「練習をやってきてこの順位なので、それが物足りなかったから、もっと練習をしなさいということです」
2018年の箱根駅伝で4連覇を目指す青山学院大学。しかし、10月9日におこなわれた大学三大駅伝の初戦「出雲駅伝」では東海大学に敗北を喫した。試合後、原晋監督(50)は、悔し涙を流す選手に対して冒頭の檄を飛ばした。
青学大の大学三大駅伝での連勝は「4」でストップ。
11月5日には、大学三大駅伝の2戦め「全日本大学駅伝」がおこなわれる。全6区間45.1キロの出雲に比べ、106.8キロにおよぶ全8区間を襷でつなぐ全日本、さらに全10区間が20キロ以上の箱根はチームの総合力が試される。
原監督は出雲駅伝後、次のように展望を語っている。
「全日本と箱根は区間も長いし、距離が長くなるほど、チームの総合力がものをいう。ともに自信があります」
一部の大学陸上関係者からは、「これからは東海大の時代」という声も上がっているなか、自信のほどをのぞかせる原監督。それは駅伝に競り勝つための “青学メソッド” があるからだ。
2015年箱根駅伝で区間賞を獲得、青学大初優勝に貢献し、現在はアサヒ飲料に勤務する高橋宗司さん(24)が語る。
「サンキュー大作戦やワクワク大作戦など、チームのキャッチフレーズが話題になる原監督ですが、長距離走指導のベースになっているのが “リディアード理論” と呼ばれるメソッドです」
まずは長距離走に欠かせない「有酸素能力=持久力」の土台をつくる。それから、全力疾走とジョギングを反復する練習などで、「無酸素能力=全力疾走のスピード」を積み上げていく。そうすることで、効率的に長距離を走り続けることが可能になるという理論だ。
「高校時代までは、持久力の強化を目的とする30キロ走でもラスト1キロは全力疾走が求められました。ところが、原監督は最後の最後までイーブンペースで走らせます。つまり、有酸素能力の練習と無酸素能力の練習が混在しないようにしているのです。
こうした練習法によりジョギングのような感覚でスピードを上げられるようになりました。私が在学した当時から長距離に自信を持つ選手が多かったのは、このリディアード理論による練習の成果だと実感しています」(高橋さん)
「○○大作戦」よりも控えめな秘策で、原監督は「黄金世代」を擁する東海大の躍進を食い止める。
(週刊FLASH 2017年11月14日号)