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日本シリーズで“大化け”オリックス・宇田川を覚醒させた捕手の「戦力外通告」にファンから集まる感謝
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2022.11.02 19:45 最終更新日:2022.11.02 19:45
オリックスの勝利で終わった、2022年の日本シリーズ。賞こそ獲ることはできなかったが、26年ぶりの日本一に貢献したのが、宇田川優希投手だった。日本シリーズでは4試合に登板し、計5回2/3を被安打2、奪三振10で無失点に抑え込んだ。
圧巻の投球を見せたのが、ヤクルトの2勝1分けで迎えた第4戦(京セラドーム大阪)でのこと。なんとしても勝利が欲しいオリックスは、無失点投球を見せていた先発・山岡泰輔投手を5回途中、1死三塁の場面で宇田川にスイッチ。中嶋聡監督の期待は、もちろん連続三振だった。150km/hを超す速球と、落差が大小あるフォークボールを操る宇田川は、適任といえた。
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そして、宇田川はみごと、その期待に応え、山崎晃太郎を空振り三振、山田哲人を見逃し三振に仕留めた。ピンチを脱したことでオリックスは流れに乗り、4連勝で日本一に輝いたのだった。
いまや2種類のフォークが代名詞となった宇田川だが、もともとは落差の大きいフォーク1種類だけだった。もうひとつの武器となる、落差の小さいフォークを取得したのは、育成選手としてファームにいたころ。捕手の松井雅人から受けた「フォークの落差が大きいから、三塁にランナーがいるときはサインを出しにくい。落差の小さいフォークもあったらいいんじゃないか?」というアドバイスがきっかけだった。
以降、握りを浅くしたり、縫い目に指をかけたりと、試行錯誤が続いたが、その結果、球を自由に操るすべを身につけた。もはや、オリックスにはなくてはならない中継ぎのエースへと成長を遂げた。
このフォークの習得が、日本シリーズでの大活躍につながったわけだが、言い換えれば松井のアドバイスがあったからこそのことだった、ともいえる。松井は出番こそなかったが、日本シリーズでも一軍に帯同。今回の26年ぶりの美酒も味わった。
それなのに――その翌日には、非情の解雇通告を受けた。
「2019年に中日とのトレードでオリックスに移籍したのですが、インサイドワークに定評があり、肩も強い。一時期は山岡投手の専属捕手として試合に出ていましたが、腰痛持ちで徐々に出場機会が減っていきました。今季も6試合しか出場機会がなく、戦力外通告も仕方がないといえます」(オリックス担当記者)
2022年のドラフトでは、12球団で育成枠を含めれば、124選手が指名された。各球団は、支配下登録選手枠が70人と決められているため、入ってくる選手がいれば、その数と同じように辞めなければいけない選手が出てくるのは当然のことだ。とはいえ“陰の功労者”にとっては、やはり、無慈悲な通告だった。
この報に、オリックスファンからは、ねぎらいと感謝の声が続々と届いていた。
《宇田川を覚醒させた松井雅人さんを崇めよ》
《宇田川の覚醒に一役買ってくれたことは忘れません、ありがとうございました。》
《宇田川にフォークのアドバイスした松井雅人が戦力外かあ………投手育ててきてくれた人の1人やから残って欲しかったな》
たとえ戦力外を通告されても、“陰の功労者”が成した功績は、語り継がれていくのかもしれない――。
( SmartFLASH )