
大谷翔平(写真・桑原靖)
MLB(メジャーリーグ機構)が進めている、現在の全30球団から32球団に増やす構想。これはMLBのコミッショナーであるロブ・マンフレッド氏の悲願であり、任期中の2029年1月までの達成を目指しているという。そこで有力となる地域は、地理的バランスを考慮し、米国の東部と西部から1都市ずつ選出する方針とされている。
この「2球団増計画」に、新たな展開が見られた。米スポーツ専門TVチャンネル「ESPN」が8日、新球団の参入候補地として、西部枠はソルトレイクシティ(ユタ州)、東部枠ではナッシュビル(テネシー州)などが有力視されていると報じたのだ。
「アメリカで4大スポーツと呼ばれるのが、アメリカンフットボール(NFL)、野球(MLB)、バスケットボール(NBA)、そしてアイスホッケー(NHL)ですが、近年はMLBの人気低下が著しい。その要因でもっとも大きいのが、とにかく試合開始から終了までの時間が長いことです。
たとえばNBAの試合時間は12分×4クォーターで48分、NFLの試合時間は15分×4クォーターで60分しかありません。でも2022年までのMLBの試合時間は、3時間を超えることはざらでした。これでは観客も中だるみし、結果、4大スポーツの中でも人気が低迷してしまったのです。
事を重く見たMLBは、2023年に投球間の時間を制限するピッチクロックなどを導入し、試合時間短縮に努めました。結果、3時間超えだった平均試合時間が、2時間40分ほどに短縮されました。
これによってMLBの人気も回復し始め、だからこそいま、球団増加を推し進めているわけです」(現地記者)
1998年、MLBはタンパベイ・デビルレイズ(2008年にレイズと改称)がアメリカンリーグに、アリゾナ・ダイヤモンドバックスがナショナルリーグにそれぞれ加わり、計30球団となった。これにより変わったこととは何か。
「2つ球団が増えれば、それだけ選手も必要になります。でも、なかにはMLBレベルになくても、球団が増えたことでプレーせざるをえなくなるような選手も多くいたのです。
するとどうなるのか。それまででは考えられない凡プレーが増え、MLBの『全体のレベルまで下がってしまった』とさえ言われたのです」(前出記者)
では、今回の2球団増も同じようにレベル低下につながるのか。
「じつはあまり懸念されていません。それは、3A以下のマイナー組織がしっかりしていて、育成の面でも大きな成果が出ているからです。
あえて指摘するなら、MLBにとっての問題ではありませんが、日本球界からの日本人選手の流出が多くなるということです。
今や日本はMLBへの一流選手の“輸出国”です。何しろ世界一のプレーヤーである大谷翔平がロサンゼルス・ドジャースにいます。ほかにも多くのチームの主力として日本人選手が活躍しています。
また、この2年は日本のプロ野球を経験せずにMLB入りを果たした選手がオークランド・アスレチックスの森井翔太郎(マイナー契約)とアリゾナ・ダイヤモンドバックスの佐々木麟太郎と、2人もいます。
この流れは今後ますます強まると予想されるなか、球団が2つも加われば、MLBのドラフトにかかる日本人選手は増えていくでしょう。年俸も日本の10倍以上になることも、“輸出”に拍車をかけるはずです」(スポーツライター)
NPBのスカウトマンにとっては頭の痛い話となりそうだ。
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