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『風間公親』木村拓哉の新境地なのに…足を引っ張り続けた脚本の “三流感” 消化不良と言わざるを得ない【ネタバレあり】

エンタメ・アイドル 投稿日:2023.06.20 17:20FLASH編集部

『風間公親』木村拓哉の新境地なのに…足を引っ張り続けた脚本の “三流感” 消化不良と言わざるを得ない【ネタバレあり】

 

 結論から言うと、消化不良でひどい終わり方だった。

 

 6月19日に放送された木村拓哉主演『風間公親―教場0―』(フジテレビ系)の最終話(第11話)のことだ。

 

『風間公親』は、警察学校の教官役で木村が初めて白髪キャラに挑戦し、人気を博したスペシャルドラマ『教場』シリーズの前日譚。

 

『教場』シリーズの木村は、「なにをやってもキムタク」と揶揄されることもあった “キムタク節” を封印し、冷酷無比な主人公を演じて高い評価を得ていた。

 

 

 一方、『風間公親』での風間は、若手刑事の現場での教育係とも言える刑事指導官。そして彼のバディとなる若手刑事役には赤楚衛二新垣結衣北村匠海白石麻衣染谷将太といった旬の俳優や実力派の俳優がズラリ。

 

 2話ごとにバディが変わっていく法則になっており、最終話は新垣演じる刑事・隼田聖子がバディ役に復帰したストーリーが展開された。

 

 また、本作は1話完結で事件が解決していくが、第6話で “縦軸” となる事件が発生。

 

 森山未來が演じる凶悪犯・十崎波瑠に、このときのバディだった北村演じる刑事・遠野章宏が千枚通しで首を何度も刺され、命の危機に瀕する事態に。応戦した風間も右目を突き刺され、それ以後、義眼になるというショッキングな事件が描かれた。

 

■【ネタバレあり】“縦軸” の事件が未解決のまま

 

 第10話で、容体が悪化した遠野は亡くなってしまい、犯人の十崎はまだ逮捕されていないまま迎えた最終話。

 

 風間と隼田は千枚通しが凶器として使われた事件を追っていたが、その事件は十崎とは無関係だった。そんななか、パトロール中の警官がたまたま十崎を発見して逮捕するも、証拠や証言がそろわず、すぐに釈放されてしまう。こうして、十崎は野放しになったまま、物語は終幕した。

 

 ラストシーンは警察学校の教官となっていた風間の背後に、幻のような十崎が急に現れ、「妹はどこだ?」という謎の言葉を残して終了。これまでに “妹” について語られることがなかったので、最後の最後で唐突に新たな謎をぶっ込まれた意味深なエンディングとなった。

 

 こんな最終話だったのだが、冒頭でお伝えしたとおり、本当にひどい終わり方だと思ったのが率直な感想。十崎の事件が未解決のまま、彼が野放しになっているという中途半端すぎる終わり方で、肩透かし感がハンパない。

 

 さらに言うと、せめて風間の捜査力で十崎を追い詰めていくといった展開や、風間と十崎ががっつり対峙してお互いの感情をぶつけ合うといったシーンがあれば、クライマックスの見せ場として盛り上がっただろうが、2人の直接的な絡みもなし。

 

 稀代のスターであるキムタク主演のドラマで、せっかく独特な世界観を持った演技巧者である森山未來をラスボス的なポジションで迎え入れたのに、最終話に木村vs.森山の演技合戦がないなんて拍子抜けもいいところである。

 

 前話(第10話)で遠野が死亡したことで、ますます十崎の仇敵感が高まっていたのだから、十崎と風間の対決が描かれないなんて、ありえない。“直接対決を期待していた” という次元ではなく、“直接対決を描くことは義務だった” とさえ思えるほどのシーンがなかったことになる。

 

 しかも最後の最後で、現実とも幻覚ともわからない十崎を登場させ、“妹” という不可解なキーワードを残して終わるなんて、視聴者をバカにしているのかと思ったほどだ。

 

■三流?『踊る大捜査線』の脚本家なのに…

 

 もちろん脚本家の意図するところはわかる。

 

 いわゆる続編を匂わせる手法なので、視聴者の思惑を裏切って “続き” に期待を持たせる狙いがあったのだろう。ただ、こんな安易な方法で衝撃を与えるのは、三流脚本家が使いそうな手法に思えてならない。

 

 また、細かいところだが、十崎の事件がきちんと解決していないのに風間が警察学校の教官になったのも、彼の心理として腑に落ちない。警察をいい組織にするために学校から変えなくてはいけないという使命に燃えていたのはわかるが、どうして十崎を野放しにしたまま現場から退くという結論に至るのか?

 

 教官になって警察学校から変えることと、まず十崎を捕まえて罪を償わせることを天秤にかけたとき、後者のほうが明らかに重要だと思うのだが……。

 

 本作の脚本家は『踊る大捜査線』シリーズを代表作に持つ大御所・君塚良一氏なのだが、この最終話を見る限り、「どうした!?」と思わざるを得ない。6月26日には最終話後のエピソードも描く特別編が放送されるようだが、もうちょっと納得のいくストーリーになることを願うばかりだ。

 

■木村の連ドラ至上、初の全話平均で一桁視聴率

 

 本作の世帯平均視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)は第1話12.1%、第2話10.7%、第3話9.8%、第4話9.6%、第5話9.1%、第6話8.3%、第7話8.9%、第8話9.4%、第9話9.9%、第10話9.4%、最終話10.6%と推移。

 

 第3話から一桁視聴率に沈んでいたが、最終話で盛り返して二桁復帰を果たしたのは、せめてもの救いだったと思う。しかし、全話平均の視聴率は9.8%と二桁割れ。

 

 昨年放送された木村主演の『未来への10カウント』(テレビ朝日系)も、途中回で一桁視聴率を記録していたものの、全話平均は10.9%と二桁をキープしていた。つまり、今回の『風間公親』が木村拓哉主演の連ドラ史上、はじめて全話平均で一桁に陥落した作品になってしまったのだ。

 

 あくまで個人的な意見だが、キムタクが演じた主人公像は連ドラにおいて新境地を開拓しており、役者・木村拓哉として素晴らしかったと思う。それゆえに、脚本家といった制作陣に足を引っ張られた感は否めなかった。

( SmartFLASH )

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