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静岡・川勝知事「田代ダム案」流域市長が了解も「待った」県のおかげで進まぬリニア、熱海土石流は「再検証なし」に集まる批判

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.03.29 20:35 最終更新日:2023.03.29 20:35

静岡・川勝知事「田代ダム案」流域市長が了解も「待った」県のおかげで進まぬリニア、熱海土石流は「再検証なし」に集まる批判

静岡県の川勝平太知事(写真・時事通信)

 

「取水抑制案が工事の前提であるかの如くにとらえられているのは、違います。有識者会議における議論、47項目すべての解決を流域住民が了解するまでは、工事うんぬん、ということはまだ言えないと、私は思っています」

 

 3月28日の定例記者会見で、静岡県川勝平太知事はこう述べ、議論が進みつつある「田代ダム案」にクギを刺した。

 

「田代ダム案」とは、リニア新幹線のトンネル工事における、水の県外流出対策。大井川上流にある田代ダムからは、山梨県側に大量の水が送られ、東京電力の発電に使われている。静岡県が主張する「水の全量戻し」に対応するため、送られる水の量を抑制するもので、JR東海が提案している。

 

 

 3月27日には、大井川流域の市町の首長らが会合に出席。JR東海から「田代ダム案」の説明を受けた。この会合では、出席した市町が、JR東海と東京電力が本格的な協議に入ることを大筋で合意。島田市の染谷絹代市長は会合後、「田代ダムの取水抑制案についてはほぼ全員が了解をした。『少し待った』というのは県だけだった」と、取材に応じている。

 

 流域の市町と方向性の違いが明らかになったことで、川勝知事は冒頭のような発言で「待った」をかけているようだ。

 

 28日の会見では、記者から「県が交渉を遅らせているようにみえるが、何の意図があるのか」「完全に県だけが違う方向を向いている。時間稼ぎをしているようにしか見えない」など、厳しい指摘が相次いだ。

 

 山梨県側からおこなわれているボーリング調査に関し、川勝知事が「サイフォンの原理」を持ち出したことにも質問が飛んだ。2月28日の会見で「県境付近の断層帯がつながっている。『サイフォンの原理』で地下水が流出してしまう」として、山梨県の調査ボーリングをやめるように要請したものだが、これは科学的には明らかな間違い。「この珍妙な説を持ち出したのは誰か」という質問には「私です、間違ってましたね」と即答した。

 

 その後、1月に岸田文雄首相に送った意見書の「JR東海の長期財務残高は6兆円」という誤りを指摘され、責任ある立場の人間が風説の流布をおこなっていいのか、と問われた川勝知事が「間違っていれば、それは正せばいいと思います」と開き直る場面もあった。

 

 また、この日の会見で川勝知事は、2021年7月に熱海市で起きた土石流災害について、原因となった盛り土に対する行政の対応を検証する作業について「やるべきことはやった」と、再検証しないことを明言した。

 

 ネットでは

 

《リニアにはあれだけ難癖付けて妨害の限りを尽くす癖に、危険な盛土に対しては徹底検証を拒否。こんな知事を選ぶ静岡県民。大丈夫か?》

 

《もう問題が水ではないことは明白なんじゃない?目的が違うところにあるから次の問題探しのための時間稼ぎにしか見えないよ》

 

《県(知事)の異様さが益々浮き彫りになるばかりです》

 

《これでますます静岡県「知事」は四面楚歌になるだろうね》

 

など、批判的な意見が多数見られる。4月9日投票の静岡県議会選挙の結果が、川勝県政に大きな影響を及ぼすという見方もあるが、果たして――。

( SmartFLASH )

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