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ヒラリー・クリントンが語る「トランプがプーチンを評価する3つの理由」

社会・政治 投稿日:2018.07.23 06:00FLASH編集部

ヒラリー・クリントンが語る「トランプがプーチンを評価する3つの理由」

『写真:ロイター/アフロ』

 

 大統領選でトランプ氏と戦ったヒラリー・クリントンが、回顧録『WHAT HAPPENED 何が起きたのか?』を発表した。そこには、敗北後の心境や今後について、さまざまなエピソードが語られている。

 

 トランプ大統領はロシアの選挙介入を認めたが、なぜトランプ大統領とプーチン大統領は仲がいいのか。同書の関連部分を再構成して、紹介しよう。

 トランプ大統領がロシアのプーチン大統領を高く評価しているのは有名な話だ。トランプとプーチンの「男の友情」が芽吹いたのには、3つの説明ができると思う。

 

 まず、トランプは独裁者や強い男に奇妙な憧れを持っている。彼は北朝鮮の若き支配者、金正恩を、強力で、反対分子を除去する技能に長けているといって褒めた―─「彼のことは信用したほうがいい」と、トランプは言った。

 

 また彼は1989年の中国人民解放軍による天安門広場での非武装の学生抗議者たちの大虐殺について、力を見せつけたと感心するように話した。

 

 何よりも、力が重要なのだ。トランプは道徳や人権といった見地からは考えない。彼が考えるのは、力と支配だ。「力は正義なり」なのだ。

 

 プーチンも同じ考え方をするが、はるかに戦略的だ。トランプはプーチンの、マッチョな演出に、すっかりやられてしまったらしい。

 

 次に、外交政策問題には興味も知識もないのに、トランプはずっと、プーチンの政策と連携できると考えている。彼はアメリカの同盟国を疑い、外交政策に価値を見出さず、アメリカが世界的リーダーシップの責務を負い続けるべきだと考えてはいないようだ。

 

 1987年、トランプは10万ドル近くをかけて『ニューヨーク・タイムズ』『ワシントン・ポスト』『ボストン・グローブ』に全面広告を出し、ロナルド・レーガンの外交政策を批判し、自分で身を守るべき同盟国を守ってやるのはやめろと促した。

 

 

 アメリカは世界にばかにされ、利用されていると言った。それから30年近く経った今も、同じことを言っている。

 

 アメリカの同盟関係は用心棒代の取り立てのようなもので、弱い国からは安全保障と引き換えに貢納金を取っていいという。NATOからの脱退を示唆し、EUの悪口を言った。イギリスやドイツといった国々のリーダーたちを侮辱した。教皇フランシスコと、ツイッターで言い争いまでした!

 

 これらのことがあったので、大統領になったトランプが同盟国と諍いを起こし、NATOサミットでの相互防衛の基本方針への忠誠を拒否したのを見ても、わたしは少しも驚かなかった。

 

 このすべてが、プーチンには愉快に見えているだろう。クレムリンの最終的な目標は、大西洋同盟を弱め、ヨーロッパにおけるアメリカの影響力を削減し、ロシアによる支配が根づくことだ。プーチンにとって、ドナルド・トランプは願ってもない友人なのだ。

 

 第3の説明は、トランプがロシアと強い金銭的な繋がりを持っているらしいということだ。

 

 ロシアの新聞『コメルサント』によると、2008年、トランプの息子ドン・ジュニアはモスクワの投資家に、「うちの財産の多くにおいて、ロシア人が代表的な存在になっている。ロシアからはかなりの金が流れこんでくる」と語った。

 

 2013年、トランプはトーク番組の司会もするコメディアン、デイヴィッド・レターマンのインタビューで、「ロシア人とはたくさん商売をした」と話した。

 

 ジェイムズ・ドッドスンという有名なゴルフ専門ジャーナリストは、トランプのもう一人の息子エリックが、トランプのゴルフ・プロジェクトへの資金に「アメリカの銀行を当てにしてはいない、必要な金はロシアから調達する」と語ったと報告した。

 

 トランプの確定申告を見なければ、こうした金銭上の繋がりを把握するのは不可能だ。

 

 倒産を繰り返し、大半のアメリカの銀行が出資を拒否しているにもかかわらず、トランプとその会社、あるいはパートナーたちは、資金に困っている様子はない。

 

『USAトゥデイ』によれば、「裕福なロシア人や元ソビエト共和国からの新興財閥(そのいくつかは組織的犯罪に関与しているとされている)」を頼りにしたと考えるに足る理由があるとのこと。これは裁判の報告書や法的書類に基づいたものだ。

 

 2013年、彼がモスクワで開いたミス・ユニバース・コンテストは、プーチンの盟友である億万長者が出資していた。ホテル建設のため、彼はフェリックス・サターというロシアからの移民と提携したが、この人物は以前マフィアと関連があり、マネー・ロンダリングで有罪判決を受けたことがある。

 

 全てを足し合わせるとトランプの親プーチンの弁論は意味を成してくる。しかもそれは、選挙運動を通してオープンで、広く知られていた。

 

 そのピークが、2016年4月末、トランプがワシントンのメイフラワー・ホテルでの外交政策に関するスピーチで、ロシアとの関係を改善すると述べたときだった。アメリカ駐在のロシア大使、セルゲイ・キスリャクが、最前列で拍手した。

 

 共和党の国家安全保障専門家は、トランプのプーチンを受け入れる姿勢に驚いた。わたしもだ。わたしは機会があるたびに、トランプを全軍最高司令官にならせるのは非常に危険で、ロシアの術中にはまるようなものだと警告した。「クレムリンでクリスマスを過ごすようなものよ」と、わたしは予言した――。

『WHAT HAPPENED 何が起きたのか?』(光文社)詳細はこちら

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