2月9日~12日、時事通信が実施した世論調査で、自民党派閥の裏金事件をめぐり、会計責任者だけでなく政治家の責任も問う「連座制」を導入する政治資金規正法の改正について「必要だ」が82.6%、「必要ない」は4.2%だった。
支持政党別では、与党の自民党支持層で「必要だ」が81.8%、公明党支持層で83.7%。一方、野党の立憲民主、日本維新の会、共産各党の支持層ではいずれも9割を超えたという。
2月10日から3日間、NHKが実施した世論調査でも、連座制を「導入すべきだ」が82%、「導入する必要はない」が9%だった。
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公職選挙法の連座制は、候補者本人以外の陣営の関係者などが選挙違反を理由に有罪となった場合、候補者本人にも責任を取らせる制度。当選は無効となり、同一選挙区から5年間、立候補できなくなる。
その連座制を、政治資金規正法にも導入することを、立憲民主党や日本維新の会などの野党、さらに与党の公明党が主張している。今回の裏金事件では会計責任者や秘書が立件される一方で、立件された議員は4000万円超のキックバックを受けた安倍派の3議員のみとなったからだ。
だが、岸田文雄首相は連座制の導入には慎重姿勢を示している。
2月13日、岸田首相の側近として知られる自民党の木原誠二幹事長代理は『深層NEWS』(BS日テレ)に出演。
木原氏は「政治家が『何も知らなかった』ということは許されない、と大方の合意がある」とし、罰則強化の必要性を強調する一方、連座制の導入については、こう語った。
「個人的には、公職選挙法上の連座制はなじみにくいとは思う。政治資金規正法の収支報告書の不記載はある種の形式犯。不記載であれば即問題になる、ということだから、すべての場合に政治家が責任を取らないといけなくなると、厳しいものがある」
2月14日には、岸田首相が衆院予算委員会で、自民党の党則を改正することで、議員本人を処分できる仕組みを採り入れる考えを示した。
一方、連座制については、「法律違反に関わっていない場合でも制裁を科す理由をどう定義するかや、おとりなど制度の悪用防止の議論が必要だ」と語り、慎重な姿勢を示した。
元内閣官房参与の岸博幸氏は2月14日、自身の「X」に、こう書きこんだ。
《察するに、党則に連座制っぽい緩い制度を入れて法律では定めない、政倫審も最後は該当者が拒否してやらない、というオチか。自民党内の調査の結果もグダグダだし、これで国民が納得しないのは分かってるはずなのに。。。》
2023年12月13日、岸田首相は官邸で記者会見し、自民党派閥パーティーの政治資金問題や裏金問題に国民の不信が高まっていることを受け、信頼回復に向けて「火の玉となって自民党の先頭に立って取り組んでいく」と意欲を示していた。
だが、連座制の導入に慎重な姿勢を示す岸田首相に、SNSでは批判的な声が殺到している。
《連座制を導入すると、トカゲの尻尾切りが出来なくなるので、慎重に検討すると言う事だろう。どこまでも自分達には甘くて、怒りを通り越してあきれる》
《悪いことしても人のセイにして逃げる気マンマンじゃん!岸田》
《岸田総理、連座制慎重時点で自分が火の玉になろうとしてないばかりか、後々自分に来るからやりたく無いだけだろう》
連座制の導入に慎重なのは自民党だけだ。この問題、岸田首相には「火の玉となって」取り組んで欲しいものだが。
( SmartFLASH )