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有村架純・中村倫也『石子と羽男』余韻の残るきれいな最終話で“国民の敵”爆誕か?【ネタバレあり】

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.09.17 14:50 最終更新日:2022.09.17 14:54

有村架純・中村倫也『石子と羽男』余韻の残るきれいな最終話で“国民の敵”爆誕か?【ネタバレあり】

 

 まだまだこの男女バディの物語を観ていたい――最終話まで視聴していたファンに、そう思わせるきれいな終幕だったと思う。

 

 9月16日に最終話(第10話)が放送された、有村架純中村倫也のダブル主演作『石子と羽男―そんなコトで訴えます?―』(TBS系)。

 

 

 東大卒ながら4回も司法試験に落ちて崖っぷちのパラリーガル・石田硝子(通称・石子/有村)と、高卒ながら司法試験に一発合格した弁護士・羽根岡佳男(通称・羽男/中村)。そんな一見正反対な2人がバディを組み、悩みを抱えてマチベン(町の弁護士)を頼ってくる人々を助け、身近に潜んだ社会問題を解決していくリーガル・エンターテインメントである。

 

■【ネタバレあり】続編や映画化は期待しないほうがいい理由

 

 最終話で描かれた事件も無事に解決。

 

 これまで羽男は、裁判官である父親からの過剰な期待をプレッシャーに感じ、苦しむ様子が描かれてきた。だが、最終話の事件の裁判をたまたま父が担当することになり、父の前で自分の弁護士としての在り方を見せたことで、父の呪縛から解き放たれた。

 

 一方の石子は、最初の司法試験当日に目撃した死亡事故がトラウマになっており、試験に落ち続けていた。しかし、最終話の事件を無事に解決したことがきっかけとなり、エピローグでもう一度司法試験に挑戦する姿が描かれた。

 

 そして、石子と羽男の関係も回を重ねるごとに成熟してきた。当初は反発し合っていたがお互いの理解を深め、信頼するようになっていった2人。最終話では、かけがえのない相棒だと認め合い、大団円となった。

 

 ありていな言い方だが、まだまだ2人の息の合ったかけあいを観ていたいという気持ちもある。だが、よくも悪くも、本作はシーズン2や映画化といった続編は期待しないほうがよさそうだ。

 

 個人的には面白い秀作だったと思うが、第1話から第9話までの世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)が7%台前半と低調だったため、TBSも商業的な観点から不安要素が多すぎて続編制作に踏み切れないだろう。

 

 けれど、矛盾しているように聞こえるかもしれないが、仮にもし視聴率などが好調で続編ビジネスにうま味があったとしても、新作は作らなくていいんじゃないかとも思う。

 

 最終話で、主役2人が苦悩やトラウマを克服して固い絆で結ばれたので、当人たちが抱えていた“内”の問題はきれいに解消され、越えるべきハードルがなくなっている状態。

 

 となると、もしここから続きを描くとしたら、“外”の問題、つまり立ち向かう事件のスケールを大きくする必要がある。とは言え、この作品は一般人の身近な法律問題をマチベンが解決していく作風だから、扱う事件が大きくなりすぎると持ち味が消えてしまうだろう。

 

 全10話で上手にまとめたからこそ、まだまだこのバディの活躍を観ていたいという感情が沸いてくるのだが、本当に続編が作られてしまうと蛇足になりかねない。だから、本作のファンは心地いい余韻にひたりながら、自らの脳内だけで彼らのその後のストーリーを思い描くぐらいが、ちょうどいいのではないだろうか。

 

■田中哲司は香川照之に代わって“国民の敵”になりえる器

 

 ところで、最終話で敵として立ちはだかったエンジェル投資家・御子神慶役の田中哲司の演技は素晴らしかった。ハーフパンツ姿のラフな格好をしており、ふだんは穏やかな口調ながら、本性を現したときのいやらしい笑みが印象的な男を好演した。

 

 御子神は本題の不動産投資詐欺事件では、証拠不十分で逮捕に至らなかったが、石子と羽男が彼のポイ捨てしたたばこを53本集め、廃棄物処理法違反で現行犯逮捕。軽犯罪ではあったが、それが大々的に報じられたため御子神のイメージは失墜し、致命傷となる社会的制裁を受けたのだった。

 

 そんな御子神、憎々しさが秀逸だったのである。

 

 中盤で石子と羽男が彼の罪を糾弾した際はロジカルに反論し、嫌味ったらしく「マチベンさんにはちょっと難しい話だったかな(笑)」と口撃。さらに石子には「あ、まだ弁護士でもないか」ととどめ。明らかな皮肉を、わざと申し訳なさそうな表情を作って言うあたり、インテリ悪党の極みだと感じた。

 

 田中哲司と言えば、今年3月に完結した『真犯人フラグ』(日本テレビ系)の最終話での怪演も大きな話題になったが、『真犯人フラグ』しかり、『石子と羽男』しかり、知的な悪役をやらせるとかなり映える役者だ。

 

 田中は温和で優しそうな見た目をしていながら、確かな演技力で内からまがまがしいオーラを滲み出させるので、そのギャップがたまらないのである。

 

 ここで思い出されるのが香川照之。

 

 香川もいい人そうな見た目と極悪演技のギャップで、『半沢直樹』シリーズ(TBS系)や現在放送中の『六本木クラス』(テレビ朝日系)で、“国民の敵”とも言えるような圧倒的な存在感を放っていた。

 

 だが、ご存知のとおり銀座ホステスへの性加害報道で役者人生の大ピンチを迎えており、このままいけば香川が鎮座していた“国民の敵”俳優のポジションが空席になりそうだ。

 

 ――田中哲司なら、その“国民の敵”俳優にふさわしい気がする。そう遠くない将来、香川の代わりに“国民の敵”の席にどっかり座り、日曜劇場作品などのラスボス常連になっているかもしれない。

 

堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『INLIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中

( SmartFLASH )

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