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北川景子『女神の教室』講義内容は面白いのだが、いかんせん絵面が弱すぎる

エンタメ・アイドル 投稿日:2023.02.13 11:00FLASH編集部

北川景子『女神の教室』講義内容は面白いのだが、いかんせん絵面が弱すぎる

 

 なにもかもが中途半端な印象で、すっかり視聴者も離れてしまった北川景子主演の月9ドラマ『女神(テミス)の教室~リーガル青春白書~』(フジテレビ系)。

 

 先週月曜に第5話が放送されたが、世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)は第1話から第5話まで10.5%、7.9%、7.0%、6.5%、6.8%と推移。

 

 第4話まで右肩下がりで、ようやく底を打ったのか第5話では微増したが、初回は二桁スタートだったことを考えると、視聴者がかなり離れてしまったのは明らかである。

 

 

 本作は、法曹界を目指す若者たちが司法試験に合格するために通うロースクール(法科大学院)が舞台。北川演じる裁判官の主人公・柊木雫が、新米教員として派遣されてきたところから物語が始まった。

 

 柊木が派遣されたロースクールでは、教員側は学生に司法試験のノウハウを教えるだけで、学生側も司法試験合格という目先のゴールばかりにとらわれ、みなどこか鬱々としている。

 

「人を知らなければいい法律家にはなれない」がモットーの彼女が、実務演習の生徒5人と関わりながら、閉塞感のあるロースクールに新風を巻き起こしていくというストーリー。

 

■実務演習は文字どおり演習にすぎないのでいまいち

 

 要するに、人気ジャンルである “リーガルもの” と “学園もの” をミックスしたような作風。さらにそこに、 “サスペンスもの” のエッセンスも足されており、なんだか節操ナシのごった煮ドラマなのだ。

 

 そんな本作、視聴者が離れてしまった最大の原因は、絵的な地味さにあるのではないかと思っている。

 

 リーガルものの見どころとしては、柊木が実務演習の講義で課題を出し、5人の生徒たちがディベートをおこなう場面がある。銭湯で起きた負傷事件、建築現場で起きた死亡事故など、さまざまな事案が柊木から課されるのである。

 

 立場が変われば見方も変わるため、単純な勧善懲悪などではなく、一見悪人に思えるような側にも主張や事情がある。そういった人間社会の複雑さを上手く表したエピソードが多いので、生徒たちが凝り固まった価値観にとらわれない “気づき” を得ていくのは、それはそれでおもしろい。

 

 だが、必然的に教室などで話し合うシーンが多いので、ダイナミックな映像などは期待できないし、弁護士や検事としてその事件に実際に関わるわけではないから、スリリング感もない。

 

 同じ月9のリーガルもののヒット作、検察官が主人公の『HERO』(2001年、2014年)や、裁判官が主人公の『イチケイのカラス』(2021年)は、映像的にも飽きない演出が豊富だった。

 

 主人公らが原告・被告、被害者・加害者と直接かかわっていくし、現場に足を運んで調査するシーンも盛りだくさん。絵的な変化もバリエーションに富んでいるので、物語が目まぐるしく “どんどん動いている” という感覚を味わいやすかった。

 

 もちろん『女神の教室』でも学校内のシーンばかりではないが、校外のシーンがとりわけダイナミックだったりスリリングだったりするわけでもない。

 

 やはり実務演習は文字どおり演習にすぎず、リーガルもののエンタメ作品として大きなネック。全編をとおして緊迫感が非常に薄いのである。

 

■サスペンス要素は本筋の薄さを補うための苦肉の策?

 

 前述したように、本作にはサスペンス要素も足されている。

 

 第5話では、自宅の門に “首を吊った鳩のレプリカ” がかかっていたり、郵便受けに “無数の黒い折り鶴” が入れられていたりと、主要キャラの生徒5人がそれぞれ鳥に関する嫌がらせを受けていたことが判明。

 

 それらの悪質なイタズラは、SNSで「crow(カラス)」と名乗っている謎の人物が犯人だという説が浮上し、さらに真のターゲットは柊木なのでは――という展開で第5話は終了。

 

 正直、当初はリーガルものと学園ものの要素だけでお腹いっぱいで、サスペンスものの要素なんて足さないほうがいいと思っていた。

 

 だが、この「crow」にまつわるエピソードのおかげで、作品に緊迫感が生まれているのは事実。

 

 とは言え、追加要素が功を奏したのは、裏を返せばリーガルものや学園ものとしてのおもしろさが薄いからではないだろうか。

 

 さらにうがった見方をするなら、制作陣は最初から本筋のグリップ力の弱さを懸念しており、保険としてサスペンス要素を盛り込んだのではないかと思えてしまう。

 

 結果的にストーリーにメリハリがついているが、めちゃくちゃおもしろくなったということはなく、多少マシになった程度。

 

 今夜放送の第6話は「crow」の正体に迫っていく展開になるようだが、本筋から外れたサスペンス展開で、どこまで視聴者を惹きつけられるだろうか。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『日刊SPA!』に恋愛コラムを連載中。ほに『現代ビジネス』『文春オンライン』『集英社オンライン』『女子SPA!』などにコラムを寄稿

( SmartFLASH )

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