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宮崎・大分で「インフルエンザ」500人集団感染…なぜ5月に? なぜ大規模に? 離れた人を感染させる「空気感染」の厄介さ
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.05.18 20:45 最終更新日:2023.05.18 20:45
宮崎市の高校で、491人ものインフルエンザの集団感染が発生した。市によると、感染したのは生徒476人、職員15人。5月9日時点で1人だった感染者は、12日に55人、15日に394人に急拡大。重症化した患者はいないが、感染者は発熱やノドの痛み、咳などを訴えており、同校は22日まで休校中だ。
宮崎は温暖な気候で知られ、16日には市内で最高気温28.3度を記録しているが、先週末に体育祭がおこなわれており、集団行動が多かったという。
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一方、18日には、大分市が市内の私立高校で497人がインフルエンザに集団感染したことを発表している。こちらも、体育祭を開催した後、体調不良を訴える生徒が相次いだという。
それにしても、なぜ冬が終わったこの時期に感染が急拡大しているのか。函館稜北病院総合診療科の舛森悠医師に聞いた。
「基本的に、インフルエンザが流行するのは冬です。低温・低湿度を好むウイルスが長く生存するうえ、外気が乾燥して、ノドや気管支の粘膜が傷みやすくなるためです。また、湿度が低いので、咳やくしゃみによる飛沫に含まれるウイルスがより長く空中に浮遊することも理由です」(舛森医師、以下同)
では、なぜ5月に感染が拡大したのか。
「これまで3年間、新型コロナウイルス感染症の予防をしてきたことで、インフルエンザの感染者も過去最低水準に抑えられていたのです。ですが、それによって集団の免疫力が落ちていたことが、今回の大流行に関係していた可能性があります」
新型コロナが5類に移行し、マスクや手指消毒などの感染対策が任意となった。それに加え、「ウイルス干渉」が減った影響もあるという。
「ひとつのウイルス感染症が流行すると、ほかの感染症の流行は小さくなります。これを『ウイルス干渉』といい、新型コロナが流行している最中は、インフルエンザは流行しづらかったと考えられます。
しかし、コロナが収束して『ウイルス干渉』がなくなり、インフルエンザに対する免疫が弱っていたことも重なって大流行が起こったと推測されます」
また、500人規模の集団感染となった理由として、「飛沫感染」ではなく、より恐ろしい「空気感染」が起こった可能性もある。
「多くの感染症は、感染者の咳やくしゃみに含まれるウイルスを含む飛沫を、健康な人が鼻や口から吸い込んで感染します。しかし、インフルエンザは、感染者から出た飛沫が蒸発して乾燥し、小さな粒子となって空気中を漂い、離れた場所にいる人にも感染させてしまうのです。粒子は空気中に長時間浮遊するため、陰圧室などの特殊な換気システムや、フィルターが必要になります」
異例のインフルエンザ大流行は、これからも続くかもしれない。
( SmartFLASH )