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M-1ファイナリスト「ロングコートダディ」ほんわかしっとり “濡れ漫才” で流れを引き寄せる
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.12.13 18:10 最終更新日:2021.12.13 18:11
初代王者・中川家から始まり、アンタッチャブル、サンドウィッチマンなど数多くの人気芸人を世に出してきた、漫才日本一を決める「M-1グランプリ」。
昨年はマヂカルラブリーが、激しい動きと、自ら「リモート漫才」(村上)と称したほど距離をとったままの異色漫才で優勝。「これは漫才か? 漫才じゃないか?」論争を巻き起こし、年が明けてもしばらくその余韻は続いた。
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SmartFLASHでは、今年もM-1グランプリ2021決勝に駒を進めたファイナリスト9組を直撃。12月19日(日)の決勝までの毎日、1組ずつ紹介していく。
4組目は初の決勝進出を果たした「ロングコートダディ」。大阪吉本若手の劇場「よしもと漫才劇場」を主戦場とする堂前透と兎のコンビで、3度の準々決勝、2度の準決勝と右肩上がりに着々と歩を進め、今年見事に決勝へたどり着いた。
昨年はコント日本一を決める「キングオブコント」で決勝進出も果たし、テレビなどの露出も増えつつある2人。自らをファイナリストのなかで「一番ほんわか」「一番ゆったり」と評すユルめの空気とは裏腹に、勢いよく頂点まで昇り詰めたい。
――初の決勝進出おめでとうございます。今のお気持ちを聞かせてください。
兎 めちゃくちゃ嬉しいです。(発表で)名前を呼ばれたときは変な感情になりました。嬉しい反面、感覚が全然なくて。嬉しさゆえに真っ白になりました。
堂前 「ホンマに決勝に行けるんや」が率直な気持ちですね。M-1は初回からテレビで観ていたし、芸人になって参加もしましたけど、決勝の舞台に立っている自分たちの姿はまったく想像できていなかったので。昔からテレビで観ていた舞台に自分らが行けるんや、という変な感情になってますね。
――準決勝までを振り返っていかがでしたか。
兎 3回戦でのネタが終わったときに「あれ!? 大丈夫かな」という不安がありました。
堂前 3回戦でちょっとミスもしたんですけど「絶対に通過しているやろな」と思いました。
――感想が対照的ですね。
堂前 兎は基本的に「通過できた」と思わないタイプで、すごいイヤな空気を出してくるんですよ。
兎 (笑)。これまで「これ通過してるやろ!」と思いながら何度も落ちてきているので、予防線を張ってしまうところがあるんです。準々決勝で「ダメなら仕方ない」くらいに吹っ切れたのがよかったと思います。ただ準決勝では、僕が緊張で真っ白になるクセが出てしまって……。
堂前 それは悪癖やな(笑)。準決勝は一昨年、昨年と落ちていて、会場のニューピアホールにさえイヤなイメージがあったんです。でも今年は、これまでで一番ウケた手応えもありましたし、いい会場かもと思えるようになりました。
兎 僕の緊張が勝てない原因になっていると感じていたんです。一昨年に初めて準決勝に出たときは、もうネタ以前の問題で、僕はエグいぐらいに緊張していました。「準決勝ではロングコートダディだけスベってた」とツイッターにしっかり書かれてましたしね。でも、今日の準決勝は初めて楽しめた。
堂前 確かに、初めて楽しい準決勝でした。
――優勝賞金1000万円の使い道は考えていますか?
兎 海と釣りが好きなので、船を買いたいですね。船上でパーティができるくらいのクルーザーを1億円くらいで考えているんですけど、賞金では足りないんですよね。
堂前 船上パーティ? 僕は正直、「船を買いたいから賞金ちょうだい」と兎から言われたら、賞金全部使ってくれてもいいと思ってます。船を買ってくれたほうが面白いですし。(兎に)船の運転できるんやったっけ?
兎 でけへんよ。これから。
堂前 僕はもらうなら親にあげて、あとは定期的なギャンブルと風俗に使います。ギャンブル・風俗・おかあさんですね、使いみちは。
――「ファイナリストのなかで自分たちが一番○○だ!」と言えるものは何でしょう?
堂前 一番「ほんわか」ですね。
兎 一番「ゆったり」です。
――ほかのファイナリストで意識しているコンビはいますか?
堂前 オズワルドです。しっとり濡れているような漫才をするんですよ。で、僕らも “濡れ漫才” なので。雰囲気はちょっと近いかなと思うし、ネタも好きなので意識しています。決勝ではもちろん勝ちたいですが、ちょっと応援してもいます。オズワルド好きなので。
兎 僕はランジャタイさん。とにかくインパクトが強くて、普通に決勝で観たいなと思える大好きなコンビです。決勝ではインパクトの強さ以外、すべてで勝ちたいと思います。
――敗者復活で勝ち上がってきたら脅威だと感じるコンビはどこですか?
兎 マジで全員なんですけど……。誰が上がってくるかまったくわからへんな。
堂前 おそらく見取り図さん、ニューヨークさん、アインシュタインさんあたりが上がってきそうだな、と。上がってきて脅威になるのはマユリカ。もし勝ち上がってきたら、めちゃくちゃ爆発してウケてきたってことなんで。マユリカの爆発力はよく知っているので、あの爆発力を決勝で出されたら怖いですね。
兎 からし蓮根も脅威です。昨年の大会で「漫才? 漫才じゃない?」論争があったことで、今年はいろんな漫才が出てきたと思うんです。そのなかで、からし蓮根はシンプルでストロングなスタイルの漫才をやり続けているので、仕上がったら誰からもケチをつけられない強さを持っていると思います。敗者復活から上がってくるってことは、完全に仕上がっているということですし、誰も太刀打ちできない可能性もありそうです。
――今年1年を “4文字” で表すと、どんな言葉になりますか?
兎 個人では「ツイてね(ぇ)」で。ホンマに不運が続いた1年だったんですが、準決勝ですべてがひっくり返ったような感覚です。
堂前 今年は不運、少ない方やったんちゃう? どっちかというと自分の注意不足とか、そういうことのほうが多かったんちゃう?
兎 そうかもな。財布落としたんも不注意やしな……。
堂前 僕は「やったぜ」。昨年はキングオブコントで決勝に行かせてもらって、今年は初めてDVDを出したり、コント番組に出させてもらったりといいことがいっぱいあった最高の1年でした。そしてM-1も決勝に出られて「やったぜ」です。
兎 そうやって聞くとめっちゃいい1年でしたね。僕らがやりたいことができた1年だったので、「やれたぜ」で。「ツイてね」を返上して「やれたぜ」。
毎年賞レースの日は赤い勝負パンツを履いて挑んでいたんですが、大きな穴が空いてしまって捨てたんです。それで今年のキングオブコントからは、ルアー柄のパンツを勝負パンツにしています。
堂前 僕も今年から勝負パンツを導入しました。昨年の誕生日に、組んでいるバンド(ジュースごくごく倶楽部)のメンバーからパンツをもらって、これを勝負パンツにしようと3回戦から履いています。
――最後に、決勝へ向けた意気込みを一言で!
兎 楽しむ! 僕が苦手なことでもあるんですが、こんな貴重な経験をさせてもらえるからには、全力で仕上げて、全力で本番を楽しみたいです!
堂前 僕たちの空気感とか雰囲気を好きになってくれる人が、いっぱい増えたらいいなと思います。
※「M-1グランプリ2021」は今年も今田耕司・上戸彩を司会に、12月19日(日)18:34からABCテレビ・テレビ朝日系で生放送
構成&文/松田優子
( SmartFLASH )