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落とした「携帯扇風機」に注意せよ!「バッテリー爆発で粉々になることも」専門家が警告【画像あり】

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.08.05 19:45 最終更新日:2024.08.05 19:45

落とした「携帯扇風機」に注意せよ!「バッテリー爆発で粉々になることも」専門家が警告【画像あり】

携帯扇風機の破損事故を想定した実験映像(提供元 NITE)

 

 マネキンが首にかけていた携帯扇風機が、突然爆発して粉々に砕け散った――。

 

 これは、経産省所管の独立行政法人「製品評価技術基盤機構(NITE)」が公開している映像だ。地面に落とした衝撃で損傷した携帯扇風機のバッテリーが、一瞬にして破裂する事故を再現している。

 

 連日の耐えがたい猛暑。街を歩けば、少しでも涼を求めて携帯扇風機を手にしている人も少なくない。だが、そんな日常的に使う製品に、危険が潜んでいる。

 

 

 実際、携帯扇風機にまつわる事故は頻繁に起きているという。同機構の製品安全センター製品安全広報課の安元隆博氏がこう警告する。

 

「携帯扇風機関連の事故は、2024年3月までの5年間で51件発生しています。2019年度が22件、20年度が14件、21年度が5件、22年度が4件、23年度が6件です。

 

 事故発生時の使用状況は、使用中が6件、充電中が21件、状況不明が22件、その他が2件となっています。ただ、これは私どもに報告された件数ですので、実際はもっと多くの事故が発生していると思われます。

 

 そして、これらの事故の半数近くが火災に発展しています。2020年7月には、兵庫県内で充電中の携帯扇風機が発火し、50代男性が火傷などの軽傷を負う事故もありました。このケースでは、製品に製造メーカーは記載されておらず、販売店の連絡先は中国となっていました」(以下「」内は安元氏)

 

 それにしても、携帯扇風機は、なぜ破裂・発火するのだろうか。

 

「リチウムイオン電池のなかには、灯油と同じレベルの可燃性の高い電解液が入っています。

 

 ふだんは電解液のなかで+極と-極が『セパレーター』という絶縁フィルムで仕切られているんですが、強い衝撃を与えると、『セパレーター』が壊れて+極と-極がくっついてしまう。

 

 これによってショートし、ショートすると熱がどんどん上昇して、化学反応が起きて電解液がガスに変わる。この可燃性のガスにショートした火花が引火すると発火・破裂にいたるんです。

 

 そのため、落とすなど強い衝撃を与えて内部が破損したバッテリーが、突然の発火を起こすことがあるんです」

 

 安元氏によると、衝撃だけでなく、高温もリチウムイオン電池を破壊する要因になりうるという。

 

「リチウムイオン電池には、熱に弱いという特徴があり、5~45度の範囲で使用するよう呼びかけている製品が多いです。

 

 過去にJAFがおこなった調査では、気温35度の場合、炎天下の車内の温度は57度まで上昇し、ダッシュボード部分は最高で79度にもなりました。

 

 ダッシュボードに放置して直射日光を受けると出火の原因となりますので、放置しないよう注意していただくことが必要です」

 

 とはいえ、35度を超える気温のなか、携帯扇風機が必需品になっている人も多い。発火する “予兆” などはないのだろうか。

 

「落としたりして発熱や外装の変形などの異常が見られた場合、また使用中は異常がなくても充電中にいつもより熱くなったりして異常が見られた場合は、絶対に使わないでください。発火や破裂の予兆です。また、充電中に発火する事例もあるので、異変に気がつきにくい就寝中の充電も避けたほうがいいでしょう。

 

 また、携帯扇風機には製造時から不具合がある粗悪な製品もなかにはあります。事故を未然に防ぐためには、“粗悪品” をつかまない製品選びも重要です。

 

 先に申し上げた兵庫県内の発火事故のように、製造業者名が製品に明記されていなかったり、連絡先が不明という製品は買わないほうがいいでしょう。また、極端に安い製品は安全面に問題がある可能性があります」

 

 仮に発火しそうな場合、どうすればいいのか。

 

「煙が出るなど発火の予兆が見られた場合、延焼のリスクを抑えるため、NITEで推奨しているのは『金属製の缶や鍋などの容器に入れて密封する』です。万一、発火した場合のリスクを下げられますので。

 

 その後、事業者や販売店にすぐ連絡して、適切な処置や対応法について聞いていただくことが大事なのかなと思います」

 

 廃棄するときも缶の中にいれたほうがいいのだろうか。

 

「廃棄する場合は、自治体の指示に従っていただきたいです。金属製の容器に入れて捨てると、中身が何かわからないと思いますので、ゴミとして廃棄する場合、『捨てていいですよ』となったら、たとえばプラスチックの袋とは別の袋できちんと『有害ごみ』と書いて捨てるなど、お住まいの自治体の指示に従うようにしていただければと思います」

 

“安物買い” で命の危険を招いては元も子もない。

( SmartFLASH )

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