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女優・土村 芳、コンプレックスをプラスに変えて「自分は自分でしかいられない」
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.06.04 11:00 最終更新日:2023.06.04 11:48
「私はかなり出不精で、一人で外食したり、カフェに行く勇気はあまりないのですが、ここなら大丈夫。田舎者の自分の先入観かもしれないですが、『お洒落=入りにくい閉鎖的な場所』という印象があります。でも、このカフェは本当にお洒落なのにオープンな空間。周囲を気にせず、一人で自由に過ごせます」
東京・三軒茶屋にある「レイン・オン・ザ・ルーフ」は女優・土村芳の大切な場所だ。オフの日に、この店でランチとカフェラテをゆっくり味わうのが最高のリラックス法だという。
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NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』(2016年)など、さまざまな作品で「生真面目な女性」を演じている印象が強い土村だが、役者になるまでの過程は、なかなか個性的だ。
「小学校2年生から高校卒業まで、新体操をしていました。得意だったのは、クラブとフープ。団体でインターハイに出場できたのは、嬉しかったです」
部活が終わり、進路を決めるとき、スポーツ少女が選んだのは「役者を目指して大学に進学する」という道だった。
「幼稚園のころ、地元の岩手県の子供劇団に入って、宮沢賢治の作品に出演したりしていたんです。それが役者になりたいと思ったルーツかも。
同時にもしダメだったときに『大学くらいは行っておかないと……』という気持ちもあり、映画学科俳優コースのある大学に進学しました」
大学では演技だけでなく、演出、カメラ、照明、録音なども学んだ。
「『手の空いている人がなんでもやる』という環境で学びました。当時の私はヤン・シュヴァンクマイエル監督にハマっていて、ランチボックス(撮影機材)を使い、コマ撮り映像作品に挑戦しました。それが生涯唯一の監督作品です」
在学中から自主映画に出演し、俳優としてキャリアを重ねていった。だが、演じるたびに抱えていた悩みが深くなっていった。
「自分には個性がない、ということにずっと悩んでいました。大学時代、周囲は個性的な同期ばかりで、自分が埋もれてしまうという危機感があったんです。個性的な人に憧れて、まねした時期もありました。大学の授業で林海象監督に『演技には正解がないんだよ』と言われて面食らったこともあります。個性を含めて当時の私は正解ばかりを求めていたので。今なら『自由でいいんだ』という意味のお言葉だったと理解できるんですけど」
演じながら自問自答した。そして、気づいた。
「結局は他人のまねをしてもダメなんです。自分は自分でしかいられない。『個性的で何ができるか』ではなく、『自分は変わった個性もないし、無理はできない人だ』と思い知ったんです」