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愛子さまが天皇に即位することはあるのか…皇室研究家が指摘する「女性天皇」を認めるべき4つの理由

社会・政治 投稿日:2024.04.06 06:00FLASH編集部

愛子さまが天皇に即位することはあるのか…皇室研究家が指摘する「女性天皇」を認めるべき4つの理由

伊勢神宮を参拝された愛子さま(写真・JMPA)

 

 日本赤十字社に入社し、新しい一歩を踏み出された愛子さま(22)。今後、常勤の嘱託職員として公務のない日に出勤され、皇族としてのおつとめと両立させていかれるという。

 

 3月26・27日には三重、奈良両県へ初めて単独で訪問され、行く先々で爽やかな笑顔を見せられた。そうした姿が報じられるたび、SNSでは賞賛の声が寄せられる。そうした声のなかには「愛子天皇」待望論もある。

 

《喋り方とかも穏やかで声のトーンもお若いのに聞いていて落ち着く声色をされている。動物にも愛情深く接していて国民のことも考えられる、未来の天皇は一択だと思っていますけども》

 

 

《『国民からの圧倒的な人気』これは紛れもない事実 敬宮さまが多くの国民から敬愛されてる証であり未来の象徴に相応しい御方、という事だと思います》

 

《包み込むような優しさと神々しいオーラを感じます 敬宮さまに天皇になって頂けたら一国民としてとても幸せです》

 

 皇室研究家の高森明勅氏も「愛子さまは、ますます天皇にふさわしくなられた」と認める。

 

「各方面でそういう声が聞かれますが、私もそう感じます。2月の天皇陛下のお誕生日の一般参賀でも、お手振りのときは落ち着いておられました」

 

 皇室典範を根拠とする現在の「皇位継承は男系男子に限る」というルールのままでは、いずれ皇位継承者は途絶えてしまう。それもあり、高森氏は次代の皇位継承者として「愛子天皇」を強く望んでいる。

 

「未来永劫、皇室が続いてほしいと願うのであれば、女性天皇を認める以外の選択肢はないのです。

 

 いちばん大きな理由は、日本は一夫一婦制であるということです。日本以外のおもな国で、一夫一婦制で男系男子に限定しているのはリヒテンシュタインだけ。リヒテンシュタインは人口が4万人に届かない超・ミニ国家です。つまり、わずかな例外を除けば、一夫一婦制で男系男子に限定している国は日本だけなんです。

 

 イギリスも女王の時代が長く続きましたし、オランダは今の国王の前は、3代、女王が続きました。なぜかというと、代々必ず男子が生まれるとは限らず血統が続かないからです。しかもどこの国でも、女性の君主を男性の君主と同じように敬っています。

 

 日本の場合、世界に先駆けて少子化が進んでいます。皇室の方々も、恐れ多いですが、女王殿下のお三方は、それなりの年齢に達しておられますが、ご結婚されていない。皇族のご結婚の高齢化も進んでいる。一夫一婦制プラス少子化という逆転しがたいトレンドが厳然としてあるのです。

 

 それを考えると、憲法が求めている『皇位の世襲』に応えるためには、『男系男子』というルールを変える必要がある。

 

 皇位を継承するのは男系でかつ男子であるという規定は、もともと明治の皇室典範で採用された新しいルールですが、その当時は側室が認められていて、側室のお子様にも皇位継承資格があるという前提があった。そして、『男系男子』という前近代になかった新しいルールを採用したわけです。

 

 しかし、その前提とされていた側室制度は現代ではまったくあり得ないことです。一夫一婦制で少子化という現状で『男系男子』という、きわめて不自然なルールは持続不可能です。このルールを見直せば、女性皇族方にも皇位継承資格が認められますから、女性天皇が可能になるわけです」(高森氏、以下同)

 

 第2の理由、憲法1条に天皇の地位は「国民統合の象徴」だと書いてあるからだという。

 

「『国民統合の象徴』ということなら、国民の半数は言うまでもなく女性ですから、男性しか象徴になれないというルールで、はたして国民統合の象徴にふさわしいのかということになってくる。男女ともにその地位につけなければ、象徴制において十分でない、損なわれるものがあるという問題ですね」

 

 第3の理由は、「国民の総意」が敬愛される天皇のお立場にとって無視できないことだ。これも憲法第1条にある「この地位は主権の存する国民の総意に基づく」が根拠となる。

 

「現在、『国民の総意』がどこにあるかと言えば、世論がそれを示しています。世論調査では『女性天皇を認めるべきだ』という結果がコンスタントに7割から8割、ときに9割近い数字も出ています。

 

 各種調査で『女性天皇』が高い支持を集めているという現実を考えれば、明らかに女性天皇を排除している今のルールは国民に求められていないことになる。『国民の総意』に照らしてみれば、女性天皇は認められるべきだということになります。」

 

 4つめの理由が、現代の普遍的な価値観だ。

 

