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清原果耶『霊媒探偵・城塚翡翠』批判してスイマセン…完敗すぎて「あっぱれ」と言うしかない【ネタバレあり】

エンタメ・アイドル 投稿日:2022.11.14 15:20FLASH編集部

清原果耶『霊媒探偵・城塚翡翠』批判してスイマセン…完敗すぎて「あっぱれ」と言うしかない【ネタバレあり】

 

 もう本当に「申し訳ございませんでした!」という気持ちと、「恥ずかしすぎる!」という気持ちでいっぱい……。

 

 清原果耶主演で11月13日に “最終話”(第5話)を迎えた『霊媒探偵・城塚翡翠』(日本テレビ系)の原作者・相沢沙呼氏、本作の制作スタッフ、そしてファンのみなさんにとにかく謝りたい。

 

 筆者は11月6日に公開した《『霊媒探偵・城塚翡翠』清原果耶の演技がうますぎて…少女漫画的な古臭いヒロイン像に共感しづらい》を執筆したのだが、そのコラムで書いていた内容が完全に原作者や制作陣の掌の上で踊りまくっていたからだ。

 

 

 簡単に言うと、コラムで批判した内容は、すべて作り手側のミスリードにまんまと引っかかっていただけだったのである。

 

■第3話まで視聴した時点での筆者の批判ポイント3つ

 

 まず、恥をしのんで前述のコラムで筆者が『霊媒探偵・城塚翡翠』を批判していたポイントを、3つに要約して列挙しておこう。

 

(1)翡翠(清原)は絶世の美貌で超お金持ちという恵まれている境遇なのに、自分のせいで周囲が不幸になっていくと考えるネガティブ思考で、“数奇な運命を背負った悲劇の美女” 的なヒロイン像に羨望も共感もしづらい

 

(2)バディ役の人気推理作家・香月史郎(瀬戸康史)が翡翠を献身的にサポートしており、その “頼れる王子様キャラ” と恋愛関係に発展しそうなのだが、2人のイチャイチャ演出が往年の少女漫画のようで古臭い

 

(3)『霊媒探偵・城塚翡翠』という作品名なのに、翡翠は霊能力によってヒントを与えるだけで、実際に推理して事件を解決に導いているのはほとんど香月なので、肩透かしを食った気持ちになる

 

 この3つの批判はすべて筆者が騙されていただけで、最終話に向けての壮大な伏線だったのである。

 

■【ネタバレあり】すべてがミスリードに乗せられただけ

 

 ここからはネタバレありで解説していきたい。

 

 結論から言うと、バディの香月が真犯人で、彼をハメて尻尾を出させるため、翡翠や刑事たちがほぼ最初から(第1話から)グルになっていたのだ。

 

 本作の構成は、基本的には1話完結型のミステリー。第1話の導入などで、縦軸となる「透明な悪魔」による連続殺人事件の概要がたびたび語られていたものの、1、2、3話はべつの殺人事件を扱っていた。

 

 3話までは独立した事件が起きており、翡翠と香月で犯人を推理して解決に導いている。香月は第1話から語られていた最悪な事件の犯人「透明な悪魔」なのだが、1、2、3話の事件では純粋に犯人を突き止めるため、警察や翡翠に協力していたというわけだ。

 

(1)で批判していた翡翠のヒロイン像や、(2)で批判した香月との恋愛演出は、すべて香月を惹きつけるための翡翠の演技だったのである。

 

 本当の翡翠は自己肯定感が高く、自信満々。不遜、傲慢、したたか、毒舌という個性爆発のヒロインで、その性格の悪さがめちゃくちゃ痛快。エンタメ作品の主人公としては非常に魅力的で大正解だと感じた。

 

(3)で批判した、翡翠が推理をしていないというのもミスリードだった。

 

 1、2、3話の翡翠は、実は霊能力ではなく、シンプルに天才的な頭脳による類まれな推理力によって、ソッコーで犯人が誰かを見抜いていた。だが、香月と信頼関係を築くため “霊能力でヒントを得た” というテイで情報を与え、香月に花を持たせていたのである。

 

 解決済の1、2、3話の事件が、最終話に翡翠視点で改めて語られ、彼女がどういったロジックで犯人を見破っていたかを語るシーンは鳥肌もの。

 

 この最終話、翡翠に感情移入して観ると極上のスッキリ感が得られるわけだが、逆に香月に感情移入して観ると、とてつもない “羞恥刑” のオンパレードなのだ。

 

 自分が得意気に推理していた1、2、3話の事件は、プロ(翡翠)が素人(香月)の “ごっこ遊び” に付き合っていたようなもので、完全に翡翠にお膳立てされたごっつぁんゴール。

 

 また、香月は翡翠を殺そうとしていたものの、彼女に惹かれて愛し始めてしまうのだが――これも彼が好みそうな清純系女子を翡翠が演じ、それにまんまと引っかかっただけだった。

 

 香月は意気揚々と推理したり恋愛フラグを立てまくったりしたので、翡翠の豹変&暴露に恥ずかしくて死にそうだったに違いない。筆者も鬼の首を取ったかのように批判していたので、原作者や制作陣に対して恥ずかしい気持ちでいっぱい……。

 

■感想は「最終話、最高に面白かった」の一言に尽きる

 

 日本のドラマ史上、類を見ない壮大な仕掛けだったと思う。本作はキャッチコピーに「すべてが、伏線」と謳っていたが、誇大広告ではなく、まさにすべてが最終話までの伏線だった。

 

 このストーリーをひらめいた原作者・相沢沙呼氏の才能はすさまじいし、この作品をドラマ化した日本テレビのチャレンジ精神にも惜しみない賛辞を贈りたい。

 

 ちなみに、一般的に日本の連続ドラマは全10~12話で構成されるため、前週に第5話が最終話と予告されたことから、打ち切り疑惑も噴出していたが……それも日本テレビの思惑どおり。

 

『霊媒探偵・城塚翡翠』は最終話を迎えたが、次回からは『invert 城塚翡翠 倒叙集』にタイトルを変えて主人公・翡翠(もちろん清原)が続投。逮捕された香月以外のレギュラー陣も変わらず出演するので、“最終回詐欺” と言われるようなギリギリの手法かもしれない。

 

 しかし、筆者は、実質的にドラマは続くのに「最終話」と謳ったことも本作の壮大な仕掛けの一部だと思えたので、そこも含めてアッパレという気持ち。

 

 ここまできれいに騙されてしまうと、完敗すぎて悔しい気持ちは沸き起らず、とても清々しい気持ちになっている。そして、なにより非常に楽しませてもらったことに感謝したい。

 

 だいぶ遠回りしたが、感想はこの一言に尽きる。『霊媒探偵・城塚翡翠』最終話、最高に面白かった。

 

堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中

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