「こども家庭庁」の主要政策である「ベビーシッター割引券」は、厚生年金加入企業から徴収された拠出金を原資に、企業の従業員がベビーシッターを利用すると、子ども1人につき1日1枚2200円の割引券が最大2枚(合計4400円)補助される。1世帯あたり年間280枚まで使える。
しかし、かねて使い勝手があまりよくないことも指摘されている。
「割引券は、就労目的以外では使えませんし、厚生年金に加入していない自営業者やフリーランスの方は利用できません」(政治担当記者)
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この割引券の2024年度発行枚数が、前年度比1.8倍となる約70万枚になることを、加藤鮎子こども政策担当相が2月13日の記者会見で明らかにした。
「2023年度の発行予定枚数は39万枚でしたが、昨年10月に早くも上限に達して発行停止になりました。その後、利用者からクレームが寄せられ、こども家庭庁があわてて配布を再開するドタバタがありました。
原因は、従業員に代わって割引券を請求する企業が、『見込み』で多めの請求をして手元にキープしたことにあるとされ、その枚数は19万枚といわれています。
その轍を踏まないことと、利用者数の増加が予想されることから2024年度は多めに発行することになりました。加藤大臣は『未利用の割引券が企業に滞留することを防ぐため、1回あたりの発行上限枚数を縮小する』と発表しています」(同)
こども家庭庁によると、利用者数は増加傾向で、2023年度は首都圏を中心に39都道府県で使われ、1カ月の平均利用者は約3400人となっている。そして、2024年度は月6000人程度まで増えると予測しているが、子育てママからは「うちは利用できない」と不満の声も多い。
SNSには、
《ベビーシッター雇う層ってあなたみたいな金持ちじゃないの?誰向けのビジネス?》
《GOTO トラベルと一緒。割引券を使えるのは、ベビーシッターにお金を使える人だけ》
《田舎にベビーシッターさんほぼいないので、素直に減税が一番嬉しいですよね》
《ベビーシッターは民間資格だし、田舎にはいませんね。都会専用の施策ですか?》
などの声が寄せられていた。
2023年12月にこども家庭庁が発表した資料にも、利用者について《東京都(約56%)をはじめ、首都圏を中心に大都市で利用されている》と記されている。子供がいるのは都会だけではない。あまりにいびつな政策に思えるのだが――。
( SmartFLASH )