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岸田首相、「こども誰でも通園制度」で少子化対策に自信も…「選挙対策」「保育士足らず」と疑問の声続々
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.04.03 20:50 最終更新日:2023.04.03 20:50
3月31日、岸田内閣が「異次元の少子化対策」の “たたき台” を発表した。2030年代に入るまでが少子化傾向を反転できるラストチャンスだとして、今後3年間で集中的に取り組むという。
“たたき台” には、「児童手当の所得制限撤廃」「支給対象年齢の高校卒業までの延長」などの文言が並ぶが、「財源の論議もなく、明らかに4月の統一地方選、そしてG7広島サミット後にあるとも言われる総選挙へのアピール」(野党議員)と、批判的な意見も多い。
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なかでも「本当にできるのか?」と疑問視されているが、親が働いていなくても、保育所を時間単位で利用できるようにする「こども誰でも通園制度(仮称)」の創設だ。
現在、認可保育園に入園できる基準は自治体ごとに定められ、「月の就労時間」「妊娠・出産」「疾病・負傷」「介護」などによりポイントが与えられ、優先順位が決まる仕組み。今回の政府案はこうした条件をすべてなくそうというものだ。
しかし、保育現場には困惑が広がっているという。都内の保育士がこう話す。
「いまは待機児童ゼロという自治体も多くなっていますが、それでも保育士の数や子供が過ごすスペースなどはギリギリです。新しい希望者がどっと来て、実際に受け入れることができる保育園がどれほどあるのか、心配しています」
たとえば東京・港区は「待機児童ゼロ」だが、0~5歳児を自宅で子育てしている世帯は1233世帯、全体の20.7%にのぼる。このすべての子どもが保育園に行くことはないだろうが、仮に半数が希望したとしても、人手不足のなかで現場の苦労は想像にあまりある。
そのため、これから保育園の利用を考えている女性(30代)も、「預けるお子さんの人数が増えて、また抽選なんてことになったらどうしよう。かつて(2016年)『保育園落ちた日本死ね!!!』と窮状を訴える匿名ブログが問題になりましたが、そのときの再来を恐れています」と表情を曇らせる。
政府は、「こども誰でも通園制度」に加え、保育の質を改善するため、「保育士1人が担当する1歳児の人数を6人から5人に、4~5歳児は30人から25人にそれぞれ減らす」方針も打ち出している。
だが、前出の保育士は、「資格は持っているけれど、保育の現場から離れている潜在保育士さんの雇用を考えているのでしょうが、みなさん事情があるので、難しいと思いますよ」と冷ややかだ。
期待する子育て世帯をがっかりさせることがないよう、祈るばかりだ。
( SmartFLASH )