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【WBC】データが語る侍ジャパン「世界一」の必然「メジャーでも超エリート」の長打力、「初球場でノーエラー」守備の適応力

スポーツ 投稿日:2023.03.26 13:00FLASH編集部

【WBC】データが語る侍ジャパン「世界一」の必然「メジャーでも超エリート」の長打力、「初球場でノーエラー」守備の適応力

(写真AP/アフロ)

 

 日本が3大会ぶりに世界一を奪還して幕を閉じた、第5回WBC。第1回、2回に続く3回めの世界一だが、全勝での優勝は今回が初。大会前からの「史上最強の日本代表」という評価を証明した。

 

 栗山英樹監督のチームマネジメント、ダルビッシュ有選手のリーダーシップ、大谷翔平選手の投打にわたる奮闘などが世界一の要因として挙げられているが、ほかにもある。

 

 

 これまでは投手を中心にした堅い守り、そして走塁をはじめとする“小技”など、いわゆるスモールベースボールを代名詞にしていた日本だったが、今回の大会ではパワーも見せつけた。

 

 チーム成績で見るとOPS.961と本塁打数9は2位、チーム打率.299は6位ながら、打点数55は1位。勝負強さが光った。ただし、準決勝以降の強豪相手の試合での数字が重要であることは付言しておく。

 

 過去4大会の準決勝、決勝は計6試合だが、本塁打は合計で3本だった。第1回大会の準決勝・韓国戦で2本、第4回大会準決勝・アメリカ戦で1本である。今回は準決勝、決勝の2試合で日本の本塁打は3本。決勝での2本は、村上宗隆選手と岡本和真選手というNPBを代表する強打者によるものだ。

 

 岡本選手は、準決勝でもそのままならスタンドに入っていたと思われる打球を惜しくも好捕された。また、村上選手が決勝で放った本塁打の打球速度は約185.2km/hで、今大会最速。その速度は、2022年のMLBの全本塁打と比較すると、わずか0.4%の上位に入るという。メジャーリーガーのなかでも、超エリートクラスといえる打球だったことになる。

 

 すでにMLBで大活躍中の大谷翔平選手や、2023年から参戦する吉田正尚選手以外にも、メジャーリーガーに引けを取らないパワーヒッターが日本代表に複数、存在することを見せつけた。これまでの日本代表では見られなかった攻撃力だった。

 

 同時に、日本のお家芸である堅い守りも健在だった。今大会の日本のエラーは7試合でわずかに2つ。いずれも送球エラーであり、WBC球の影響もあったと思われるから、それ以外の面では守備は完ぺきだったと言える。

 

 日本のディフェンスは、強力な投手陣に脚光が当たりがちだ。実際にチーム防御率2.29、奪三振80はダントツの1位で、WHIP0.87、被打率.194もトップと、文句のつけようがない。ただ、野手の堅い守備があったからこそ、投手陣が実力を発揮できたとも考えられる。

 

 とくに感心させられたのは、マイアミでの2試合でノーエラーだったことである。天然芝、人工芝問わず、初めての球場でのサーフェス(グラウンドの表面)にはどうしても神経質になる。テレビで見るだけだとわかりづらいのだが、芝の違いや模様、刈りこみの長短などにバウンドは影響されるため、初めての球場は見た目以上に適応が難しい。もちろん、プロなら言い訳はできないという意見もあるが……。ローンデポ・パークの人工芝は日本では見ないタイプのもので、準決勝の前の練習では球足が速いという感想も出ていた。慣れないWBC球と初めての芝という、複数の難敵を抱えたなかでの2試合ノーエラーは、おみごととしか言いようがない。

 

 さらには走塁も健在だった。決勝戦では得点にこそ結びつかなかったものの、山田哲人選手が2盗塁。事前のデータでクイックがないことをわかっていたと思われるが、そのような分析力も含めての走塁能力と言える。準決勝での決勝点となった周東佑京選手の一塁からのサヨナラのホームインは、もはや説明不要だろう。周東選手のような切り札が存在することも、日本の強みのひとつだった。ちなみに、チーム盗塁数10もトップだった。

 

 振り返ってみれば、2013年の第3回大会の準決勝では、終盤の勝負所で重盗に失敗し、結果的に敗退。2017年の第4回大会の準決勝でも、名手・菊池涼介選手のエラーが相手の先制点につながり、2対1で敗れた。この場面、映像からはわかりにくかったが、打球がイレギュラーしたともいわれている。しかし、ふだんプレーする日本の球場であれば、少々のイレギュラーでも菊池選手がエラーすることは考えにくい。どんなに名手といわれていても、慣れない球場では適応が難しいことを思い知らされたプレーだった。

 

 今大会では守備でも走塁でもミスはほとんど見られず、従来の強みを最大限に発揮した日本代表。そこに長打力が加わった今回の陣容であれば、世界一になることは必然だったのかもしれない。

 

(文・小島一貴)

( SmartFLASH )

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