視聴率が低空飛行を続ける『家庭教師のトラコ』(日本テレビ系)。今夜放送の第7話で明かされる主人公の “真の目的” が、傑作と評されるか駄作と評されるかの分水嶺になりそうだ。
橋本愛主演の本作は、『女王の教室』(2005年/日本テレビ系)や『家政婦のミタ』(2011年/日本テレビ系)といった大ヒットドラマを手がけてきた脚本家・遊川和彦氏のオリジナル作品。
【関連記事:橋本愛『家庭教師のトラコ』不気味な主人公の真の目的は「家庭を教育する」ことか】
志望校に100%合格させると豪語するも、突然キテレツな行動に出る謎多き家庭教師・根津寅子(橋本)が主人公のヒューマンドラマ。遊川氏ならではの一風変わったストーリーは前述の2作品を彷彿させるテイストである。
しかし、世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)は、第1話から第6話まで7.5%、7.0%、5.4%、5.6%、5.0%、6.1%と低水準。時代が違うので単純比較はできないものの、『女王の教室』と『家政婦のミタ』には遠く及ばない。
■先週の第6話は想定の範囲内の展開
先週放送の第6話は、エリート銀行マンの後妻となってセレブの仲間入りを果たしたものの、前妻の子との関係や実子の大学受験に悩んでいる上原里美(鈴木保奈美)にスポットを当てた回だった。
里美は夫が新頭取になることが決まり、就任パーティーを開くことになる。だが、夫が愛人を副頭取に起用したり、息子をバカにされたりしたため不満が募っていく。また、里美が閉鎖寸前の児童養護施設を助けたいと相談するも、夫が最終的に援助を却下したため、就任パーティー中にとうとう怒りが爆発。
夫や前妻の子らが真贋を見極める目がないことを暴露して恥をかかせたうえで、啖呵を切って息子と2人で家を出るのだった。
第6話は、さんざん里美と息子を疎外したり見下したりしてきた夫たちを見返した回だったため、胸がスカッとするエピソードではあったが、さまざまな作品を観てきたドラマファンからすれば、想定の範囲内の展開だったろうし、目新しい面白さや感動は得られず、予定調和の視聴感を覚えただろう。
余談だが、第6話のラストでは、セレブ夫の家を飛び出して息子とアパート暮らしを始めたばかりにもかかわらず、里美が借金をしてまで児童養護施設を救ったことが語られた。
しかし、彼女がどうしてそこまで肩入れするのかの動機付けが、非常に弱いのが引っかかった。もともと縁があったわけではなく、里美がその施設の存在を知ったのは第6話の序盤。里美は自分たちの生活だって余裕がないのに3000万円もの巨額の援助をしており、彼女の急な聖人化には違和感ありありだった。
■今夜の第7話で本作の成否が決まる?
奇妙な家庭教師を主人公にしているのはオリジナリティがあるし、かかわる家族たちを救済していく寅子の手法は破天荒で斬新なのだが、強引な物語で奇をてらっているわりに、面白さや感動が追いついていないのが率直な感想。視聴率が伸び悩んでいるのも当然の結果に思える。
このままの調子で続くようなら駄作と呼ばれても仕方はないが、今夜放送の第7話が起死回生の一手となる可能性は十分ありそうだ。というのも、今まで明かされていなかった寅子の真の目的が、第7話でついに語られるからである。
寅子に壮大かつ過激な計画があることは第1話からほのめかされていたが、核心については触れられておらず、秘密にされたままだった。
けれど、第7話の予告映像やあらすじなどを見ると、寅子の過去とともにどんな計画なのかが明かされる模様。また、寅子はこれまで家庭教師をしていた3家族との連絡を絶ち、とうとうその計画を次のステップに進めるとのこと。
要するに第7話は、第6話までに築いてきたフォーマットをぶっ壊す新展開になるようなのだ。
ここまでのストーリーでいまいち人気を獲得できなかったのだから、いっそのことヒューマンドラマの体裁を捨てて、作風をガラリと変えるぐらいの大幅なテコ入れがあってもいいかもしれない。いきなりミステリードラマやサスペンスドラマに変わるぐらいの怒涛の展開になれば、終盤で「神作」なんて呼ばれることもありえるかも……。
いずれにしても、今夜明かされる主人公の真の目的で視聴者の興味を惹けなければ、低調なままひっそりと終わっていくドラマになってしまう可能性が高い。本作の大きな岐路となる第7話に注目したい。
●堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中
( SmartFLASH )