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坂本冬美の『モゴモゴ交友録』「’87年デビュー組」森高千里さん、酒井法子さん……キャッチフレーズは “もぎたて演歌”
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.12.17 06:00 最終更新日:2022.12.17 06:00
“もぎたて演歌”のキャッチフレーズでわたしがデビューしたのは、国鉄がJRに替わった1987年。ゴルフの岡本綾子さんが、アメリカの女子ツアーで賞金女王に輝き、アナログレコードからCDに変わりつつあった昭和62年です。
この年のオリコンシングルランキングを見ると、5位が松田聖子さんの『Strawberry Time』。4位が光GENJIの『STAR LIGHT』。3位が吉幾三先輩の『雪國』で、2位が中森明菜さんの『TANGO NOIR』。そして、見事、1位に輝いたのは、瀬川瑛子先輩の『命くれない』。あらためて振り返ると、何か感慨深いものがありますね。
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この年に歌手デビューしたのは後藤久美子ちゃん、織田裕二さん、KANさん、石田ひかりちゃん、渡瀬麻紀の名前でソロデビューしたLINDBERGの渡瀬マキちゃん、永井真理子さん。森高千里さんは誰が見ても、文句のつけようのないザ・アイドルという感じでした。
まだまだいます。プリンセス・プリンセスに、ソロデビューの玉置浩二さん、飛鳥涼さんに工藤静香さん。憧れの人、桑田佳祐さんが『悲しい気持ち』でソロデビューされたのも、同じ1987年です。
えっ!? 俳優さんでは、天海祐希さん、大沢たかおさん、唐沢寿明さんも、同じ1987年のデビュー? それは、すごい! なんだか、嬉しくなってきちゃいますね。
当時、各テレビ局には、それぞれ独自の歌番組がありましたが、それはスターさんのもので、わたしたち新人歌手のメインはラジオ。北は北海道から南は九州まで、日本全国のラジオ局をまわり、オーディションからスタートです。
ーーえっ!? ラジオでオーディション?
不思議に思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、当時はオーディションに合格しないと、ラジオ番組で歌わせていただけなかったのです。
地元のお祭りがあると、ラジオ局が櫓を組んで、そこから公開録音……というのがお決まりで。賑わうなかで歌っていると、一昨日はレコード店の前でみかん箱に乗って歌い、昨日は山奥で背中に箪笥を背負って歌っていたのが、まるで違う世界の出来事だったような気がしたものです。
このラジオ局のオーディションやお祭りでの公開録音、暮れの賞レースでよく顔を合わせたのが、のりピー(酒井法子)ちゃん、お人形さんのようにかわいかった畠田理恵ちゃん、BaBeの2人、同じレコード会社(東芝EMI)所属で、日本レコード大賞で最優秀新人賞を受賞した立花理佐ちゃんです。
みんなとは、年がちょっとだけ離れていて……といっても、4、5歳なんですけどね。ずいぶんお姉さんに見えたのか、それとも気遣ってくれたのか、みんなわたしのことを “師匠” と呼んでくれて。今、思い出すと、あれもこれも、すべてがいい思い出です。
もしも、もしも、一度だけ時間を戻せるとしたら、このころに戻りたい?
いや、絶対にそれはないですね(笑)。戻れるとしたら、そうですねぇ……地に足をつけて歌えるようになった40代……歌うことが楽しくなった『また君に恋してる』がヒットした前後……あっ、でも、前後は忙しすぎたので、それがちょっと落ち着いたころがいいかなって思います。
あっ! いけない。オスマン・サンコンさんを忘れていました(笑)。そしてあと2人、仲よし3人組の夏ちゃんが、伍代夏子の名前で再デビュー。あやちゃん(藤あや子)が、村勢真奈美の名前でデビューしたのも、同じ1987年です。
さかもとふゆみ
1967年3月30日生まれ 和歌山県出身『祝い酒』『夜桜お七』『また君に恋してる』『ブッダのように私は死んだ』など幅広いジャンルの代表曲を持つ。現在、著書『坂本冬美のモゴモゴモゴ』(小社刊)が発売中!
写真・中村 功
取材&文・工藤 晋