「生物学的な性別とは区別された文化的・社会的な性差において平等に扱われなければならない『ジェンダー平等』ということが、現在の普遍的な価値観になっています。そういう現代の価値観に照らして、天皇皇后両陛下にお子様がおられても、ただ『女性だから』というだけの理由で排除されるようなルールはやはりふさわしくない。

 

 皇室の存続、安定的な皇位継承、古風な言い方をすれば『皇室の弥栄(いやさか)』を願うなら、女性天皇という選択は必然だと申し上げていいと思いますね」

 

「女性天皇」が必然だとしても、現実には議論は進んでいない。

 

「昨年秋以来、与野党で安定的な皇位継承の確保についての検討が進められていますが、与党は当然のこと、野党もほとんどが男系男子に傾いている。今回も中途半端な形、不本意な形でしか決着がつかないと思います。第2ラウンドに向けて、なにより世論の喚起が必要です」

 

 いったいなぜ議論は進まないのか。

 

「それは政治家の問題です。国会内にある『男系男子』への根拠のない思い込みによる固執ですね。

 

 彼らは『男系男子』が明治になって初めて採用されたルールであることさえ知らない。推古天皇以来、後桜町天皇まで10代・8人の女性天皇が実在したわけです。明治になって排除されただけですから、男子限定というルールはなかったということです。

 

 古代の大宝令、養老令は『女帝の子』に女系で『親王』の身分を認めており、そういう意味でも、男系に限定したのは明治からということがわかる。『男系男子』が、神武天皇以来の皇室の伝統だという錯覚に基づいて思考停止している。それが、政治家として、いちばん楽だからです」

 

「愛子天皇」実現のためには、皇室典範の一部を書き換えるだけでいいという。

 

「今の皇室典範第1条には、《皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する》と書いてある。天皇の血を父方から受け継いだ『男系』の男子のみが天皇になることを定めているわけです。 男系であっても女性であれば天皇になることを認めず、母方に天皇の血筋を持つ『女系天皇』も除外されてきました。

 

 明治の憲法と皇室典範は、『男系男子』という縛りがありましたが、今の憲法には『世襲』としか書いてありません。『世襲』には男子、女子、男系、女系すべて含むというのが政府の見解であり、憲法学界の通説です。

 

 憲法という最高法規は『男系男子』に限定していないんです。憲法の下位法である皇室典範にのみ『男系男子』と書いてあるわけです。これが女性天皇を阻み、皇位継承の行く末を険しくしている。

 

 しかし、解決策がある。皇室典範の『皇統に属する男系の男子』の『男系の男子』という部分を『皇統に属する子孫』と書き換えればいい。それだけです。

 

 これによって、女性天皇も女系天皇も認められるようになる。そして『男系男子』だけ削れば、次の皇位継承者は愛子さまということになります」

 

 皇室典範第2条には天皇になる順番が書かれているが、その1番めが「皇長子」。これは天皇の第1皇子のことだが、男女の区別はない。そのため、第1条の『男系男子』さえ削れば、継承順序はそのままで「愛子皇太子」が誕生し、次は「愛子天皇」となる。

 

「愛子天皇」は、じつは上皇陛下の強い望みでもあるという。

 

「ノンフィクション作家の奥野修司氏が、上皇陛下が天皇であられた平成当時、以下のように述べておられたと著書で書いています(『天皇の憂鬱』新潮新書)。

 

『ゆくゆくは愛子(内親王)に天皇になってほしい。だけど、自分も長く元気ではいられないだろうから、早く議論を進めてほしい』と。はっきりと『愛子に天皇になってほしい』と語られたというんです。

 

 私は信憑性が高いと思っています。そう思うのには理由があります。それは平成17年(2005年)の天皇誕生日に際しての記者会見でのご発言です。ちょうどその前、当時の小泉純一郎内閣の有識者会議に提出された報告書に、『女性天皇、女系天皇を認めないと皇室が存続できなくなる』という内容が書かれていたんです。

 

 ある記者が『女性天皇、女系天皇を認めるということは、これまでの皇室の伝統の一大転換になる』という主旨の質問をしたんです。これに対し、天皇は政治的な発言が憲法で禁止されているなかで、ギリギリのお答えをされました。それは、こういうものです。

 

『皇室のなかで女性が果たして来た役割について、私は有形、無形に大きなものがあったのではないかと思いますが……天皇及び皇族は、国民と苦楽を共にすることに努め、国民の幸せを願いつつ務めを果たしていくことが、皇室の在り方として望ましいということであり、またこの在り方が皇室の伝統ではないかと考えているということです』

 

 要するに、政治的な問題に立ち入るのは慎重に避けられながら、女性が果たして来た役割について大きなものがあったと、さらに男系男子という狭い血筋ではなくて『国民と苦楽を共にすること』こそが皇室の伝統であると、ある意味では、結論を言っておられるんです」

 

 はたして、「愛子天皇」は実現するだろうか――。

( SmartFLASH )

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