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若村麻由美『この素晴らしき世界』コメディーなのかガチめサスペンスなのか…先の読めない展開にグイグイ引き込まれて

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.08.03 11:00 最終更新日:2023.08.03 11:00

若村麻由美『この素晴らしき世界』コメディーなのかガチめサスペンスなのか…先の読めない展開にグイグイ引き込まれて

 

 コメディーだと思って油断して観ていたが、実はそれは脚本家による大胆なミスリードで、本当はサスペンスミステリーなのかもしれない……。

 

 先週木曜に第2話が放送された『この素晴らしき世界』(フジテレビ系)。

 

 主役を演じるはずだった鈴木京香が体調不良のため降板し、急遽、若村麻由美が代役として主演することになった本作。放送開始前から暗雲が立ち込めていたのでどうなるものかと思ったが、これがなかなかおもしろい。

 

 

 若村にとっては突然のオファーだったはずだが、そんなことを微塵も感じさせずに、作品をきちんと高いクオリティで成立させているのだから、さすがのキャリアと貫禄。そして何より、先の読めないストーリーにグイグイ引き込まれていく。

 

■背筋が凍るような不穏なシーンが突如挿入

 

 本作は主人公が二重生活を送る物語で、“なりすましコメディー” をうたった完全オリジナル脚本のドラマ。

 

 平凡な主婦・浜岡妙子(若村)は、不倫スキャンダルで国外逃亡した大物女優・若菜絹代(若村・二役)に代わり、顔がそっくりだという理由で替え玉の謝罪会見をすることに。当初は会見当日だけの約束だったが、その後もしばらく大物女優のなりすまし生活を続けることになる。

 

 第2話では妙子が戸惑いながらも、若菜になりきることや華やかな芸能界の仕事に、次第に楽しみを見い出していく過程がコミカルに描かれ、十分に良質なコメディーとして成立していた。

 

 ……が、第2話の終盤で挿入されたシーンによって、突如として背筋が凍るような不穏な雰囲気が漂い出したのである。

 

 それは若菜の夫・水田夏雄(沢村一樹)が、一人で自宅にいるときのシーン。大きめのクーラーボックス2つに、血かなにかで滲んで端がピンクに変色している布がかけられており、それらが意図的にクローズアップされていたのだ。

 

 また第3話の予告映像では、真っ暗な夜の森の中で、夏雄がシャベルで穴を掘っている様子も描かれた。

 

 若菜絹代はすでに亡くなっており、夏雄はバラバラにした遺体をクーラーボックスに保管し、森に埋めようとしている――そんなふうにも見えてしまう一連のシーンだったのである。

 

■公式サイトなどのメインビジュアルの違和感

 

 失踪中の若菜がすでに死んでいるのであれば、もう一人怪しい人物が浮上してくる。それは、若菜が所属する芸能事務所の2代め社長・比嘉莉湖(木村佳乃)だ。

 

 莉湖は創業者の父の跡を継いだだけのちょっと気弱な女社長。第3話の予告映像では、神妙な面持ちで、妙子に「夏雄には気をつけて」と忠告するシーンもあり、親身になってくれている。

 

 しかし、公式サイトやポスターなどに使われる本作のメインビジュアルでは、莉湖が夏雄の肩と胸元に手を回して寄り添っているのだ。第2話まで観るかぎり、莉湖と夏雄は “事務所社長と女優の夫” というビジネスライクな距離感で接しており、男女の関係があるようには描かれていない。

 

 一方、公式サイトに掲載されている莉湖の人物紹介欄には「若菜にはひどい言葉を浴びせられ続けたが、事務所を存続させるため耐えてきた」とも記されている。

 

 莉湖は若菜を恨んでおり、そして、莉湖と夏雄が不倫関係になっていたと考えると、2人が共謀して邪魔になった若菜を殺害したという仮説も成立するのである。

 

 とにもかくにも、現時点までのストーリーから考えると、女優の妻がいる既婚者・夏雄と事務所社長の莉湖が親密に寄り添うメインビジュアルの違和感は非常に大きい。2人にまだ明かされていない秘密があるのはほぼ間違いないだろう。

 

■それはミスリード? 予測不能になってきた

 

 失踪中の若菜がもう死んでいるのであれば、作品ジャンルを「コメディー」とうたっていたこと自体がミスリードなのかもしれない。本当はガチめの「サスペンスミステリー」で、第3話以降で一気に恐ろしいシリアス展開に変貌するなんてことも、なきにしもあらず。

 

 ただ、クーラーボックスにバラバラ死体が入っていると思わせたのがミスリードで、裏の裏でやっぱりただの「コメディー」だという可能性もある。いずれにしても、いい意味でこの物語の着地点が読めず、予測不能になってきた。

 

 さて、本作の世帯平均視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)は第1話5.4%、第2話4.0%と低水準で推移。見逃し配信の人気の指標となるTVerのお気に入り登録者数は26.3万人(8月1日現在)で、こちらも低調だ。

 

 今クールで最注目作となっている堺雅人主演の日曜劇場『VIVANT』(TBS系)も、物語の展開が目まぐるしく変わるため先が読めないと話題を集めているが、先の読めなさでは『この素晴らしき世界』も負けてはいない。

 

 今夜放送の第3話は、コメディー路線のままでいくのか、サスペンス要素が増すのか、どちらになるのか楽しみである。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中

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