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『初恋の悪魔』はクセ強キャラの大渋滞…林遣都・仲野太賀らの会話の “練度” が重層的に高まりそう
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.07.23 11:00 最終更新日:2022.07.23 11:00
いい意味でクセが強いキャラの大渋滞。脚本がさっそくキレキレだった。
先週土曜にスタートした林遣都と仲野太賀がダブル主演する『初恋の悪魔』(日本テレビ系)。
古くは漫画原作の『東京ラブストーリー』(1991年/フジテレビ系)を大ヒットさせ、近年はオリジナルで『カルテット』(2017年/TBS系)、『大豆田とわ子と三人の元夫』(2021年/フジテレビ系)といった話題作を生み出している脚本家・坂元裕二氏の最新作だ。
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警察署を舞台に、難事件を解決していくミステリアス・コメディーだが、主要キャラ4人は刑事課の現役刑事ではない。1人は刑事課を停職中で、残り3人は署内の総務課、会計課、生活安全課。4人とも職務上は大きな事件と無関係ながら、毎回事件に首を突っ込んで謎を解明していくスタイルのようである。
■男3人はいわゆる陰キャ、紅一点は二重人格?
林演じる鹿浜鈴之介は、刑事課の刑事なのだが、あるヘマをして停職処分中で、自宅に引きこもり。推理マニアで、コミュ障ぎみのため挙動不審なところもある。恋愛は不毛だと思っているため、恋心のドキドキを殺意と勘違いするような変人だ。
仲野演じる馬淵悠日は、交通安全ポスターの配布やコピー用紙の補充など、警察署内の雑務を担う総務課職員。お人好しで自己主張することのない日陰者的な性格。一方、刑事だった兄は殉職しており、身近な誰かに殺されたという疑惑が……。
3人めの主要キャラで柄本佑が演じる小鳥琉夏は、非常に細かい性格で堅物な会計課職員。空想癖があり、“植物と話せる” といった持論を語る際は、スイッチが入ったようにボソボソと早口でしゃべる。
4人めの主要キャラで、松岡茉優演じる摘木星砂は、万引きなどを取り締まる生活安全課所属。かつては県警捜査一課の刑事だったせいか、スカジャンを着こなし、言葉遣いや振る舞いは乱暴。しかも、二重人格と思えるような描写もあるミステリアスな女性だ。
4人ともなんらかの “闇” を抱えており、それぞれ個性が立っている。なかでも林演じる鹿浜の、今にも一線を越えそうな危うい言動がハラハラして面白い。
男3人はいわゆる陰キャ属性で、特に鹿浜と小鳥は “電波系なヤバい奴” という類似性もあるのだが、棲み分けができている。お笑いトリオでたとえるなら、馬淵がツッコミ担当、小鳥が小ボケ担当、鹿浜が大ボケ担当といった役割分担のように感じた。
■顔見せの第1話は会話の練度が低いが…
坂元裕二作品と言えば、ウィットに富んだ大人の会話劇が魅力としてあげられることが多い。
コメディタッチの会話の妙が高く評価されていた『カルテット』や『大豆田とわ子と三人の元夫』なども、主要キャラが男女4人であり、そのフォーマットを踏襲した『初恋の悪魔』も同路線と考えていいだろう。
鹿浜が小鳥に侮辱されたと腹を立てていたため、馬淵が小鳥に謝罪するよう促す。すると小鳥は素直に「ごめん」と謝り、鹿浜が間髪入れずに「いいよ」と許すシーンがあった。こじらせ気味でプライドが高そうな2人が “秒” で和解する様子がシュールで、こういった軽快なテンポのやりとりが実に小気味よかった。
しかも、第1話は登場人物たちの顔見せ的な意味合いが強いため、会話劇の練度はまだ低い段階だろう。回を重ねるごとにキャラの掘り下げが進んだりキャラ同士の関係性が深まったりし、会話のキャッチボールの面白さが重層的に高まっていく気がする。
第1話の視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)は、世帯平均視聴率6.6%、個人視聴率3.8%と低調スタート。だが4人の軽妙な掛け合いの完成形が観られるのは中盤以降になるだろうから、今夜放送の第2話からでもまだ間に合うはずだ。話数が進むのに比例して面白さが高まっていくに違いない。
●堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中
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