本全国に複数存在し、中山氏はそれらの組織の「箱」と呼ばれる無数の実行犯グループに人材を手配するという。

 

「闇バイトの募集をネットに出せば、1日に2、3人は応募してくる。ハキハキと電話で話し、自分から質問してくるやつは合格。逆に自信なさそうにおどおど話し、質問してこないやつは不合格。自分の頭で物事を考えないやつは、“仕事”のシミュレーションができないから危ない。遅刻したり、大事なときに連絡が取れないやつも使えない。

 

 実行犯は、けっして使い捨てじゃないですよ。ちゃんと仕事をこなすやつには、次は金額がより大きい仕事を回す。ルパンを1件こなして実行犯がもらえるのは、奪ったカネの約10%。いいときで200万~300万円ぐらい。何件も仕事をこなしたやつは、番頭・班長に昇格できる。ただ、叩きはよほどじゃないとやらない。殴る、縛るはリスクが大きいし、捕まれば当然、懲役も長い」

 

 強盗の場合、ピンポイントでカネを奪いたい事情があると、在京暴力団関係者は話す。

 

「組を破門になった元組員が、確実にカネの在り処がわかるという情報や、名簿を流すケースがある。なかには、ヤクザの身内を狙うこともある。そもそも、暴力団内では『強盗や特殊詐欺に手を出すな』という通達を出している。責任追及が上部団体にまで及ぶからだ。今回、黒幕に北海道の暴力団の名前が浮上していて、ある指定暴力団は、自分の組が関与してないかとひやひやしながら見ているようだ」

 

 ルフィ一味の逮捕で、強盗犯罪への警戒を解くのは早すぎる。

( 週刊FLASH 2023年2月28日号 )

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