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“政治刷新本部に安倍派10人”「国民にケンカ売っとんか!企業献金もパーティーも全面禁止せい!」【泉房穂の「ケンカは勝つ!」第30回】

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.01.24 06:00 最終更新日:2024.01.24 06:00

“政治刷新本部に安倍派10人”「国民にケンカ売っとんか!企業献金もパーティーも全面禁止せい!」【泉房穂の「ケンカは勝つ!」第30回】

政治刷新本部の会合冒頭で挨拶する岸田首相。「本当に改革するんやったら、派閥解消どころか自民党そのものを変えなあかん」(泉氏)

 

 岸田文雄首相の肝いりで作られた「政治刷新本部」の2回めの会合が開かれ、「安倍派解散」などと派閥の廃止を求める声が出た。

 

 しかし、参加メンバー自体がおかしい。安倍派の裏金問題が事の発端やのに、38人中10人が安倍派所属で、そのうち9人に疑惑があるんやから、国民にケンカを売っとんか! 正しくは「刷新されるべき本部」や。

 

 

 自民党が政治改革にどこまで本気か。それは、36年前のリクルート事件のときと対比すればわかる。

 

 大きく違うのは、当時は自民党の若手議員が声を上げたこと。なんとかせんとという機運が高まり、その後の細川政権に繋がった。自民党を離党した議員により、新党さきがけや新生党ができ、変革の胎動が起こった時期やった。

 

 そして、後藤田正晴元官房長官が政治改革委員会の委員長を務め、1989年5月23日にできたのが『政治改革大綱』。 「派閥の弊害除去と解消への決意」を掲げ、「総裁、副総裁、幹事長、総務会長、政務調査会長、参議院議員会長、閣僚は、在任中派閥を離脱する」と定めている。つまり、派閥の議論は35年前に終わったはずやのに、今も問題になっている。自民党の自浄能力のなさに呆れるしかない。

 

 派閥を「政策集団」という人もいるが、たんなるまやかし。派閥の本質はカネとポスト。派閥は政治資金パーティーでカネを集め、議員に活動資金を配る。そして強引な推薦人事で、所属議員を大臣、副大臣、政務官などに押し込む。その結果、どう見ても能力のない大臣が生まれる。

 

 適材適所に反する人事の典型が岸田首相。派閥の力のおかげで選ばれ、これほど支持率が低いのにその座に居続けられる。じつは岸田首相も、それをよく理解している。元会計責任者らの立件を受け、派閥解散の動きもあるが、一部派閥の見せかけだけの解散のフリでは不十分。

 

 今回の政治刷新本部も、岸田首相自らが本部長を務め、そして麻生派会長の麻生太郎副総裁が最高顧問、茂木派会長の茂木敏充さんと、各派閥の領袖が入った。無派閥の菅義偉前首相も参加しているが、これはガス抜きやろうね。本気で派閥について議論するなら、最低限、無派閥の石破茂さんぐらい入れるべきやった。

 

 政治にはカネがかかるから派閥は必要というが、国会議員は十分すぎるほどカネをもらっている。 まず、年間2000万円ほどの議員報酬がある。これは諸外国と比べてもけっして少なくない。次に立法事務費という、まさに政策を進めるための費用が年間780万円支給されている。そして、旧文通費の名前だけ変えた調査研究広報滞在費が年1200万円。すべて合わせて、年間約4000万円もらえるわけです。

 

 政党交付金もある。各政党に合計で年間約315億円が支給され、自民党だけで年間約160億円。さらに企業団体献金。これは、企業への便宜供与になりかねんからやめようというのが世界の流れ。日本は廃止を前提に政党助成制度を作ったが、企業団体献金はそのまま残ってしまった。

 

 加えてパーティー収入があり、今回、裏金まで発覚した。裏金は、選挙の際に協力してもらったスタッフへの報酬などに使われている。

 

 企業団体献金は即刻廃止すべきだし、政治資金パーティーも、報告会以外は全面禁止すべき。そこまでやらなければ、政治改革の意味がない。

 

 政府ばかりやない。検察も何やっとんねん。政治資金規正法違反容疑で告発された安倍派幹部7人を不起訴にする方針という。会計責任者との共謀は立証困難と判断したということやが、今さら何を言うとるんや。

 

 捜査のポイントは3点。すなわち不逮捕特権、立件のラインとされる4000万円ルール、そして共謀の立証。

 

 一般国民だったら、会社があろうが学校があろうが、捜査をやめてもらえん。国会議員だけ、国会会期中は逮捕されないのはおかしい。

 

 じつは、国会議員も逮捕許諾請求により逮捕可能。実際、鈴木宗男議員、中村喜四郎議員など、戦後16人の国会議員が、国会の会期中に逮捕されている。逮捕までいかなくても捜査は継続できる。国会が始まる1月26日までに捜査を終えるという方針は間違っとる。

 

 4000万円ルールについては、そんなことどこにも書かれていないし、100万円でも裏金は違法なんやから、ちゃんと捜査すべき。とくに派閥の幹部は当然、立件が必要。

 

 最大の焦点となった共謀の立証は、客観的資料が乏しいからできないという。私も刑事弁護をやっているが、そんなドンピシャの証拠があるわけない。「不記載にしろ」なんてメールで書くわけないやん。立件するには状況証拠を積み重ねればいいだけの話。

 

 普通に考えて、会計責任者が独自の判断で虚偽記載を決めるわけないがな。当然、事務総長の指示があったと誰もが思う。時効前の歴代事務総長の4人は全員立件すべき。それでも捜査を打ち切るというなら、相手が権力者だからこそと思わざるを得ない。

 

 まだ十分な証拠がないのなら、先日逮捕された池田佳隆議員らをきちんと立件して、裁判の過程で出てきた事実関係をもとに、派閥側に手をつければいい。やりやすいところから始めればええんよ。

 

 検察は政治家のような権力を持っているわけではない。しかし権威はあり、その根拠は国民の信頼だけ。だから、検察を動かすのは世論。1992年に「黄色いペンキ」事件が起きた。金丸信元自民党副総裁が5億円の闇献金を受けたのに、検察は略式起訴をして罰金20万円で終わらせた。

 

 これに反発した男が、検察庁の石看板に黄色いペンキをかけた。男は器物損壊容疑で捕まったが、その後、世論の高まりにより金丸氏は別件の脱税容疑で逮捕された。今回も最後に検察が方針を変え、急転直下となるかもしれん。

( 週刊FLASH 2024年2月6日号 )

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