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【独自】安倍元首相「慰霊碑」は1カ月の突貫作業、制作した “民間5人衆” の思いは…清和会議員で訪問者はゼロ

社会・政治 投稿日:2023.07.11 06:00FLASH編集部

【独自】安倍元首相「慰霊碑」は1カ月の突貫作業、制作した “民間5人衆” の思いは…清和会議員で訪問者はゼロ

7月8日、増上寺で営まれた安倍氏の一周忌法要(左)。その1週間前に奈良の慰霊碑が除幕

 

 思いのほか、小さい石碑の裏に “プロジェクトX” が――。

 

 一周忌を迎えた故・安倍晋三元首相(享年67)。それに先立ち、7月1日に奈良市内で慰霊碑が除幕された。

 

 2022年7月8日、安倍氏が銃撃された現場は大和西大寺駅前だったが、そこから5km離れた霊園「三笠霊苑」に、その名も「留魂碑(りゅうこんひ)」が建立された。

 

 

「あの日、私ら5人は演説現場にいて、間近で銃撃を目の当たりにしたんです」

 

 こう話すのは、三笠霊苑を管理する「国際教化教会」代表の西本隆一さんだ。

 

 じつは西本さんは、設置場所を提供しただけではない。政治家が主導したように言われている碑の建立だが、じつは彼を含めた “民間5人衆” が、その制作を一手に引き受けていたのだ。

 

「あまりに事件が衝撃的で……どんなに小さくてもいい、事件現場に置けなくてもいいと思って、国葬が終わった2022年10月ごろに(奈良選出の)佐藤啓参院議員に『慰霊碑を造りたい。我々でこんなものなら造れます』とお願いしたんです。

 

 しかし、このときはぼんやりとした回答で話もなかなか進まず。『もう一周忌だ……』と思っていた5月20日ごろ突如、佐藤議員から『やりましょう。命日に間に合わせてほしい』と連絡が来たんです」(以下、断りのない発言は西本さん)

 

 5人衆に残された時間は、約1カ月しかなかった。

 

「慰霊碑のデザインは、私が手がけました。佐藤議員に『極秘で』とお願いされたので、あえて完成はギリギリにしました。自然石が6月27日到着、29日に『不動心』と彫られた石板をはめ込んで完成させました。除幕2日前です。

 

 慰霊碑を小さくしたのは、自然石を納期以内に探さなければならなかったのがひとつ。もうひとつは、いつか事件現場付近に慰霊碑を移すと言われたときに対応できるようにです。

 

『留魂碑』というのも、安倍先生が尊敬していた吉田松陰先生の辞世の句から、私どもで命名しました」

 

 6月22日、碑建立についての一報が流れ、その後、7月4日の大臣会見では、県連会長の高市早苗衆院議員が「留魂碑」の意味を説明するなど、もっぱら国会議員が建立したように報じられている。5人衆の存在は表に出ていない。

 

「『造りたい』と言い出したのは私どもですが、安倍先生の慰霊碑なので、佐藤議員ら政治家の方々が決断し、動いてくださらなければ、絶対に完成できなかった。『大坂城を造ったのは大工か、豊臣秀吉か』と問うようなことですよ」

 

 完成自体が “奇跡の慰霊碑” だった。

 

 実際に三笠霊苑を訪ねてみると、入口から急坂を3分ほど登った先に「特別街区」という標識が見えてくる。その街区の入口に近いスペースにテントが設営され、安倍氏の写真などが飾られた献花台とともに、慰霊碑が建っていた。

 

「三笠霊苑に置くことになったのは、ほかにいい場所が見つからないなか、たまたま私が霊園の代表だったからにすぎません。

 

 慰霊碑の制作も誰かがなんとかしてくれたら、私らは何もせずに『よかった。よかった』と見ていたと思います。でも、何かが動き出すと、ストップがかかってしまう状況を見ていて、『どんなに小さくても、(みなさんに)公開できるほど立派でなくてもいいから、とにかく我々が納得できるものを造ろう』と思ったんです。

 

 設置場所も事件現場からもっと近いところで、手をあげてくれる場所があったらよかったんですが……」

 

 設置を決めた西本さんだったが、少し勢いで宣言してしまった部分もあるという。

 

「言った後で、『うちの霊園に本当に慰霊碑を建てる場所があるのだろうか……』と心配になりました。実際に霊園を見てまわると、運よく特別街区に入ってすぐの場所が空いていたんです。霊園の真ん中だと、ほかのお墓の方に迷惑がかかると思っていたので、『ちょうどいい場所が空いていたな』と思いました」

 

 7月1日、除幕の一報が流れると、それを聞きつけて当日から300人が献花に来たという。その後も、1日200人ほどが訪れていると三笠霊苑のスタッフは教えてくれた。

 

 一周忌を迎えて、永田町では「安倍派(清和政策研究会)」の “5人衆” と呼ばれる政治家の新体制が模索されている。そこで、西本さんに「清和会の方々は来られたんですか?」と尋ねると……。

 

「今(7月6日時点)のところ、来られた方はまだ1人もいないです。『またそのうちに』というぐらいの連絡はあったようですが、詳細は私ではわからないです」

 

 誰が真っ先に挨拶をするかで、話し合いが続いているのだろうか――。

( 週刊FLASH 2023年7月25日・8月1日合併号 )

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