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新庄剛志監督が二代目ノムさんに! “楽しんじょう” の裏で見せる鬼の顔、元プロ選手には「あっさり諦め」アドバイス
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2023.08.31 06:00 最終更新日:2023.08.31 06:00
「人を見て法を説け」
かつて教え子だった北海道日本ハムファイターズの新庄剛志監督(51)との対峙について、故・野村克也氏が生前に評した言葉がそれだった。
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今季「ビッグボス」の名を捨て、勝利を誓った新庄監督だが、目下チームは最下位争い。しかし、意外にもその手腕は評価されている。
「日本ハムは、今季の開幕前に大幅な戦力補強をしていませんでした。そんななか、一時はAクラスを狙える位置にいましたし、『この戦力でよくやっている』という声が多いんです」(日本ハム担当記者)
スタメンを見ると、20発を越えて本塁打王争いに名乗りを上げた万波中正(ちゅうせい、23)、中日から獲得した郡司裕也(25)、アリエル・マルティネス(27)、そして就任時から厳しく鍛えている清宮幸太郎(24)が名を連ね、守護神にはソフトバンクで燻っていた田中正義(せいぎ、29)がしっかりと収まった。手塩にかけて育てた “新庄チルドレン” が、核になっている。
昨季開幕前、清宮に「デブじゃね?」と毒舌で減量を命じ、話題となった新庄監督。今季は、その「アメとムチ」に磨きがかかっているという。
「マスコミの前で、試合中にミスを犯した選手を強い言葉で批判することが増えたんです。ただ、それは責任追及をしたいのではなく、選手の奮起をうながすため。その証拠に、こっぴどく叱った選手が翌日もスタメンで出場しているというのはよくあることで、万波も何度も叱られていますよ」(スポーツ紙デスク)
毎試合、囲み取材でボヤき続けていたノムさんを思い出させる光景だ。
「今季途中に、中日からトレードで移籍してきた郡司は捕手ですが、打撃を買って一塁、外野でも出場させています。先日は野球を始めてから一度も経験がない二塁を練習させていました。これも現役時代の新庄監督に二刀流をやらせた野村監督を彷彿とさせます。このコンバートは、けっして思いつきだけではないと思います。
派手な言動に注目が集まりがちですが、評論家たちも『本当に野球をよく勉強している』と、口を揃えているんです。そして、アドバイスのうまさも目立ちます。現役時代、野村監督のような長々と語りかけてくるタイプはじつは嫌いだったそうなんですが、それを反面教師にしているのかもしれません」(同前)
元阪神の外野手で「トクサンTV」などで、ユーチューバーとしても活動する田上健一氏(35)は、新庄監督が15年ぶりの現役復帰を目指して48歳で挑戦した2020年の合同トライアウトに一緒に参加した。
「新庄監督以外は20代、30代の選手ばかりとあって、じつはトライアウト前に共通の知人から『新庄さんをよろしくね』と言われていたんです」
トライアウト開始前から周囲の繋ぎ役として、新庄監督と言葉を交わしていた田上氏。その日、 “最側近” として感じたのは、あっさりと「諦観」する新庄監督の言葉だった。
「同じ外野手なので、守備の打球判断やスタートの切り方について、いくつか質問しました。
あの日は太陽がすごく眩しく、『太陽が正面にあるときはどうするんですか?』と聞いたんです。『まず横からボールを見て、太陽が目に入らないように捕る』と。ただ、『本当に真正面だったら無理!』と言っていました。
打球に対する一歩めも『意識は前に持ちなさい』と。投手が打ち取った、自分より前の打球をしっかりアウトにするのが先で、後ろの打球は『捕れたらファインプレーくらいでいい』と言うんです。
これまでの野球人生で多くの指導者と出会いましたが、いちばん的確でわかりやすかったですね」(田上氏)
勝った日は饒舌になり、負けた後はしっかりとカミナリを落とす。緩急はっきりしている “楽しんじょう野球” は、言われればノムさんそのままのような……。