マイナンバーカードの自主返納が拡大している。
横浜市では、制度への不安を理由としたマイナカードの返納件数は、4月は14件、5月は11件だったが、6月は140件に拡大。川崎市でも5月に11件だったが、6月には42件に増えた。
仙台市は、5~6月で自主返納が49件。「不備が多すぎる」「個人情報への不安」などの理由が多いという。金沢市も5月は3件だったが、6月に23件と急増した。
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7月2日に報道された、都道府県庁所在地・政令指定都市の計52市区を対象とした共同通信の調査では、自主返納は5月以降、少なくとも計318件。4月の20件程度から急増している。
だが、河野太郎デジタル担当相にとっては、マイナカードの自主返納など、取るに足らない問題のようだ。
7月6日には、総務省が、マイナカードの廃止枚数が制度を開始した2016年1月から今年6月末までの累計で約47万枚となったことを明らかにした。
7日、河野氏は閣議後記者会見で、6月のマイナカードの廃止が約2万枚に及んだことを明らかにした上で、引っ越しから90日以内に継続利用処理をしなかったケースなどが含まれると指摘。「引っ越しシーズンの後なので、そういう変動が多い」と述べた。自主返納については「数件から数十件になったという報道は承知している。全体の件数は把握していないが、その程度の数というふうに思っている」と述べた。
8日には静岡市内で、「返納が増えていると言う人がいるが、本当に微々たる数だ。マイナンバーカードの申請数は全国で1日1万件を超えている。あんまり『返納、返納』と言わないほうがいい。変なことに惑わされないほうがいい」と発言。
さらに9日には、兵庫県洲本市で「返納についてはほとんど数がないと聞いている。問題ではない」とし、「誤ったひも付けがきちんと修正されているのが確認されれば、おのずと収まっていくと思う」と語った。
7月7日、立憲民主党の蓮舫参院議員は自身のTwitterにこう書きこんだ。
《「その程度」の自主返納者だとしても。返納する人の思いに寄り添いましょう、河野太郎大臣。》
俳優の松尾貴史は、7月8日、自身のTwitterにこう書きこんだ。
《返納している人たちは国民ではないのかな。ここまでつけ上がっているとは不遜を超えて滑稽ですな。「微々たる」の皆さん、増殖しませんか》
河野氏がマイナカードの自主返納について軽視する姿勢に、SNSでは批判的な声が多くあがっている。
《国民が不安や不満に思っているから起きてる現象を変なことってバッサリやん》
《『微々たる数』なら今すぐその総数を公表してください 『微々たる数』ならすぐに出来ますよね!?》
《信頼って、一度失ったら、取り戻すのは並大抵の努力では済まないよ。あってはならない事が起きているんだから。問題を過小評価し過ぎ》
河野氏から連日発せられる「微々たる数」というアピールは、火に油を注ぐことになりかねない。
( SmartFLASH )