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大丸別荘社長が遺書を残して死亡「それでも“不衛生温泉”は消えない」専門家が指摘するずさんな検査体制

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.03.12 20:18 最終更新日:2023.03.12 20:48

大丸別荘社長が遺書を残して死亡「それでも“不衛生温泉”は消えない」専門家が指摘するずさんな検査体制

3月12日に死亡しているのが発見された「二日市温泉 大丸別荘」の山田真前社長 (写真・共同通信)

 

 3月12日、老舗温泉旅館「二日市温泉 大丸別荘」の山田真前社長が、死亡しているのが見つかった。遺体の近くには山田前社長の車があり、「あとは頼む」といった遺書のようなものが発見されており、自殺とみられる。

 

「2022年に、大浴場の湯から基準値の3700倍となるレジオネラ属菌が検出されたうえ、保健所に虚偽の説明をしていたことが2023年2月下旬に発覚しました。塩素の投入を怠り、大浴場の湯を年に2回しか入れ替えていませんでした」(事件担当記者)

 

 

 山田前社長は会見で、「レジオネラ症はたいしたことないだろう」「塩素の臭いが自分の体質に合わずに嫌いだった」と、温泉の衛生管理について甘い認識があったと語っていた。

 

 県警の捜査が進むなか、衝撃的な事件まで発生してしまった、大丸別荘のレジオネラ菌騒動。だが、「決して他人事ではない」と語るのは、温泉旅館関係者だ。

 

「もちろん、大丸別荘ほどの規模がある旅館で、こんなにひどいことは通常、ありえません。温泉施設にとって湯抜き清掃は、ルーティンの作業なので、それを怠るということは、よほどの事態です。レジオネラ菌の発生が問題となったケースは、大抵の場合、循環ろ過装置の管理や取り扱い方が不十分だったことが原因です」

 

 だが、レジオネラ菌の検査は、宿の自主検査に任せられているという。

 

「自治体にもよりますが、基本的には自分たちで検査をして、もしも菌が検出されれば、保健所に報告する義務がある、という状態です。もちろん、正直にそんなことをする旅館ばかりとはいえません。保健所による検査もありますが、これも完全な抜き打ちというわけではなくて、多くの場合、事前に検査をする日を知らされるんです。

 

 湯抜き清掃の頻度は、最低1~2週間に1回以上を義務づけているところがほとんどですが、たとえば家族経営のような小さな温泉宿で、経営者が高齢で清掃作業が行き届かないため、結果として“サボってしまう”旅館があっても不思議ではありません」

 

 温泉ソムリエや温泉入浴指導員の資格を持つ、リスクコンサルタントの井ノ口樹(いのくち たつき)氏も、「このままでは“不衛生温泉”がなくなることはありません」と語る。

 

「結局、現在の検査体制を変えない限り、“第2の大丸別荘”が出現する可能性はありますよ。

 

 温泉は、人気商売です。大丸別荘についていえば、 旧来の常連客がある程度売上を支えてくれる可能性はありますが、今回の事件でのイメージダウンは大きく、当面の間は売上の減少は避けられないでしょう。

 

 コロナ禍が落ち着き需要が高まってきた今のタイミングで再び売上が減少するのは当然大きな痛手であり、財務状況次第では非常に厳しい状況に追い込まれる可能性があります。1度でもこのような事件を起こしてしまえば、致命的なダメージになるわけですが、すべての温泉宿が、きちんとしたリスクマネジメントができているわけではありませんからね。

 

 各自治体に頼らず、全国一律で、きちんとした検査方法やチェック体制を整える必要があると思います」

 

 惰性で続いた“手抜き”が、取り返しのつかない問題となることもある。この“悲劇”の再発を防がなければならない。

( SmartFLASH )

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