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「イタチごっこですよ」トー横 突然の“完全封鎖”も数メートル先では変わらぬ集会…キッズたちも「新宿にはいくらでも集まれる場所はある」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.12.21 20:47 最終更新日:2023.12.21 20:57
《追い出されて当然でしょ。何か問題でもあるのかな》
《根本が解決しなきゃ別の場所で繰り返すだけだわ》
日本随一の繁華街、新宿・歌舞伎町の「トー横」と呼ばれる広場の一角に、角材やフェンスが設置されブルーシートで覆われたことで、広場で集っていた通称「トー横キッズ」らが移動を余儀なくされている。角材などは、12月18日に搬入されたとみられており、X(旧Twitter)ではトー横キッズたちの行方が話題となった。
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警視庁によると、トー横エリアでは今月に入り29人が補導されたという。集まった未成年の飲酒や、OD(オーバードーズ)と呼ばれる危険行為が度々問題となっていたのだ。
本誌記者が20日の昼過ぎに現場に行くと、広場の中央はイベント用に柵で囲われており、キッズたちが集まっていたとされる柵の外側は、ブルーシートで封鎖されている状態だった。
これに対し新宿区は、「フォトスポットのイベントの準備だ」と説明し、トー横キッズを「締め出す意図ではない」との見解を示している。実際ブルーシートには、《当広場では、記念撮影を目的にフォトスポットを令和5年12月下旬から令和6年2月上旬までの期間に設置を予定しています》と記載された張り紙がされていた。トー横に集まる人々を排除するために設置されていたわけではないようだが……。歌舞伎町で4年ほど警備員をしている男性はこう言う。
「今年5月に『東急歌舞伎町タワー』内にホテルができてから、新宿区は環境整備に力を入れており、8月には小池百合子都知事も視察に来ました。それに伴いトー横エリアの取り締まりも強化されました。でも彼らは、居場所が封鎖されようが関係ありません。
毎週火曜日になると、区の清掃部の方が70~80人ほど清掃に来るんですが、水を撒かれた時は道路を挟んで数メートルだけ離れて、地面が乾いたらまた元の場所に戻ってきます。昨日からは現在封鎖されている場所の反対側に陣取っていますね。
補導が入った次の日には、メンバーが変わって同じ場所にいるんです。コロコロ変わるメンバーの中には、いつもボス的存在の大人の男の人がいますね。本当に、イタチごっこですよ……」
トー横近辺であれば、場所を選ばないのがキッズの特徴だという。この日も、彼らの“定位置”に角材などが置かれている状況の上、広場は清掃後だったが、道路を挟んで、十数人の場を取り仕切る男性と若い男女がたむろしていた。一部では“追い出された”などと言われているトー横キッズだが、本人たちはそんな冷遇を意に介すこともない様子だ。
その横では警察が5~6人ほど巡回している姿も確認できており、現場は少し不穏な空気が漂っていたが……。トー横キッズの10代女性が心境を語る。
「トー横に行けば、同じような環境の子達が集まるから話も合う。なかには大人もいるから別に怖いことはないかな。でも、もし完全にこのエリアがなくなっても、別の場所に行けば良いかなーって思う。絶対にトー横にこだわってるわけではないし。新宿にはいくらでも集まれる場所はあるでしょ」
イタチごっこと思われる状況に歌舞伎町で働く別の男性はこう述べる。
「未成年じゃないなら、深夜にいたとしてもそれ自体は別に悪いことではないと思います。しかし、犯罪の温床になっているなら話は別ですよね。あと、グループの中に大人がいるならゴミ袋を用意して捨てさせるようにすれば良い。彼らが出す大量のゴミ清掃のために区の職員が動くわけですが、結局は僕らの税金が使われているわけでしょ」
彼らの居場所となっている“トー横”。しかし、実際は彼ら自身が居づらくしているのかもしれない。
( SmartFLASH )