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サントリー新浪社長「児童手当の所得制限、撤廃するな」に寄せられる悲憤「子育て罰のつらさ知らない」

社会・政治 投稿日:2023.06.15 16:53FLASH編集部

サントリー新浪社長「児童手当の所得制限、撤廃するな」に寄せられる悲憤「子育て罰のつらさ知らない」

岸田首相と新浪剛史氏(写真:つのだよしお/アフロ)

 

 6月14日、経済同友会の新浪剛史代表幹事は、定例記者会見で、児童手当の所得制限を全廃するとした岸田文雄政権の方針に異を唱えた。

 

「所得制限の撤廃を決めたということは大反対であります。そうではなくて、やはり必要なところにもっと厚く(使うべき)。所得をたくさんもらってる人に必要が本当にあるんですか」

 

 新浪氏は、所得制限による児童手当の不支給や減額を維持することで「貧困の連鎖にならないように(貧困層に)お金が回ったり、サービスをタダにしたりすべきだ」と主張。また、現在の現金給付が少子化対策として成功していないとの認識から「効果を検証していないのに給付を増やすのはいかがなものか」と強調した。

 

 

 新浪氏はサントリーホールディングスの社長。4月に経済同友会の新しい代表幹事に就任していた。

 

 所得制限の撤廃については、新浪氏だけではなく、経団連の十倉雅和会長や日本商工会議所の小林健会頭の経済3団体トップが、いずれも政府の少子化対策を決める「こども未来戦略会議」で委員を務め、反対の立場を示していた。

 

 子育て政策に積極的に取り組んできた兵庫県明石市の前市長・泉房穂氏は同日、自身のTwitterにこう書きこんだ。

 

《子育て中間層の苦労もわからない方々が、経済界の中枢に君臨し、政治を仕切っている国だから、30年間、経済成長もせず、給料も上がらず、国民が貧しくなり続けてるのかもしれない。子育て中間層とて、あなた方みたいに、驚くほど高い役員報酬を得ているわけではない・・・》

 

 自民党が復活させた「所得制限」は、これまで子育て世帯の「負担増」となってきた経緯がある。

 

 旧民主党政権は「所得控除から手当へ」を掲げ、「子ども手当」を支給する一方で、年少扶養親族(〜15歳)に対する扶養控除(38万円)を廃止した。

 

 自民党は「子ども手当」をバラマキと批判。2012年6月ぶんから所得制限が復活し、年収960万円程度以上の世帯には月5000円の「特例給付」が支給されるだけとなった。

 

 さらに、2022年10月から(2022年6月支給分から)は、夫婦どちらかの年収が1200万円以上だと、特例給付も廃止となった。

 

 年少扶養控除38万円がなくなったことを考えれば、「所得制限」を課された世帯は、子どもを産み育てるほど負担増となり、「子育て罰」という言葉が頻出するようになった。

 

 SNSでは、新浪氏が児童手当の所得制限撤廃に「大反対」と述べたことに、「子育て罰のつらさを知らない」と憤る声が多くあがっている。

 

《大反対って一体何なんだろう…経団連の十倉会長もだけれど、過去手当と引き換えに年少扶養控除が廃止されていることをご存知の上で尚このようにお考えなのだろうか…従業員も含めた現役子育て世代を少しは応援してくださっても良いのでは?》

 

《年少扶養控除を廃止し、代替えの児童手当てに所得制限をつけ一部を剥奪、その結果が過去最低出生率ですけど?まだ足りない?逆の効果の検証は充分だと思うけど?》

 

《少子化対策待ったなしなんだよ。働き損、子育て罰みたいな状況を変えないといけないのに。経営者としてもだめだろ》

 

《子育て罰と言われる所以の所得制限を分かってから言ってください》

 

 なかには、《サントリーはこの先ほんと買う気起きないな…》という声も。

 

 2024年10月からの所得制限撤廃は、「子育て罰」からの悲願の解放となる。そこに水を差しているようでは、経済界が少子化対策に消極的だと見られかねない。

( SmartFLASH )

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