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財政危機に瀕する東京藝大、学長の「経費節減」メールを入手「毎年4500万円も交付金が減る!」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.02.16 11:00 最終更新日:2023.02.16 11:00
国内唯一の国立総合芸術大学である東京藝術大学が、運営費不足により危機的な状況にあることがわかった。きっかけは、2月2日に同大学の学生が投稿したツイートだ。《藝大、本当にやばいかもしれない、、、、》とのつぶやきとともに、1つの画像が張りつけられていた。
その画像は、学校から学生に送られてきたメッセージで、【練習室ピアノ撤去について】と題し、「大学の予算削減のため、(中略)2部屋のピアノを撤去することとなりました」との告知文があった。
同大総務課は、本誌取材に《「練習室ピアノ撤去について」というお知らせを行ったのは事実です》とツイートの内容を事実だと認めている。
【関連記事:東京藝大、練習ピアノ売却の衝撃…年1%ずつ予算削減で「お金がない!」学費・学食値上げ、空調も不調の惨状】
藝大関係者が、大学の苦境を明かす。
「今回撤去されるのは、音楽学部のピアノ専攻ではなく、弦楽専攻の練習室のものです。ですから、ピアノ専攻の学生に影響はありません。
しかし、音楽学部では、専門の楽器のほかに副科として別の楽器を履修することになっていて、弦楽専攻の学生はそこでピアノを選ぶことがほとんどです。2台減れば、副科の練習時間が削られることは避けられないでしょうね」
国立大学は2004年の大学法人化以降、運営費交付金を毎年1%ずつ削減されており、2022年度、藝大の運営費交付金は50億円弱までに減った。857億円(2022年度)もの支給を受けた東大は別格としても、これは全国の国立大学中でも下位レベルになる。
もっとも、今回の財政危機の要因はほかにもあった。
2022年11月に日比野克彦学長から教職員らに送られたメールを本誌は入手。「本学の財政状況について」というタイトルに続く文面にはこう綴られている。
《今年度の電気代について、当初の予算計画では約1千万円/月だったところ、現時点では約3千万円/月となる見込みです。今後もエネルギー価格が高騰することが予想され、来年度の電気代は約4千万円/月に上ることが試算されており、ガス代についても、今年度から年間で約2千万円増加しています。
光熱費以外にも、インボイス制度への対応に伴う支出増や、社会保険料の負担増、人件費・資材費の高騰、基盤的な運営費交付金の削減(毎年度4,500万円減)等も重なり、来年度以降の本学の財政状況はさらに厳しくなる見通しです》
こうした収支の悪化に対し、緊急措置としてさまざまな財源を取り崩して対応してきたが、これ以上は困難のため、大学全体であらゆる経費節減と、外部資金や収入の獲得に協力してほしいと日比野学長は呼びかけた。
先の関係者が続ける。
「格安電力会社の電気料金が、円安による石油価格等の高騰のため、大幅に値上がりしていることはご承知のとおりです。藝大も同じで、契約した電力会社からの請求が、当初の予想を大きく上回る金額になったのです。
日比野学長も『とにかく節約できるところはしてほしい』と教授会などに出向いて話しています。『この歳になってカネのことで頭を下げることになるとは思わなかった』と、ボヤいているそうです」
そもそも藝大は、他大学のような産学共同研究など外部資金を導入する “ネタ” が少ない。これまでも、交付金以外の資金はほぼOBや芸術に理解がある企業や個人からの寄付金頼みだったという。
すでに学費、学食の値上げや、藝大図書館の資料の買い入れ縮小の検討がおこなわれているが、小手先感は否めない。それだけ、藝大の置かれている状況が危機的ということだ。
「2015年に文科省が出した『国立大学経営力戦略』という通達以降、『競争的経費節減』という名目で、職員数も含めた数々の経費削減方針が各大学から打ち出されています。もちろん、国立大学も経営的な自立は必要ですが、研究教育機関にはそれぞれの事情があります。
藝大美術館にはOBの作品が数多く収蔵されていて、国宝級の作品もあります。展示するには修復が必要ですが、現状では修復費用はほぼ出ない状況です。このまま展示できないなら売却しようといった話になりかねません。
一方で、国際協力機構(JICA)は、たとえばモロッコの基礎教育のために220億円(2022年)も出しているんです。政府の教育行政の矛盾を感じます」
非常時には文化予算は削られがちだ。脈々と続く文化の灯を絶やさぬよう、日比野学長には藝大存続のために手腕を発揮してほしい。
( SmartFLASH )