6月29日(現地時間)、W杯での対モロッコ戦でPK戦の最中に整列するオランダ代表の選手たち(写真・ロイター/アフロ)
スペインの2回めの優勝で幕を閉じた北中米W杯。優勝国の圧倒的な個と、イレブン全員の共通意識のうえにたった組織力との融合は、まさに大会の華であり、誰もが世界一と認めた。
一方で、その決勝でアルゼンチンが見せたラフプレーに代表されるように、反則や暴力が注目される大会にもなってしまった。アルゼンチン代表MFレアンドロ・パレデスの暴力行為は、FIFAが再調査することになった。
大会最終日の19日、FIFAは各賞を発表し、反則ポイントがもっとも少なかったチームを称える『フェアプレー賞』をオランダ代表に授与すると発表した。オランダ代表はグループリーグ3試合、決勝トーナメント1試合の計4試合でレッドカードは1枚も受けておらず、イエローカードも3枚しかもらっていない。決勝トーナメントに進出したなかでは、オランダがイエローカードのもっとも少ないチームとなった。モロッコのDFイッサ・ディオプが1人でイエローカード3枚をもらったことを考えれば、いかに少ないかが分かるだろう。
じつはオランダでイエローカードをもらったのは、すべて日本戦でのことだった。対象者はFWクリセンシオ・サマーフィル、FWメンフィス・デパイ、DFミッキー・ファン・デ・フェンの3選手だった。
そのオランダの『フェアプレー賞』に、異議を唱える日本のサポーターが多く見られる。なぜならDFデンゼル・ダンフリースはMF久保に真正面から体当たりし、しかもユニホームをつかんで引き倒そうとしたにもかかわらず、イエローを受けなかったからだ。久保はこの反則で交代を余儀なくされ、以後、1試合も出場することなくW杯を後にした。Xでも
《まさか... 久保をめちゃくちゃにしたな。》
《■悲報■FIFAさん、オランダ代表にフェアプレー賞を与えてしまう》
《そもそも、トランプに平和賞をあげるようなFIFAに期待してはいかん》
と、不満の声が相次いでいる。
「W杯で『フェアプレー賞』が正式に創設されたのは1970年メキシコ大会で、そのときはペルーが受賞しました。ただ、初めて表彰されたのは、1968年のメキシコ五輪で銅メダルを獲得した日本でした。以後、日本は『反則が少なく、きれいなプレーをする』と評判になりました。しかし、世界と戦う上では、大きな足枷となったんです。なぜなら、強国の間では反則をしてでも失点を防ぐ『プロフェッショナル・ファウル』を使うことが主流だったからです。
日本はその後もいろいろな大会で『フェアプレー賞』を受賞しましたが、反面、関係者は『緩いプレーばかりすることで馬鹿にされている』と受け取るようになりました。その反省とともに、1993年のJリーグ誕生でプロ化に成功し、世界に主戦場を求める選手も多く出てきました。そして“反則も辞さない”プレースタイルに変わったことで、日本も強くなっていったのです。
今回、日本はイエローカード計4枚(スウェーデン戦1枚、ブラジル戦3枚。レッドカードは0枚)でした。カードの多さでオランダを上回ったことも、世界の強豪に近づく証明となったのかもしれません」(ベテランサッカーライター)
クリーンな姿勢と“ずる賢さ”を融合させ、次大会で国民に最高の景色を見せてくれることに期待したい。
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