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ラグビー日本代表、NZ代表に善戦も相手は主力メンバー不在 「過大評価は進化の妨げ」専門家が指摘
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2022.10.30 20:02 最終更新日:2022.10.30 20:15
10月29日、国立競技場改築後最多となる観衆6万5188人を集めておこなわれた、ラグビー日本代表対ニュージーランド代表の一戦は、ニュージーランド代表が38対31で勝利を収めた。これで日本のニュージーランドとの対戦成績は、7戦全敗となった。
それでも、「オールブラックス」の愛称で知られ、W杯最多タイ3度の優勝を誇る“ラグビー王国”ニュージーランドを追い詰めた日本代表には、スタンドから大きな拍手が贈られた。
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これを受けて翌日のスポーツ紙も「NZ追い詰めた桜の戦士」(日刊スポーツ)「桜の進化 過去最小 7点差惜敗」(スポーツニッポン)「オールブラックスと互角」(スポーツ報知)などと、日本の善戦を讃えた。
しかし「過大評価は、日本代表の進化の妨げとなる」と、長年、ラグビーを取材してきたスポーツライターが語る。
「日本が確実に力をつけてきたことは間違いありません。1995年のW杯では、ニュージーランドに17対145という記録的大差で負けたことを考えれば、今回はあと一歩まで追い詰めたことも事実です。
でも、ニュージーランドは大幅にメンバーを落としていたのです。チームの中心であるバレット3兄弟(SOボーデン、LOスコット、BKボーディー)は、祖母が亡くなっため、来日が遅れて不出場。FWのリーダーであるサム・ホワイトロックと、世界一のトライゲッターであるウィル・ジョーダンはケガのため不参加。父のエディーが日本のリコーでプレーしたいため、息子をリーコとなずけた破壊力抜群のイオアネ、ナンバー8のアーディー・サヴェアもいない。要するに、ベスト15から7人ほど抜けていたんです。
このなかにも、無理すればプレーできる選手もいました。しかし、オールブラックスは日本戦の翌日、渡欧し、11月5日にウェールズ、13日にスコットランド、19日にイングランドと対戦します。これらの主力は、そこに照準を合わせていたため、日本戦には出ませんでした。日本戦は若手のテストであり、出場した中堅やベテランは調整試合のひとつを考えていたんです。こういったことを差し引いて、日本の戦いぶりを評価しなければいけないと思います」
たしかに試合後、選手たちは一様に悔しさを滲ませて、試合を振り返った。
司令塔でSH流大(ながれ・ゆたか)は「善戦と皆さんは言ってくれるけど、勝たないと意味がない。7点差は重いです」、ジャッカルやトライで相変わらずの存在感を見せたFL姫野和樹も「悔しいです。勝てた試合で満足するような日本代表ではない」と、すでに11月12日から始まる欧州ツアーに目を向けていた。
結局のところ、結果に浮かれていたのはスポーツマスコミだけだったのかもしれない。
( SmartFLASH )