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「吉村知事よ、いつまで橋下・松井の亡霊に従うんや、今こそ中止万博決断を」【泉房穂の「ケンカは勝つ!」第23回】
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.11.17 06:00 最終更新日:2023.11.17 06:00
阪神38年ぶり日本一! 個人的に思い入れがあって、喜びに浸りたいところやけど、頭をもたげているのが優勝パレードの“政治利用” 。
実行委員会が9月に発表したタイトルは、「阪神タイガース、オリックス・バファローズ優勝記念パレード~2025年大阪・関西万博500日前!~」。なんで「万博」をくっつけてんねん!
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野球への愛もない。当然、ファンは怒るよ。大阪府はマスコミの取材に、パレードで万博のPRはしないと回答したらしいが、そんなら最初からよけいな文字をつけるな!
吉村洋文大阪府知事は、パレードと万博が無関係だと発表すべきやのにやらない。またヘタを打ったね。ただでさえ、維新は笹川理府議のパワハラ・セクハラや、池下卓衆院議員が市議2人を無届けで公設秘書にした問題、藤田文武幹事長らの政治資金収支報告書の不記載といった不祥事が相次いでいた。馬場伸幸代表にいたっては、社会福祉法人の乗っ取り疑惑がある。
大阪万博は、2015年に当時の松井一郎府知事と吉村洋文市長、橋下徹くんが、安倍晋三首相と菅義偉官房長官と酒を飲んで誘致へと大きく動きだした。これは、本人たちが認めている事実。でも、安倍さんはもうこの世にいないし、菅さんはもう総理やない。松井さんは政治家を引退したし、橋下くんも今はコメンテーター。吉村知事は、いつまで4人の“亡霊”に従うのか。
じつは、橋下‐松井の路線を引き継いでいるのは馬場さんです。馬場さんは、松井さんの指名で代表になった。もともと自民党の地方議員だから、本人が維新を「第二自民党」だと発言したのも違和感がない。つまり、馬場さんは古い政治の象徴なんです。万博・カジノを中止するという発想はない。
しかし、国民ははっきりと中止を求めている。11月初め、共同通信が実施した世論調査では、万博開催について「不要だ」は68.6%、「必要だ」は28.3%。なにより日本維新の会の支持層でも「不要だ」は65.7%で、「必要だ」の33.1%を大きく上回った。もはや中止を決断するしかない。せめて、愛知万博ぐらいに縮小するか、最低でもわけのわからん木造リング(大屋根)を造るのをやめなさい。この建築物だけで350億円かかり、総建設費は当初予算から倍増の2350億円に膨らんだ。
今回、私は吉村知事や維新を叩くつもりはない。今まで何度も叩いてきたが、ここでは、万博を開催するかどうかの判断が維新の分岐点になるということを言いたい。
今、維新が問われているポイントは2つ。ひとつは、古い政治から新しい政治に転換できるのかということ。つまり、「第二自民党」から脱皮できるのか。もうひとつは、大阪限定の地域政党から全国政党に変貌できるのか。これらの点で、万博・カジノを中止か縮小する決断ができるかどうかが、今後の維新を占う試金石になるんです。
私は、維新にはプラス、マイナスの両面があると見ています。なんやかやいうても、維新は大阪府知事を取り、大阪市長を取った。そのほかの府下の地域でも、半分くらいは維新がトップの座に就いた。それだけ、市民や府民に期待されている証拠。その維新の共同代表を務める吉村知事は、評価されてしかるべき。
彼は府民の生活に着目し、子育て支援や教育費の無償化に踏みだした。なかでも高く評価できるのは、教育費無償化の所得制限を撤廃したこと。所得制限については、元代表の橋下くんが今も主張しとるが、吉村知事は橋下くんの意に反して撤廃してくれた。
ちなみに、吉村知事は4年前の知事選のときに「給食費の無償化は共産党の政策だからやらない」と言っていたんです。いい意味で手のひら返しをしてくれた。
所得制限の撤廃も給食費の無償化も、いいと思ったら即実行。しかも、党の創設者である橋下ー松井の政策に反することをやり、「生活」や「子育て」重視に舵を切った。これこそ政治決断。
しかしながら吉村知事をどうしても褒められんのは、万博・カジノに関しては、古い政治を踏襲していること。
あらためていえば、当然、万博はカジノのためにある。いきなりカジノだと府民のウケが悪いから、万博をネタにして交通網を整備したり、地盤改良をやった。カジノのために、本来不要な万博をやるんです。この構図は多くの国民の目に見えている。
万博を強行することは維新のためにならん。全国政党化を狙う際、万博はネックになる。東京や北海道の人には、万博は関係あらへんから。
それなのに、会場建設費が倍になり、大阪府・市、経済界、国が3分の1ずつ負担することになっているが、国の負担とは税金やからね。東京の人は、なんで大阪のために負担させられるんやと思うやろうね。万博もカジノも、まさに古い利権政治の象徴。維新が開催にこだわり続けると、新しい政党として全国展開するときに足かせになる。
今後、予算はさらに増えるやろうし、万博の真の目的はカジノであることが、より鮮明になってくる。世論が賛成に転じることはない。横浜市で、カジノ反対の世論が市長を替えたように、吉村知事も首を取られるかもしれん。
もう万博やカジノはやめたらええ。28年前、青島幸男都知事は「都市博」を中止したし、愛知万博は縮小開催した。横浜市は選挙でカジノ誘致を撤回した。先月、札幌もオリンピック誘致を先送りした。それで大きな問題は起こっていない。
吉村知事よ、今こそ思いとどまれと言いたい。まだ間に合う。ここで「やめる」とひとこと言えば、絶対にヒーローになれる。逆に、万博開催を見直さんかったら、それが維新の「終わりの始まり」になるかもしれん。吉村知事にとって、真に「決断できる政治家」になれるかどうかの正念場やね。
写真・馬詰雅浩、共同通信