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坂本冬美の『モゴモゴ交友録』ハラミちゃんーー想像していたよりも“お顔の位置”がずっと上!
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.11.05 06:00 最終更新日:2022.11.05 06:00
人は時に、イメージだけで勝手な思い込みをすることがあります。
この人は、竹を割ったようなカラッとした性格の人だろう。演歌歌手なんだから、こぶしをコロコロと自由自在に回せるはずだ。愚痴はこぼさず、常に凛としているに違いない。
………………。
もう、おわかりですよね?そうです。どうやら、わたしにこんなイメージを持っていらっしゃる方がいるようですが、そんなわけないじゃないですか。
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一見、竹のように見えますが、中には餅が詰まっていますし、こぶしをうまく回せないし、ハモリは苦手。ぶちぶち文句ばっかり言っていますし、凛としているなんて、とんでもない誤解です(苦笑)。
同じように、頭の中で思っていたイメージとは違い、お会いして驚いたのが、ピアニストでYouTuberのハラミちゃんです。
事の始まりは、NHKーBSで放送された『歌える!JーPOP 黄金のヒットパレード決定版!』という番組に呼んでいただいたときのことです。タイトルに、「JーPOP」とあるのに、なぜ演歌歌手が!? という疑問はこの際、脇に置いてください。
1980年代から2000年代にデビューした、今なお音楽シーンの第一線で活躍するレジェンドアーティストたちが一堂に会し、名曲・ヒット曲を熱唱する歌番組という、なんか、わたしとしてはこそばゆいような番組のキャッチコピーも忘れてください。
この話のポイントはハラミちゃんと、ハーバード大学とジュリアード音楽院を首席で卒業したバイオリニスト、廣津留すみれさんとコラボさせていただいたというところです。
事前に「こんな感じです……」というハラミちゃんが演奏したデモテープをいただいて。う~~~ん、そのときのわたしの気持ちをなんて表現すればいいんでしょう? 情熱的というか、魂で演奏されているというか……もう、ドキドキが止まりませんでした。
で、いよいよリハーサルの日です。センターにわたし。左に廣津留さんがいらして、右が……えっ? えっ? えっ? ハラミちゃんのお顔の位置が、視線のずっと上のほうにあって、見上げないとご挨拶でき……ない……。
わたしが知っているハラミちゃんは、椅子に座っていて、いつも弾むようにピアノを弾いているお姿だったものですから、小柄な方だと勝手に思い込んでいて。
もしかして、厚底の靴を履いていらっしゃるかもなんて、モゴモゴモゴ……思っちゃったりもして……あらまぁ、びっくりです。
その驚きが顔に出ていたのでしょう。ハラミちゃんが「皆さんにそう言われるんです」と、ちょっと照れくさそうな顔をされて。わたしの勝手な思い込みでした、ごめんなさいね、ハラミちゃん。
演奏は “素晴らしい” の一語でした。ピアノとバイオリンだけなのに、こんなに厚い音になるんだ!? と驚き、いつも以上に、気持ちよく歌わせていただくことができました。
でも本当に驚いたのは、最初にいただいたデモテープとリハーサル、そして本番と、全体としては同じなのに、細かいところは、ビミョーに変わっていたことです。
変えたんじゃなくて、変わっていた……それはきっと、ハラミちゃんご自身の意識ではなく、楽しく魂の赴くままに弾いた結果なんじゃないかと思います。
ハラミちゃん、廣津留すみれさん、またいつかご一緒させてくださいね。よろしくお願いします。
さかもとふゆみ
1967年3月30日生まれ 和歌山県出身『祝い酒』『夜桜お七』『また君に恋してる』『ブッダのように私は死んだ』など幅広いジャンルの代表曲を持つ。現在、著書『坂本冬美のモゴモゴモゴ』(小社刊)が発売中!
写真・中村 功
取材&文・工藤 晋