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時速146キロで4人死亡でも“過失”で懲役7年…悪質な危険運転、法務省が見直し議論も「遅すぎる」の声
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.02.22 15:54 最終更新日:2024.02.22 16:02
2月21日、法務省が「危険運転致死傷罪」のあり方を議論する検討会の初会合を開いた。
「危険運転致死傷罪は2001年に制定。1999年に東名高速道で飲酒運転のトラックが女児2人を死亡させた事故などをきっかけに制定されています。それまでは、自動車事故では業務上過失致死傷罪が適用され、被害者が死傷したとしても法定最高刑は懲役5年。それが法改正により現在は、負傷させた場合は15年以下の懲役、死亡では1年以上の有期懲役、つまりは最長で15~20年の懲役となっています。
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しかし適用されるための条件が厳しいために、適用されないケースが多くあるとして、以前から見直しの声が上がっていました」(週刊誌記者)
適用されなかったケースの典型とされるのが、2018年12月に三重県津市で起きた事故だ。
津市の国道で時速146キロの猛スピードで走行していた乗用車がタクシーに衝突、乗客と運転手の合わせて4人が死亡する事故が発生。乗用車の運転手は「危険運転致死傷罪」で逮捕・起訴されたものの、その後の裁判で「危険運転致死傷罪」と「過失運転致死傷罪」どちらを適用するかが争われた。
「過失運転致死傷罪」は2007年に創設。注意不十分で人を死傷させた場合に適用され、懲役の上限は7年。「危険運転致死傷罪」との刑の重さには大きな開きがある。
津市の事故は、1審の地裁判決で「過失運転」で懲役7年の判決。2審の高裁判決も同じく「過失運転」で懲役7年が言い渡された。
壁となったのは、法律の「その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」という条文だった。裁判では、猛スピードは出していたが、直線道路で進路に沿って走っており、制御困難とは言い難い――として「危険運転」の適用は見送られた。検察は「法律のつきどころがない」として、最高裁への上告をあきらめ、被告は「過失運転致死傷罪」で懲役7年の刑が確定した。
2021年2月には、大分県大分市の県道で、当時19歳の男が乗用車を194キロで走行させ、交差点で右折中の乗用車に激突。激突された車に乗っていた男性が死亡する事故が発生した。
この事故では、地検が男を「過失運転致死罪」で起訴したが、遺族が変更を求めて署名活動を展開。その後、検察が罪名を「危険運転致死罪」に切り替えている。
「『危険運転』と『過失運転』の線引きは曖昧で、法定速度の2倍以上の猛スピードを出していても『危険運転』が適用されないことも多く、特に直線道路での事故はその傾向が強いとされています。今回の見直しでは表現の曖昧な条文の見直しや、『過失運転』の刑の引き上げなども議論される予定です」(同前)
ネット上では、「危険運転致死傷罪」のあり方について、
《現状というか、現実に全く即してない。制限速度を100km超えてても真っ直ぐ走っていたので、制御出来ていない状態ではない。馬鹿なんですか?と言いたくなる》
との声が。さらに、
《やっと検討開始とか対応が遅すぎる》
といった、政府への厳しい声も。次回の検討会では、交通事故の被害者団体からのヒアリングが行われる。
( SmartFLASH )