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千葉県群発地震で懸念される「関東大震災」誘発の可能性「東京湾大津波」で首都圏4500万人が大パニックに
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.03.14 06:00 最終更新日:2024.03.14 06:00
文字どおり、千葉が揺れている――。
この1カ月間で、震度1以上を観測したのはなんと57回(3月9日時点)。千葉県南部と東方沖を中心に、地震が頻発しているのだ。能登半島では数年にわたり群発地震が発生し、1月1日に起きたM7.6の地震では241人が死亡。現在も1万人を超える人々が避難所に身を寄せている――。はたして千葉は“第二の能登”なのか。
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「千葉県の群発地震は、“スロースリップ”が原因だと思われます」
と語るのは、東北大学災害科学国際研究所・遠田晋次教授だ。
「千葉県沖では、1996年以降、何年かおきに何度も群発地震が起きているんです。直近では2018年ですね。関東ではフィリピン海プレートが、陸のプレートの下に沈み込むように動いています。これに引っ張られた上部の陸のプレートにゆがみが溜まり、反発してゆっくりと元に戻ろうと動くのが、スロースリップです。これ自体は地震を起こさないのですが、この動きによって周囲にしわ寄せがいき、小規模な地震が起きるんです」
だが、定期的な自然現象だと安心するのはまだ早い。
「スロースリップを原因とする、極端に大きな地震は過去に起きていません。しかし、まわりにしわ寄せがいくということは、プレート同士が強く固着し、大地震を起こす力を溜め込んだ場所にも、しわ寄せがいく可能性があります。最悪、約100年前の関東大震災(M7.9)のような大地震を誘発する可能性もゼロとはいえません。今後1カ月から2カ月程度は注意したほうがいいですね」(遠田教授)
首都圏を襲う大規模地震。多くのリスクがあるなかで、能登半島を襲った“津波”は軽視されがちだ。同研究所・津波工学研究分野の今村文彦教授は、こう警鐘を鳴らす。
「入り口が狭い東京湾は、大きな津波が来ない、という“安全神話”がありますが、相模湾や房総半島周辺の海域で大きな地震が発生すると、規模は小さくても津波は湾内に確実に浸入してきます。その場合、海抜ゼロメーター地域や河川域に被害が出る可能性がありますね。多くの土地は地盤が高く、防潮堤もあるので簡単に都市部に波が入ってくることはないでしょうが、たとえば、東京湾には大規模タンカーから小さな漁船まで多種多様な船舶があります。それが漂流して、陸地にぶつかる危険性があります」
都市ならではのリスクも多く存在する。
「耐震強化された防潮堤は限られているので、地震によって亀裂ができる可能性があります。すると、そこから海水が浸入し、場合によっては地下鉄などの地下空間が“水没”するかもしれません。さらに湾岸のタワーマンション周辺でも、排水溝などが海につながっているので、マンホールや地下の管路を通じて海水が逆流してくる、という懸念もありますね。関東大震災では、東京湾の津波の被害の記録があまり残されていませんが、鎌倉や熱海、伊東では被害が大きく、トータルで200人以上が亡くなっています」(今村教授)
さらに、立命館大学環太平洋文明研究センターの高橋学特任教授は、「30m超級の大津波が起きる」と語る。
「地震と津波の関係は非常に難しく、浅瀬で揺れが起きるか深海で起きるかでも、波の大きさは一気に変わってくるんです。基本的には1~2m程度の津波でしょうが、油断はできません。沿岸部の複雑な構造物にぶつかり、波が合流することで、どんどん高くなる可能性がある。最大で高さ30mの波が形成される可能性もありますよ。そうなった場合、東京湾アクアラインや羽田空港、東京ディズニーランドといった沿岸施設はすべて水没するでしょうね」
実際、千葉県が発表しているハザードマップでは、江戸時代の元禄地震や延宝(えんぽう)房総沖地震を参照すると、ディズニーシーの沿岸に3m超の波が到達すると警告している……。
「荒川や江戸川、隅田川などは堤防がしっかりしているので、津波は川を逆流します。逆流して、小さな川に分岐するところで溢れ出し、その周囲で水害を引き起こします。最大限に見積もると、群馬県の館林あたりまでは逆流します」(高橋教授)
まさに、首都圏に住む4500万人を巻き込む大パニック。注意しておくのに越したことはない。