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岸田首相、少子化対策財源に「社会保障費の歳出削減」小泉政権ですら難渋した改革に早くも立ち込める暗雲

社会・政治 投稿日:2023.06.14 16:05FLASH編集部

岸田首相、少子化対策財源に「社会保障費の歳出削減」小泉政権ですら難渋した改革に早くも立ち込める暗雲

(写真・長谷川 新)

 

少子化は、わが国の社会経済全体にかかわる問題であり、先送りのできない、待ったなしの課題であるとの思いから、不退転の決意で取り組んでまいりました」

 

 6月13日、政府がとりまとめた少子化対策の内容について記者会見をおこなった岸田文雄首相は、力を込めて言い切った。

 

「会見は、児童手当の拡充など、子育て世帯の支援策が中心でした。必要になる追加財源は年間3兆5000億円。首相は『国民に実質的な追加負担を求めない』として、まずは社会保障費の歳出削減や公費の節減などで財源を捻出する方針を示しました」(政治担当記者)

 

 

 しかし「どこを、どのくらい削減するのか」についての、明確な説明はない。そのため永田町からは「首相は相当苦しんでいるんじゃないのか。社会保障費の歳出削減は、簡単にできるものじゃないから」(自民党関係者)という声が聞こえてくる。実際、政府は毎年のようにこのテーマに取り組んできた。

 

「かりに、診療報酬や介護報酬を引き下げれば、人件費削減につながります。ただでさえ介護、医療現場の所得水準は他産業より低く、厚生労働省が発表した『令和3年賃金構造基本統計調査(企業規模計10人以上)』によると、介護職の平均年収は353万円。税金や社会保険料を引かれると、手取り月20万円以下です。ここに手をつけると、人材不足に拍車がかかりかねません」(経済担当記者)

 

 たしかに社会保障費の歳出削減は「抵抗勢力をぶっつぶす」とした、あの小泉純一郎政権(2001~2006年)ですら難渋した政策だ。

 

「小泉政権では、5年間で毎年2200億円の社会保障費を削減しました。そのため患者、介護利用者の自己負担増や診療抑制、給付抑制などが起きて『医療崩壊』とまでいわれる状況を招きました。日本医師連盟など自民党を支援する団体との関係も悪化して、その後の麻生太郎政権で撤回に追い込まれました」(前出・自民党関係者)

 

 政治ジャーナリストの宮崎信行氏は「歳出削減で3兆円を捻出するのは、難しいと思います。医療支出をカットすれば、患者の窓口負担は増えて、国民の反発は必至です。『歳出削減か、増税か』という議論がある時点で、すでに増税の余地があるわけです。最終的には国債発行になるのではないでしょうか」と語る。

 

 政治担当記者も「ベテラン議員は『いずれ社会保険料の増額は避けて通れない。早めに言ったほうがいい。遅れると嘘つきと言われる』と心配しています」と言う。待ったなしの少子化対策であるなら、首相には、八方美人的な結論は許されない。

( SmartFLASH )

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