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プロ転向…職業としてのボクシング

I'm Ready! 投稿日:2017.03.28 12:00FLASH編集部

プロ転向…職業としてのボクシング

左から三迫会長、村田、JBC森田事務局長、浜田帝拳代表

 

 2012年にロンドン・オリンピックで金メダル獲得し、それからプロ転向に至るまで、村田の動向は、もっぱら金銭をテーマに報じられていた感がある。理由は簡単だ。オリンピック前には「大会後もプロには行かない」と語っていた村田だが、銅メダルでも大殊勲だったところ、まさかの金メダルを持ち帰ったため、村田株が一気に高騰したのだ。多くのジムが、いくらカネを積んでもいいから村田を欲しいと言い始めた。

 


 今の時代、ボクシング界の契約金で1000万円を超える話はまず聞かない。「1億円もらってもプロには行かない」と言い放っていた村田だが、スポーツ紙はいくつかのジムが誘いに名乗りを上げ、あるジムは「1億円プラスアルファ」を提示したという記事も出た。それでも村田は「10億円を見込めないなら、今のまま大学職員をまっとうした方がいい」とアマ続行と選手引退後のコーチ留学を掲げていた。だが、村田を獲得したいと言う人間は後を絶たず、ついに村田の気持ちも動いた。

 

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 プロ転向時の報道を読むと、村田はプロ・アマを金銭で天秤にかけたように思えるかもしれないが、実際の村田は金に対する執着心はほとんどない。


 練習後のジャージ姿でかつての村田はこんなことを口にした。


「上から下まで全部もらいものです。この格好を見てもわかると思いますけど、僕はそんなにお金を使うタイプじゃない。昔から両親に何かが欲しいときだけ『おこづかい頂戴』と言ってもらってましたけど、今も妻が預金通帳を持っていて、僕はお小遣い制をとっているんですよ」

 

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 村田は自分の貯金額を今も把握していないという。「もし稼ぎが10億円に達してしまったらそれ以上戦うモチベーションを維持できなくなるかもしれない」と、かつてテレビ番組で話していたが、今は少し心持ちが変わっているようだ。


「貯金額を正確にはわからなくても、自分で仕事をしているのだからおおよそなら計算できます。でも、ボクシングをするモチベーションは、お金が一番とはならないです。一生懸命練習して試合をするモチベーションは支えてくださった周りの人達への恩返しなんです。貯金とは、プロボクサーというハードな職業の自分に何かがあったときに、妻と子に残せるものだと考えています」

 

 以前は一攫千金のプロボクシングよりも、安定した大学職員の道をまっとうしようとした村田。関係者たちからも「不良っぽいわりにずいぶん堅実だ」と感心されたが、プロボクサーである今も、堅実な大黒柱として家庭を支えているようだ。

 

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