2023年に日本一となった阪神にとって、2024年は新たな挑戦の年でもある。伝統も人気もある球団だが、じつは日本一連覇をただの一度も経験していない。1985年にそのチャンスはあったが、主軸に故障者が続出し、セ・リーグ3位に沈んだ(当時はCS制度はなし)。
それだけに、ナインや“虎ファン”の想いは強かったが、オープン戦で出鼻をくじかれた。自慢の投手陣も機能せず、3勝14敗1分けと最下位だった。岡田彰布(あきのぶ)監督は「オープン戦は、ほとんどノーサインやったから、サインを出せば変わるわ」と強気だったが、巨人との開幕3連戦は1勝2敗と負け越し。とくに1試合めと2試合めはともに完封され、今後の戦いに、大いに不安を募らせる結果となった。
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「レギュラー陣が20代中盤で、この数年間は戦っていけるといった声がある一方、岡田監督がレギュラー陣を固定するあまり、それ以外の選手の底上げができていない、という声があることも事実なんです。それだけレギュラー陣とほかの選手には差があります。キャンプで若手の台頭を待っていたんですが、期待したほどではありませんでした」(阪神担当記者)
もうひとつ、不安材料としてあげられているのが、レギュラー陣の経歴だという。
「不思議なんですが、レギュラー陣の経歴を見ると中野拓夢、近本光司、木浪聖也らは社会人野球出身で、大山悠輔、佐藤輝明は大卒と、高卒の選手がほとんどいないんです。となると、活躍できる年数は限られますし、いまのレギュラー陣が短命で終わってしまうのでは、といった危惧もあります」(同前)
また「グラウンド以外にも不安材料はある」とスポーツ紙デスクは語る。
「ようやくコロナ禍も終息に向かい、春季キャンプには多くの阪神OBが訪れました。となると、練習後のお誘いが増えるのも阪神の伝統。かつて野村克也さんが監督時代、『阪神をダメにしているのがOBの夜のお誘い』とボヤいていましたが、2024年から復活。『練習に影響が出るのでは』と、岡田監督も心配していました。
また、岡田監督と担当記者の関係もギクシャクし始めました。岡田監督によれば『ウソを書くからしゃべらん』となるんですが、すでにオープン戦のときに、囲み取材を拒否しているんです。岡田監督は“アレ”に代表されるように、紙面になりやすいような言葉を発してくれるんですが、逆に気に入らないことがあると、いっさい喋らなくなることもある。担当記者と監督の関係が悪くなると、選手も敏感に感じますからね。今後、尾を引かないか心配です」
ペナントレースに入る前、じつは不安要素を抱えていた連覇を狙う阪神。ちなみにオープン戦最下位は、金本知憲氏が監督だった2018年以来。14敗は野村克也氏が監督を務めた2000年以来だ。この2つのシーズン、阪神はともに最下位に沈んでいる。
その岡田監督が、春季キャンプで「ライバルは?」と問われると、意外にも「巨人や!」と即答していたのである。当の巨人は、原辰徳前監督の長期政権の弊害か、2022年から連続で4位。その不振を極める巨人を、なぜ警戒するのか。
「巨人は原氏に全権を任せていましたが、その力があまりにも大きくなり、選手たちが委縮。ここ数年『選手はベンチ(原監督)を見てプレイしている』と揶揄されたほどでした。その原氏に代わって監督になったのが阿部慎之助ですが、彼は二軍監督時代から、昭和の臭いを残すようなスパルタ指導でした。なので、原氏から阿部監督に変わっても、選手は同じように、監督の顔色をうかがいながらプレイするのでは、といわれてきたんです。
ところが、いざ監督になると一変。徹底したしごきは影を潜め、指導もコーチ任せ。それでも解決しないときは自ら指導するなど、メリハリが利いているんです。選手は萎縮するどころか、キャンプからのびのびプレイしています。
もともと巨人は力のある選手が多くいて、しかも2023年に若手を我慢して使い続けた結果が、2024年に出てくるのでは、という点を、岡田監督はもっとも恐れているんです。なによりも、監督が代わったことでチーム内が明るくなった雰囲気を警戒しているようです」(巨人担当記者)
球団初の日本一連覇を目指す阪神。球団ワーストとなる3年連続Bクラスを阻止したい巨人。2024年も“伝統の一戦”は幕を開けた。
( SmartFLASH )