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【トカラ列島群発地震】識者が指摘する“流体地震”の恐ろしさ…伊豆半島、箱根、奥羽山脈は“要警戒”!

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記事投稿日:2025.07.14 17:10 最終更新日:2025.07.14 17:11
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
【トカラ列島群発地震】識者が指摘する“流体地震”の恐ろしさ…伊豆半島、箱根、奥羽山脈は“要警戒”!

7月6日、避難を希望する住民らを乗せて鹿児島県小宝島を出航するフェリーから手を振る子供たち(写真・共同通信)

 

 まさに、異常事態だ――。

 

 6月21日から続く鹿児島トカラ列島近海を震源とする群発地震は、7月11日までに震度1以上の地震が1800回を超え、小宝島(こだからじま)と宝島が南北に約10cm離れるという地殻変動まで起きた。

 

「最大震度は6弱で、けっして小さい揺ればかりではありません。こうした事態に、悪石島(あくせきじま)の住民が島外避難を始める事態にまで発展しました。

 

 たび重なる地震はすでに3週間超に及ぶものの、収束の兆しは見えていません」(社会部記者)

 

 

 今回の群発地震の原因には、何が考えられるのか。京都大学防災研究所地震災害研究センターの西村卓也教授は、こう分析した。

 

「私は、地下にあるマグマの移動が群発地震を引き起こしていると考えています。地震は基本的にプレートの沈み込みなどにより断層にかかった力が限界に達すると引き起こされるのですが、プレートの動きは年間数cmの速度なので、今回のように地震が群発することは考えにくいのです。

 

 しかし、マグマが断層の近くに移動してきて、周囲の岩盤を押し広げた場合は、プレートの移動などと同じように断層に力がかかって地震が発生することがありえます。流体であるマグマの移動は、ふだんのプレート運動に比べて急激な力を継続的に生み出し、これが周辺にある断層を刺激し、地震を頻発させる原動力になるのです。

 

 トカラ列島には、海底火山や火山由来の島が点在しています。今回、付近の地下に眠っていた流体のマグマが動いたことにより、地震が起きていると考えています」

 

 東京科学大学地震学研究室の中島淳一教授は、マグマのほかに地下水が群発地震の原因である可能性を指摘した。

 

「私は、マグマか地下水のどちらかが原因であるだろうと考えています。断層は、ふだん周辺の岩盤からの圧力で固定されているのですが、地下深くから水が上昇し、これが断層に潤滑油のようにして入り込むと、力のバランスが少し崩れただけで地震を引き起こすようになります。今回もこうしたメカニズムで、断層を固定する力のバランスが崩れて地震を群発させたのではないか、と考えられます。ただし、原因がマグマである可能性は否定できず、地下水と両方の可能性が考えられます」

 

 中島教授によれば、マグマが地中深くに眠っている場合は、地下水がマグマによって熱せられて上昇することがあり、その地下水が断層に入り込み、潤滑油の役割を果たして断層を動きやすくさせるのだという。こうした地下水の上昇が断層を動かし、群発地震を起こした“流体地震”は、つい最近にも見られた。

 

 2021年以降、石川県珠洲市では流体が原因の群発地震が多数発生していた。この状況のなかで、昨年元日に、最大震度7を記録した「令和6年能登半島地震」が発生した。中島教授は、能登半島地震との比較をこう語る。

 

「今回の群発地震は、能登のときと同じく、流体の動きが断層に関与した地震と考えてよいでしょう。これまでもトカラ列島では、こうした群発地震が起きていました。しかし、これまでは10日くらいで収束していたのが、今回は20日以上続いています。群発地震はこのまま沈静化すればよいですが、能登と同じように大きな地震が発生する可能性は否定できません」

 

 では、次に“流体地震”が起きうる場所はどこが考えられるのだろうか。前出の西村教授は、火山のマグマによる地震の誘発を想定して、以下のように指摘した。

 

「マグマによる地震という点では、過去には伊豆半島や伊豆諸島で今回以上の群発地震が起きたことはありますから、今後も警戒が必要でしょう。

 

 さらに箱根や、東北地方の奥羽山脈にも活発な火山があります。九州も鹿児島や熊本のように活発な火山がある地域では、今回のような群発地震が起こりうると考えます。

 

 日本全国で、これ以外にも各地で流体が溜まっていると推測されます。流体による地震は、どこでも発生しうるものだと警戒すべきでしょう」

 

 どこに住んでいても「備え」は必要だ。

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