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能登地震「もう住みたくない」昨年5月の地震で傷ついた住宅街を襲った震度7「ヒビの入った自宅にとどめが」【現地ルポ】

社会・政治 投稿日:2024.01.03 20:47FLASH編集部

能登地震「もう住みたくない」昨年5月の地震で傷ついた住宅街を襲った震度7「ヒビの入った自宅にとどめが」【現地ルポ】

七尾市の避難所では、段ボールによる仕切りなどもなく、雑魚寝の状態だ。物資も足りていないという(写真・吉田豊)

 

 元日に石川県能登地方で最大震度7を観測した地震。輪島市中心部をはじめ、複数の地域で建物が倒壊し、火災が発生している。

 

 羽咋市に住む50代男性は、コンビニで買い物中に地震に襲われたという。

 

「最初に、震度5強程度の強い揺れがあった2分後に、下から2回3回と大きな揺れに突き上げられ、立っていられない横揺れに襲われました。外では、地震の影響で電線が外れていました。本当に恐ろしかったです」

 

 

 志賀町に住む70代の女性は、2022年5月に頻発した地震が、被害拡大の背景にあると言う。

 

正月だったので、孫などが遊びに来てくれて、親戚で集まっていたんです。一家団欒しているときに、聞いたこともない音が鳴り響いて全員で慌てて外へ避難しました。

 

 そのまま、娘家族の自宅に泊まって朝方戻ってくると、もう家はめちゃくちゃになっていました。さっき、近所の人たちの協力で仏壇は元に戻しましたが、どこから手をつければいいのか……。

 

 昨年5月に地震が起きた際、自宅内にヒビはあったのですが修理しきれず、今回でとどめを刺されました。今後もここに住むのが怖いですよ。しかも、前回も国や県からの補償なんて何もなかったので、今回もないんでしょうね」

 

 石川県七尾市の避難所では物資不足も深刻だ。七尾市和倉温泉の近くに位置し、避難所となっている和倉小学校では1月3日時点で約200人ほどの人々が避難している。だが、避難所入り口には、「支援物資が届いていません」の文字が……。

 

「地元の消防団や商店連盟が20人ほど集まって、交通整理や物資の配給を担当しています。物資は十分な量は届いていないですね」(地元の消防団員)

 

 同学校の保健室には高齢者や手当を必要とする人が集められ、出張してきた看護師が手当にあたっている。

 

「元旦の地震直後に避難したよ。一度自宅に戻ったんだけど、昨日も細かい揺れがずっと続いていて、怖くて寝られないからまた避難所に戻ってきたんだよ。地域一帯が断水していて、トイレも不便だよね。自分には身内がいないから、ひとりで自宅に戻るのは不安で仕方がないね」(60代男性)

 

 家族7人で避難してきたという小学6年生の男児は肩を落としていた。

 

「みんなで正月に家でテレビを観ていたらたくさん揺れて怖かった。いつも通っている小学校とは別の学校に避難したら、和倉温泉のお客さんたちも避難していて、一時は1400人いたと聞きました。1月1日は、お菓子を配られたから嬉しかったんだけど、人が多くて布団が足りないからずっと寒いのがつらかったです」

 

 避難所では教員たちも被災したと言う。

 

「学区の教員たちもみんな被災しました。私は2日から入ってきたのですが、もういっぱいいっぱいで……。自宅は帰られる状態ではないし、生徒たちのことも心配です。9日から3学期が始まる予定でしたが、いつから授業を始められのか、考えられる状況じゃありません」(教員)

 

 別の避難所となっている小学校には、“救世主” が現れた。キッチンカーだ。オーナーである田中悠樹さんはこう語る。

 

「元旦は兵庫県で初詣に来ている方向けに、ポーク玉子のキッチンカーを出店していたのです。しかし、報道を見ていてもたってもいられず、3日の深夜3時に出発して、昼の12時にこちらに着きました。

 

 市の方に聞いたところ、この避難所は断水もしていて十分に支援物資も届いていないとのことだったので、被災されたみなさんに温かいおにぎりを食べてもらいたかったんです。

 

 SNSで募金を募り、集まったのは1000食分。これから必要物資なども届けたいと思っています」

 

 おにぎりを受け取った人は、笑顔になってこう言った。

 

「初めてボランティアの方が来てくれて本当に助かりました。給水車も来ず、途方に暮れているときに温かい食事を食べることができて幸せですよ。年が明けて美味しい食事でした」(地元住民)

 

 被災者たちの不安な夜はまだまだ続きそうだ……。

( SmartFLASH )

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