先々週放送の第5話で、鬼のリーダー格・青鬼がSexy Zone・菊池風磨であることが明かされたサスペンスドラマ『大病院占拠』(日本テレビ系)。
奇怪な鬼のお面をかぶった10人の武装集団に病院が占拠され、神奈川県警捜査一課の主人公・武蔵三郎(櫻井翔)が鬼たちに翻弄されながらも解決を目指すストーリー。
病院外のシーンも多いが、基本的に病院というワンシチュエーションで1つの事件を描く作品は、日本の連続ドラマでは非常に珍しく、それだけでもチャレンジングな作品として評価したい。
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……だが、先週放送の第6話はさほどショッキングな展開はなく、中だるみのように感じた。
■鬼のリーダー・菊池風磨の本領発揮はおあずけ
第5話までは、鬼たちの正体が誰なのかという予想合戦を巻き起こし、“引き” を作れていた。
鬼のリーダーが菊池だというのは、第1話終了後からSNSで予想されまくっていたが、そのおかげで宣伝効果抜群となり、制作陣としては “してやったり” だっただろう。
また、鬼のなかに、第1話の劇中で銃殺されたと思われていた心療内科医がいたり、不倫騒動でテレビ露出が激減したベッキーがキャスティングされていたりと、鬼の正体には驚きがあり、なかなかおもしろかった。
けれど、第5話のラストまでに10人の鬼の正体がすべて明かされ、第6話からどんな展開になるかと期待したが、少々、肩透かしだったのである。
正体がバレた青鬼が、狂気的な本性を現すなどして本格始動するのかと思いきや、第5話までとさほど変わらぬニヒルなテンションを継続。鬼グループの結成時のエピソードが挿入されたり、仲間割れで銃撃戦が繰り広げられたりと、それなりの見どころはあったが、そこまでグイグイ惹き込まれるシーンでもなかった。
■よほどのどんでん返しがないと厳しそう
第6話では、警察に鬼の内通者がいることが示唆されており、今夜放送の第7話以降で、誰が裏切り者なのかという “引き” はある。
また、鬼たちの最終目的は明らかになっていないものの、大病院の院長、人質になっている県知事、県警本部長のお偉方3人が、実は裏で結託してとんでもない悪事を働いており、その罪を暴いて裁こうとしている可能性はありそうだ。
けれど、もしそのとおりの展開だとしたら、ここまでのストーリーを観ていれば簡単に推察できる程度のことなので、おもしろみは薄い。
一方、鬼たちの過去も少しずつ明かされており、犠牲になった家族の復讐といったお涙ちょうだい系の動機が示されているが、視聴者の同情を誘うこの手法も意外性はない。
リーダーである青鬼の動機はまだ明かされていないが、ほかの鬼たちと同様、悲しい過去を持ち、愛する者の復讐のために行動しているとしたら予定調和すぎる。
よほど視聴者を驚愕させるどんでん返しの展開を用意しておかないと、第6話の中だるみの雰囲気が、終盤のクライマックスまでズルズル続いてしまうなんてことも……。
■本作が苦労人・ソニンの大復活となるか
余談だが、本作には神奈川県警の管理官役としてソニンが大抜擢されている。櫻井演じる主人公の警察学校時代の同期で、登場シーンも多い重要キャラだ。
優秀な女上司をクールに演じているので、本作で女優・ソニンの評価は高まるだろうから、今後も連ドラの主要キャストでオファーが舞い込みそうである。
ソニンと言えば、2000年ごろにEE JUMPという人気ユニットを組んでいたが、メンバーだった後藤真希の実弟の不祥事で解散となった。その後、2002年にソロデビューするが、裸エプロンのMVで話題を集めるなど、体当たりで芸能界をサバイブしてきた苦労人。
近年は地道な努力が結実してミュージカル女優として確たる地位を築いているが、20年前の彼女の姿を思うと、よくここまで大復活したものだと感慨深い。
――本作の第1話から第6話までの世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)は7.2%、7.6%、7.4%、7.8%、7.1%、7.0%と7%台で安定しており堅調。またSNSでも大いに盛り上がっており、コア視聴率もいいようなので、日テレとしては合格ラインなのではないか。
だが、ここから再び盛り上げられるのか、懸念点が多いのも事実。鬼のリーダーが菊池だったと明かされた第5話がおもしろさのピークだったなんてことにならないといいのだが……。今夜放送の第7話にも注目したい。
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中
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