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「退職までたった2日の猶予」「永久保証だったのに」大手脱毛サロン倒産で、従業員・利用客から悲鳴の嵐

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.09.30 17:30 最終更新日:2023.09.30 19:36

「退職までたった2日の猶予」「永久保証だったのに」大手脱毛サロン倒産で、従業員・利用客から悲鳴の嵐

シースリー渋谷店。ウェブサイト上では営業中となっていたが、エレベーターは止まらず、鍵も閉まっていた。

 

「永久保証コースで30万円で契約しました。なのに、突然通えなくなって、どれだけ問い合わせても音信不通ですよ。お金を返してほしい。許せません……」

 

 関西地方に住む20代女性は、本誌にそう語りながら肩を落とす。大手脱毛サロン「C3(シースリー)」天王寺店で、2022年8月に契約した彼女は、5回通ったところで同店と音信不通になったという。

 

 

「私がシースリーを紹介した友達が、カウンセリングに行ったら『ビルの店舗のある階に止まれないし、電話もつながらない』と連絡がきて……。

 

 私も関西の店舗すべてに連絡しましたがつながらず、ツイッター(現「X」)で調べて、元スタッフを名乗る方の投稿で営業していない現状を知りました。なんの前兆もなく突然だったので、かなり驚きました」

 

 トラブルとなっているシースリーとは、株式会社ビューティースリーが運営を手がける大手美容脱毛サロンだ。追加料金なし・何度でも通える永久保証制度が特徴で、若年層を中心に多くの女性から支持を得ていた。

 

 2007年に設立してからは、関東地方を中心に全国展開をおこない、2019年にタレントの筧美和子をイメージモデルに起用するなど、宣伝に力を入れていた。

 

 順調だと思われていた経営だが、関西地方で2年半働いていた従業員のAさんは、同社の不穏な動きに心当たりがあるという。

 

「今年7月まで給料支払いが遅れたことはなかったのですが、2回連続でボーナスが出なかった。8月12日には、『8月13日からキャンペーンをすべてなくしたコース内容で契約を取れ』と通達がありました。家庭用脱毛器をもらえるキャンペーンがあったのですが、契約したお客さまから、1年待っても届かないとクレームが増えていましたね。

 

 また、クレジット決済代行会社を急に変えると言い、さらには契約時にお渡ししていた冊子をなくすと言い出して。本社にあるクリームの在庫を安く販売するなど、コスト削減や小銭稼ぎのような動きが急におこなわれました」

 

 7月ごろには「脱毛機械の照射用部品を発注するな」と言われ、部品を消費しないよう、客の予約に制限をかける指示が出された。

 

「値段交渉をしているからと言われましたが、そんなわけがないですよね。最終的には、8月に入ってすぐに広告が流れていないことに気づきました。ホットペッパービューティー(美容サロン予約サイト)を8月20日ごろ確認すると、知らない間に掲載終了となっていました」(Aさん)

 

 新規予約も入らなくなり、不信感が募る従業員の嫌な予感が的中したのは、8月28日のことだった。

 

「27日、休みの人も含めて全員、翌日の営業前にリモート通話に参加するよう伝えられ、会社を引き継ぐFAVORIX BEAUTY社の担当者が今後の説明をしました」

 

 本誌は約15分間のリモート通話の音声を入手した。

 

 同社の担当者は3段階の目標を掲げ、「働くみなさまに安心していただくこと」「お客さまに安心していただくこと」そして「再び売上を作る強力な組織にしたい」と説明すると、数回にわたり「SNSでの発信だけは絶対にやめてほしい」と伝えていた。

 

 Aさんは、当時の様子を困惑した様子で語る。

 

「安心した環境で働いてほしいと言いますが、9月1日から転籍するか、転籍せずに個人事業主として契約するか、はたまた退職するのか、詳しい雇用条件を聞かされないまま選べと言われたんです。転籍したとしても半年間は試用期間で、有給も使えないとのことでした。

 

 そして、8月31日でやめた場合のみ、会社都合になるということでしたから、私はそれを選びました。そんな大事な決断を29・30日の2日間でしろと言うのはあり得ないです」

 

 新業態へと変わった9月1日には、公式サイト上で「機械メンテナンス、システム障害のお知らせ」としてシステム上の問題で予約が取れず休業の店舗があると発表したが、関東地方で働いていた20代従業員は、こう声をあげる。

 

「私も含め、半数以上のスタッフが退職したと聞いており、従業員不足により予約をキャンセルしているのだと考えております。

 

 お客さまに対して返金対応をしないだけでなく、従業員も8月ぶんの給料振込はないのに明細のみが専用サイトで見られる状態です。交通費や出勤日数が間違ってる方が数名おり、早退なのに欠勤と記載されているなど杜撰すぎます。

 

 一連の流れで、一度も顔を出さなかった田向隆行社長は、会員さまや従業員に対してとても不誠実で、非常に腹立たしく思っております。自分だけ逃げようとしているのが丸わかりで、大人として恥ずかしいですし、呆れてもいます」

 

 困惑が広がるなか、9月27日、突如シースリーのサイトで破産手続き開始決定の案内が表示された。

 

 関東地方の店舗に通っていた会員はこう嘆く。

 

「2019年に契約して、頑張って貯金した38万円を支払いました。永久保証を謳って宣伝したにもかかわらず、顧客に対して説明がないのと音信不通な状況に不満と怒りがあります。高額の先払いシステムを要求する美容脱毛は、今後契約しないと思います」

 

 事業を引き継いだFAVORIX BEAUTY社に、元シースリー従業員の給料未払いについて問い合わせると、「お答えできる立場にございません」と回答。会員への返金についても「こちらもお答えできる立場にございません。申し訳ございません」と回答した。

 

 負債80億円を抱え、倒産したビューティースリー。約4万6000人の会員と従業員の間に、不安と困惑が広がっている――。

( SmartFLASH )

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