5月以降、新型コロナの位置づけが、インフルエンザなどと同類の「5類」に引き下げられる。2月13日、全国知事会は新型コロナの5類以降に伴い、政府に対し「全国旅行支援」の当面継続を求め、陰性証明やワクチン接種などの利用条件の撤廃も要請した。「ポストコロナ」の加速で、旅行などの観光も一気に活発化しそうだ。
そこで本誌は、国内旅行に関するアンケート調査を実施。「日本の『世界遺産』で、あなたが訪れてもっとも“がっかりした”のはどこですか?」を、全国の30代以上の男女500人にきいた。対象としたのは、自然遺産を除く、国内の文化遺産20カ所。
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では、「がっかり世界遺産」のトップ5から。
5位は「富岡製糸場と絹産業遺産群(群馬県)」で35票。「世界の絹産業発展に貢献した」として、2014年に登録された。「がっかり」の理由は
「ありきたりな昔の工場?といった感じ」(60代女性・埼玉県)
「あまり面白味もなく、スケール感もない。これが世界遺産?という感想」(70代男性・神奈川県)
4位は、2016年登録の「ル・コルビュジエの建築作品‐近代建築運動への顕著な貢献‐」日本では国立西洋美術館本館(東京都)が該当する。42票。
「普通に美術館でした。特別感はなかった」(50代女性・東京都)
「一般的な美術館と大差がないように感じた。もっとクオリティーの高い物を期待していた」(30代女性・静岡県)
美術館単独の世界遺産ではなく、近代建築に大きな影響を与えたル・コルビュジエの7カ国の構成資産のひとつ――ということだ。たしかに建築に興味のない人には、「フツーの美術館」なのかも。
3位は1996年登録の「原爆ドーム(広島県)」。
「思ったより小さかった」(40代男性・愛知県)
「残す意義は理解するが、負の遺産は世界遺産ではなくてもいいのでは」(60代女性・神奈川県)
「思ったより小さい」は、「日本3大がっかり名所」の札幌の時計台や高知のはりまや橋、「世界3大がっかり名所」のマーライオンなどでも指摘される。
2位は「百舌鳥(もず)・古市古墳群(大阪府)」で49票。40基以上の古墳群で、2019年に登録された。
「全体が広すぎて、全容がまったくわからない」(60代女性・香川県)
「地上からでは何が何だかわからない」(50代男性・大阪府)
たしかに文化庁が運営するサイト「文化遺産オンライン」でも、ほとんどの古墳が空撮で紹介されている。
1位はダントツの66票を集めた「北海道・北東北の縄文遺跡群(北海道、青森県、岩手県、秋田県)」。2021年に登録された、国内では最新の世界遺産だ。
「正直なところ、面白みやありがたみが感じられなかった」(50代男性・北海道)
「北海道から秋田まで、範囲が広すぎてよくわからない」(60代女性・山形県)
「もっと壮大なものをイメージしていたが、意外とそうでもない」(40代女性・東京都)
日本の世界遺産(文化遺産)に多いのは、1カ所だけでなく広範囲の場所を「関連遺産群」として登録するもの。それが「わかりにくさ」や「面白みに欠ける」という感想になっているのかもしれない。
6位以下は、次のとおり。
6位 29票 姫路城(兵庫県)
7位 26票 長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産(長崎県、熊本県)
8位 23票 日光の社寺(栃木県)
9位 22票 法隆寺地域の仏教建造物(奈良県)
9位 22票 琉球王国のグスク及び関連遺産群(沖縄県)
11位 20票 石見銀山遺跡とその文化的景観(島根県)
12位 19票 古都京都の文化財(京都府、滋賀県)
12位 19票 明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業(静岡県、福岡県ほか)
14位 15票 富士山-信仰の対象と芸術の源泉-(静岡県、山梨県)
15位 13票 厳島神社(広島県)
16位 12票 白川郷・五箇山の合掌造り集落(岐阜県、富山県)
16位 12票 古都奈良の文化財(奈良県)
18位 11票 「神宿る島」宗像(むなかた)・沖ノ島と関連遺産群(福岡県)
19位 10票 紀伊山地の霊場と参詣道(三重県、奈良県、和歌山県)
20位 9票 平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群-(岩手県)
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