
なでしこジャパンの瀬野有希選手(写真・共同通信)
「第20回愛知・名古屋アジア大会」が9月19日に開幕するが、それに先駆けて14日、女子サッカー日本代表・なでしこジャパンの初戦がおこなわれた。
対戦相手は格下のタイということもあり、日本は前半開始早々からエンジン全開で攻め立てた。前半3分に左サイドのスローインから、FW中嶋淑乃(よしの)が鮮やかなミドルシュートをたたき込むと、次々に加点。前半だけで4-0とした。
後半もワンサイドゲームは続き、終わってみれば8-0の大勝。MF中嶋と、途中出場したFW宝田沙織の2選手が、ハットトリックを達成した。
「この試合、とくに相当の覚悟を持って臨んでいたのが、なでしこジャパン初選出のDF瀬野有希でしょう。これだけ点差が開くと、どこか気の抜けたプレーが露見するものですが、『4-2-3-1』というフォーメーションの右センターバックで出場した瀬野は、最終ラインから大声で味方を鼓舞し、タイにつけ入る隙を与えませんでした。また、武器である長短のパスも冴え、攻撃のアクセントにもなりました。
じつは瀬野は、日本の女子スポーツ界では珍しい“ママさん選手”なんです。彼女は2022年に結婚し、2024年11月に妊娠を発表。翌年の3月には第1子となる長男を出産しています」(スポーツ紙記者)
出産後、わずか5カ月で現役に復帰し、今回の初選出となった。なでしこジャパンで“ママさん選手”といえば、INAC神戸の宮本ともみ監督以来のこと。宮本監督は、2007年中国W杯に選手として出場している。
「瀬野は出産後もサッカーを続けるかどうか、迷った時期もあったようです。でも、日本サッカー協会(JFA)による“ママさん選手”へのサポートは、かなり充実するようになってきていました。合宿や遠征に子どもの面倒を見るベビーシッターの帯同と、それにともなう費用をJFAが負担する『なでしこジャパン 育児サポート制度』ができましたから。
これによって、選手も安心してプレーと子育ての時間を分けることができるようになり、瀬野に続く“ママさん選手”の誕生を期待する声は高まっています」(サッカーライター)
女性スポーツ選手が出産し、その後に競技へ復帰することは、海外では珍しくはないが、日本ではまだまだハードルの高い問題だ。それだけに「なでしこジャパン 育児サポート制度」が浸透してくれば、日本の女子スポーツ界も変わっていくのではないか。
なでしこジャパンの狩野倫久(みちひさ)監督も、このシステムをこう絶賛している。
「本当にすばらしいというか、これが日本のスタンダードになるべきだなと思っています。やはりこれは選手だけではなくて、指導者も、サッカーにかかわるすべての方が、本当にお子さんをお持ちになったりとか、さまざまな状況のなかでも安心して、思い切って働ける環境というのは非常に重要だと思っています」
ちなみに瀬野は、アジア大会でも「なでしこジャパン 育児サポート制度」を活用することを考えていたという。
「ただ、彼女にとっては代表初選出で慣れない環境であり、それは子どもにとっても同じと考えたようです。今回、育児は家族にまかせ、家族と会う時間を作らせてもらうほうを選んだということでした」(前出・サッカーライター)
まだ幼い長男は、スタンドから躍動するママをしっかりと見ていた。
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