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日本の橋の61%が10年後に“寿命”に…47都道府県「あなたの近所の橋が危ない」!MAP

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.06.08 06:00 最終更新日:2024.06.08 07:21

日本の橋の61%が10年後に“寿命”に…47都道府県「あなたの近所の橋が危ない」!MAP

東京・葛飾大橋/危険レベルIV・措置着手済

 

 地震、台風……災害時にはいくつもの橋が崩落してきた。バブルで所狭しと架けられた橋が、着々と “寿命” を迎えている。あなたの近所の「あの橋」も、もしかしたら危ないかもしれないーー。

 

 橋の耐用年数はこれまで50年とされることが多かった。2023年時点で、全国のおよそ37%の橋が耐用年数を超過していたが、国土交通省の発表によれば、10年後には約61%にまでその割合が増えるという。実際、同省が公表しているマップによれば、危険度が最高値であるIV「緊急措置段階」に該当する橋は、全国で672カ所あるというのだ。

 

 

「日本の橋の危険度が、かなり切迫していることは間違いありません」

 

 こう語るのは、城西大学の学長で、ダムや橋の構造に詳しい藤野陽三氏だ。藤野氏は日本の「危ない橋」について2つのタイプを挙げる。

 

「『危ない橋』と聞くと、真っ先に山奥に架かる吊り橋を思い浮かべてしまいます。山奥の吊り橋は基本的に谷間に架かっており、ワイヤーで吊るんです。そのワイヤーが錆びるとしたら付け根部分なので、外から見ただけだとわからない。ワイヤーが切れれば、橋は崩落します。私は、日本中の吊り橋は今すぐ総点検すべきだと考えています」

 

 藤野氏が次に挙げるのが「プレストレストコンクリート製」の橋だ。

 

「コンクリートは引っ張りの力に弱いのですが、中に鋼材を通して引っ張り、コンクリートに圧縮力を与えることでこの弱点を補います。ひび割れが防げるなどの効果も期待できるのですが、鋼材が切れてしまうと非常にもろくなってしまいます。問題は鋼材の点検です。コンクリートの中に入っていますから、目視点検ができません。だから、突然切れるという事故が起きるのです」

 

 イタリアでは2018年、モランディ橋が突如崩落する事故が発生した。この事故も、橋げたを吊る斜めのコンクリート材の中の鋼材が切れたことが原因だという。

 

「ヒビから雨水などがしみ込んで、内部の鋼材が錆びてしまうと危険です。ちゃんと点検すればよいのですが、地方自治体になると、非破壊検査などができる専門家がいないことが多い。業者に委託する費用も高額ですからね……」

 

 藤野氏がもっとも懸念するのは、市区町村が橋を管理しきれていないことだ。実際、危険度がIVであるにもかかわらず、補修措置が未着手となっている橋が、全国に389カ所もある。本誌は都道府県別に、「レベルIV」かつ「措置未着手」の橋の数とおもな橋名をまとめた。藤野氏が、補修の現状を語る。

 

「こうした未補修の橋は、市区町村が管理しているものがほとんどです。見るからに危ない橋ばかりではありませんが、国や都道府県が管理するものに比べて、メンテナンスが行き届いていないことが多いのが実情です」

 

 実際、市区町村でも予算不足を嘆く声がある。マップにもカウントされている、富山県・月形橋。管理主体である滑川市役所建設課に問い合わせると、担当者はこう語った。

 

「月形橋は現在通行止めにしています。58年前に架けた橋ですので、腐食が激しい。これ以外にも市内には、高度経済成長期以降のバブル期などに集中的に建設され、今後急速に老朽化が想定される橋が多くあります。修繕の予算が厳しいのは事実ですが、それでもしっかり修繕していかなければ、と思っています。ただ月形橋に関しては、もう修繕はしないでしょう。代替となる橋もすでにありますし、なによりあまりにも老朽化していますから……」

 

 藤野氏は、「安全はカネで買うものです」と語る。バブルの産物を使い続けるためにも、カネとヒトがまだまだ足りない。

 

写真・本誌写真部、共同通信、AP/アフロ

( 週刊FLASH 2024年6月18日号 )

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